ヒレイスト物語

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第三章 変化

決断

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「ビスさんもお風呂入ってきたらどうです?さっぱりしますよ。」


俺は一瞬入ろうと思ったが、どうせまた汗だくになると思い断る。


「いや、今はいいや。終わってからゆっくり入るよ。」


「そうですか。・・・それより剣なんて出してどうしたんですか?まさか⁉」


モルテは驚いた表情をしているがなんだか嘘くさい感じがする。


「お前、聞いてたな。」


「ははっ。ばれましたか。というか同じ部屋の中なんですよ。あんな大きな声聞こえないわけないじゃないですか。まあ、はっきり聞こえたのは最初の方だけでしたけど。」


ああ、だからベルがやっぱりと言っていたのか。納得が言った。


「ベルを引き留めるの大変だったんですからね。」


「済まない。ありがとう。」


「それよりいつ行くんですか?」


「ん?ああ、ベルが寝終わったあとに行こうと思ってた。それでいいか?」


モルテはもう覚悟が決まっているのか。まっすぐ俺を見つめ答えてくる。


「僕はいつでも大丈夫ですよ。ビスさんがそれでいいならそれで。」


それだと俺は覚悟が決まっていないみたいじゃないか。まあ、今は何もいうまい。それよりも考えなければいけないことがある。モルテに相談するわけにはいかない。俺一人で決めなくては。


「じゃあ、決まりだ。」


髪を乾かし終わったのかベルとリベが戻ってくる。


「ベルも混ぜて、混ぜて。」


どうやらベルは俺たちが遊んでいるように見えたらしい。


「ダメよ、ベル。お兄ちゃんたちは忙しいの。それにベルはもう寝る時間よ。」


「ええ、まだいいじゃん‼」


「じゃあ、横になるだけでいいから、ほらベッドに入って。」


「うん。わかった。」


ベルは納得いかない様子でしぶしぶリベの言う通りにする。そのあとの光景がすごかった。ベルは遊びたくて眠気と必死に戦っていたが、リベの叩くリズムが心地良かったのかすぐに眠りについていた。正直もうちょっと考える時間が欲しかった。俺が下を向いているとリベが小声で声を掛けてくる。


「だから言ったじゃない。”時間はないわよ”って。」


「いや、言いましたけど。ここまでないとは思いませんでしたよ。」


「ふふふっ。二児の母を舐めるんじゃないわよ。」


リベは勝ち誇った顔をしている。別に舐めていたわけではないのだけれど。


「で、どうする?もうちょっと考える?」


その必要はない。さっきので俺の答えは決まっていた。


「いえ、大丈夫です。もう決まりましたから。・・・」



俺は出した答えを告げ、重い腰をあげハウの待っている部屋へと足を進めた。
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