ヒレイスト物語

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第三章 変化

再戦(1)

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ハウのいる部屋に入ると異様な雰囲気が漂っている。来るのがわかっていたのか堂々と椅子に座り手を膝の上で組んでいた。


「やっと来たか。リベも引き連れてみんなで俺をめった刺しってか。まあいい。座れよ。そのために来たんだろ。」


今朝よりも緊張感が増している。あの時もハウは冷静だったが、今は冷静というには足りない、まるで覚悟を決め、確固たる意志を示すべく感情を捨て去り、その覚悟のみを宿しているようなそんな感じ。少しというか全然違うが以前一瞬だがそんなやつに相対した気がする。こんな時に思い出すなんて。顔に一筋の粘度の高い汗がたらっと垂れてくる。


「ん?ビスどうした?早く座れ。」


その声で我に帰る。モルテとリベはすでに椅子に座っていた。俺は慌てて椅子に座る。


「あ、ああすみません。」


「大丈夫か?心ここにあらずって感じだったぞ。そんなんで俺を説得できるのか?まあ、意見を変える気はないが。」


ハウは俺というよりもモルテに視線を向けて言葉を発した。モルテの感情を逆なでするように。だが、モルテは気にしていないようだ。どちらかというとそのモルテの姿を見てハウの方がダメージを受けているようだった。


「っ。」


「お待たせしました。それと俺は説得しに来たんじゃないです。俺は報告しに来ただけです。」


「報告だぁ⁉」


ハウは出鼻を挫かれたのか、感情に揺らぎが見られる。


「ええ、俺はモルテに一緒に旅に出てくれと頼み、了承を得られました。以上です。」


「はははっ。お前頭でもおかしくなったのか。それではいそうですかっていうやつがいると思うか。それも、反対しているやつが。今朝と変わってないな。」


「落ち着いてくださいよ。俺は今報告をしているんですよ。先輩。」


「ビスてめぇ。おちょくってるのか。」


ハウの感情が徐々に飛んだり跳ねたりしている。最初からこうしておけばよかったのだ。親としてではなく傭兵の先輩として接すればよかったのだと俺は判断した。


「だから落ち着いてくださいって言ってるじゃないですか。それに説得しないとは一言も言ってませんよ。・・・俺ではなくモルテが先輩を説得します。」


俺はまっすぐハウを見つめる。俺の表情を見て何かを感じたらしい。


「はははっ。少しはマシな面になったじゃねぇか。」


そういい捨てた。ただ、また冷静に戻っている。さすがというべきか、これだけではたりないみたいだ。


「お前がそう来るのなら、乗ってやるよ。ただ、後悔するなよ。こっちの方が茨の道だってこと思い知らせてやる。」


ははっ。間違ったかな。そんな考えが過ぎってしまう。ただ、横目に見えるモルテの表情を見て改めさせられる。
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