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第三章 変化
秘密のあの場所で
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いつもの場所。広場の木が一本立っている場所。
そこに一人の女性が仁王立ちしている。
「遅いわよ。何してたのよ。」
「申し訳ありません。フロワさんに捕まってしまい遅くなりました。」
そういうと、シェーンは苦虫を潰したような顔をしている。
「ああ、あの人ね。私あの人苦手なのよね。それより気づかれてないわよね?」
俺は苦笑いをするしかない。
気付かれたような、気付かれてないような微妙な感じ。
「はははっ。どうでしょう?」
「はあ、”どうでしょう。”・・・じゃないわよ。
あの人私のやること、やること突っかかってくるのよ。
うるさくて適わないわ。暑苦しいクラフトの方がマシだったわ。」
まあ、わからないでもないが。シェーンとフロワがすれ違ったところを想像すると凄まじい攻防が行われている場面しか想像できない。俺はそこに鉢合わせても何もできないだろう。
その時が来たら応援するしかない心の中で。
「それより、稽古を早く始めましょう。」
シェーンがこっちをジト目で見つめてくる。何か嫌な予感がする。
「ふーん。遅れてきた人が偉そうに言うんだ。
それに不安分子もつくってくれちゃって。」
「い、いや、偉そうに言ったつもりは。それにあれは不可抗力ですし・・・」
俺の言葉を聞かず、木の根元に置いていた武器を手に取る。
これはまずいと思い俺も慌てて武器を構える。
そして有無を言わず襲い掛かってきた。
「問答無用‼おりゃあああ。」
キンっ‼
「いきなりひどいですよ。」
「あら、あなたが早く始めようって言ったんじゃない。」
「はあ、今日は負けませんよ‼」
俺はシェーンへと駆けていく。
俺たちは二人とも木の下で寝転がっていた。
「はあ、はあ。ビスあなた強くなったわね。」
「そんなことないです。またシェーン様に負けてしまいました。」
コテンパンではないにしろ、また負けてしまった。やっぱり強いな、シェーンは。
「謙遜はやめなさい。それに魔法を使われていたら私は負けているわ。」
シェーンが遠くに声を放つ。
ただ、その言葉は空中にプカプカ浮いているようだった。
俺はその言葉を無視する。それが一番いいとそう思った。
「それより、ちゃんととって来られた?」
「ん?ああ、大丈夫だと思いますよ。
言われた通りのもの持ってこられたと思います。」
「本当でしょうね。後で確認するわ。」
「はい。足りなかったら言ってください。また採ってきますから。」
シェーンは申し訳なさそうな雰囲気を纏っている。
これが本当なのか嘘なのか今の俺にはよくわかった。
「ごめんね。いつも、いつも。やっぱり教えた方が・・・」
何か俺に伝えようとしている。最近それが増えてきた。
一人で抱え込めなくなってきたのか。行き詰っているのか。
だが俺はそれを拒絶する。
「ダメですよ。それにシェーン様言ってたでしょ。
自分でやりきらなきゃって。
弱気な姿はシェーン様に似合いませんよ。」
「・・・助けてくれたっていいじゃない。」
何か呟いていたが、聞かなかったことにする。
シェーンは徐に立ち上がって俺を見下ろし指を指してくる。
「わかってるわよ。その代わり魔法を見せてもらうし、欲しいもの全部取ってきてもらうわよ。いいわね。」
俺も体を起こし膝立ちになり答える。
「はい。承知しました。シェーン様。」
「ふん、いつ聞いても慣れないわね。あなたの敬語は。
似合わないのよ。あなたには。」
言い返されてしまった。やっぱりまだシェーンの方が上手の様だ。
顔をあげるとシェーンはそっぽを向いていた。頬を赤く染めて。
それ以外はいつものシェーンに戻っていた。
そこに一人の女性が仁王立ちしている。
「遅いわよ。何してたのよ。」
「申し訳ありません。フロワさんに捕まってしまい遅くなりました。」
そういうと、シェーンは苦虫を潰したような顔をしている。
「ああ、あの人ね。私あの人苦手なのよね。それより気づかれてないわよね?」
俺は苦笑いをするしかない。
気付かれたような、気付かれてないような微妙な感じ。
「はははっ。どうでしょう?」
「はあ、”どうでしょう。”・・・じゃないわよ。
あの人私のやること、やること突っかかってくるのよ。
うるさくて適わないわ。暑苦しいクラフトの方がマシだったわ。」
まあ、わからないでもないが。シェーンとフロワがすれ違ったところを想像すると凄まじい攻防が行われている場面しか想像できない。俺はそこに鉢合わせても何もできないだろう。
その時が来たら応援するしかない心の中で。
「それより、稽古を早く始めましょう。」
シェーンがこっちをジト目で見つめてくる。何か嫌な予感がする。
「ふーん。遅れてきた人が偉そうに言うんだ。
それに不安分子もつくってくれちゃって。」
「い、いや、偉そうに言ったつもりは。それにあれは不可抗力ですし・・・」
俺の言葉を聞かず、木の根元に置いていた武器を手に取る。
これはまずいと思い俺も慌てて武器を構える。
そして有無を言わず襲い掛かってきた。
「問答無用‼おりゃあああ。」
キンっ‼
「いきなりひどいですよ。」
「あら、あなたが早く始めようって言ったんじゃない。」
「はあ、今日は負けませんよ‼」
俺はシェーンへと駆けていく。
俺たちは二人とも木の下で寝転がっていた。
「はあ、はあ。ビスあなた強くなったわね。」
「そんなことないです。またシェーン様に負けてしまいました。」
コテンパンではないにしろ、また負けてしまった。やっぱり強いな、シェーンは。
「謙遜はやめなさい。それに魔法を使われていたら私は負けているわ。」
シェーンが遠くに声を放つ。
ただ、その言葉は空中にプカプカ浮いているようだった。
俺はその言葉を無視する。それが一番いいとそう思った。
「それより、ちゃんととって来られた?」
「ん?ああ、大丈夫だと思いますよ。
言われた通りのもの持ってこられたと思います。」
「本当でしょうね。後で確認するわ。」
「はい。足りなかったら言ってください。また採ってきますから。」
シェーンは申し訳なさそうな雰囲気を纏っている。
これが本当なのか嘘なのか今の俺にはよくわかった。
「ごめんね。いつも、いつも。やっぱり教えた方が・・・」
何か俺に伝えようとしている。最近それが増えてきた。
一人で抱え込めなくなってきたのか。行き詰っているのか。
だが俺はそれを拒絶する。
「ダメですよ。それにシェーン様言ってたでしょ。
自分でやりきらなきゃって。
弱気な姿はシェーン様に似合いませんよ。」
「・・・助けてくれたっていいじゃない。」
何か呟いていたが、聞かなかったことにする。
シェーンは徐に立ち上がって俺を見下ろし指を指してくる。
「わかってるわよ。その代わり魔法を見せてもらうし、欲しいもの全部取ってきてもらうわよ。いいわね。」
俺も体を起こし膝立ちになり答える。
「はい。承知しました。シェーン様。」
「ふん、いつ聞いても慣れないわね。あなたの敬語は。
似合わないのよ。あなたには。」
言い返されてしまった。やっぱりまだシェーンの方が上手の様だ。
顔をあげるとシェーンはそっぽを向いていた。頬を赤く染めて。
それ以外はいつものシェーンに戻っていた。
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