81 / 171
第三章 変化
魔物・魔族
しおりを挟む
俺は図書室に来ていた。久しぶりに来たがあまり変わっていなかった。仕事ばかりで本を読む時間を作れていなかったのだ。辺りを見回すと、シェーンがいた。音をたてないように後ずさりをする。だが、努力虚しく気付かれてしまった。
「ビス、あなた何やってるのよ。」
「ははっ。何でしょう。」
多分俺の今の格好は変なポーズになっているだろう。右足はべたっと下にくっつき、左足はつま先のみくっついている。自然と口が開いた。
「・・・前に歩いているように見せながら後ろに滑る練習ですかね。」
「何よ、それ。それにそんなのこんなところで練習するんじゃないわよ。」
その通りである。何も言い返すことはない。
「すみません。」
「はあ、本を読みに来たんでしょ。・・・何なら私部屋に戻るけど。」
何かを読み取ったのかシェーンがそう言ってきた。
「い、いえ。そこにいていただいて大丈夫です。」
「そう、それならいいのだけれど。」
そう言うとシェーンは本に目を移していた。俺も何か本を読もう。そういえば、シェーンが前に新しい本が入ったと言っていた。俺が行先を迷って机の近くをウロウロしながら見回しているとシェーンが話しかけてきた。目線はそのままで。
「新しい本なら、魔法の本の近くよ。」
「あ、ありがとうございます。」
器用な人だな。俺はシェーンの言っていたところを目指す。そこに着くとすぐに新しい本がどれかわかった。汚れ具合が周りの本と全然違っていた。一冊取って見ると”魔物・魔族大全”と書かれている。
「こんなものが作られているなんてな。呼んでみるか。何か役に立つかもしれないし。」
俺はシェーンとは離れた席に座り読み始める。
「それにしても魔物・魔族か。なんとも安易な名前だよな。」
この言葉は数年でできた言葉だった。誰が言い出したのかわからない。自然発生的に出てきたのだ。魔法を使える生物を魔物、いままで種族で分類していたもののなかで魔法を使える種族を魔族と呼ぶようになったのだ。まあ、人間以外はほぼ魔族だが。安易だろう。かくいう俺も魔族ということになるのだろうか。ただ、俺は何の種族だがわからない。それはどうでもいいのだけどな。
「ふーん。こんなにいるもんなんだな。」
倒したことのある魔物もいたが、ほとんどが初見のものだった。それに魔族の方も初見のものが多かった。ただ、ここまで読んで疑問が浮かんだ。誰がこんなものを作っているのだろうということ。魔物や魔族との関わりはそんなに多くはないはず。傭兵として討伐に関わっているなら多少知っているとは思うが前線でやっている俺がこれなのだ。疑問が拭えない。
「何そんなに皺寄せて本読んでるのよ。」
考え事をしているとシェーンに話しかけられた。そんなに皺が寄っていただろうか。
「いや、別に深い意味はないよ。」
そう答えていた。あまり深く考えても意味がないと思ったからだ。知識が得られることに感謝しよう。
「ふーん。」
俺が読んでいる本をチラ見してなにか悟ったのかそれだけ言って元の位置に戻っていった。何かモヤモヤする反応だったが、気にしないように努め本に集中する。
「ビス、あなた何やってるのよ。」
「ははっ。何でしょう。」
多分俺の今の格好は変なポーズになっているだろう。右足はべたっと下にくっつき、左足はつま先のみくっついている。自然と口が開いた。
「・・・前に歩いているように見せながら後ろに滑る練習ですかね。」
「何よ、それ。それにそんなのこんなところで練習するんじゃないわよ。」
その通りである。何も言い返すことはない。
「すみません。」
「はあ、本を読みに来たんでしょ。・・・何なら私部屋に戻るけど。」
何かを読み取ったのかシェーンがそう言ってきた。
「い、いえ。そこにいていただいて大丈夫です。」
「そう、それならいいのだけれど。」
そう言うとシェーンは本に目を移していた。俺も何か本を読もう。そういえば、シェーンが前に新しい本が入ったと言っていた。俺が行先を迷って机の近くをウロウロしながら見回しているとシェーンが話しかけてきた。目線はそのままで。
「新しい本なら、魔法の本の近くよ。」
「あ、ありがとうございます。」
器用な人だな。俺はシェーンの言っていたところを目指す。そこに着くとすぐに新しい本がどれかわかった。汚れ具合が周りの本と全然違っていた。一冊取って見ると”魔物・魔族大全”と書かれている。
「こんなものが作られているなんてな。呼んでみるか。何か役に立つかもしれないし。」
俺はシェーンとは離れた席に座り読み始める。
「それにしても魔物・魔族か。なんとも安易な名前だよな。」
この言葉は数年でできた言葉だった。誰が言い出したのかわからない。自然発生的に出てきたのだ。魔法を使える生物を魔物、いままで種族で分類していたもののなかで魔法を使える種族を魔族と呼ぶようになったのだ。まあ、人間以外はほぼ魔族だが。安易だろう。かくいう俺も魔族ということになるのだろうか。ただ、俺は何の種族だがわからない。それはどうでもいいのだけどな。
「ふーん。こんなにいるもんなんだな。」
倒したことのある魔物もいたが、ほとんどが初見のものだった。それに魔族の方も初見のものが多かった。ただ、ここまで読んで疑問が浮かんだ。誰がこんなものを作っているのだろうということ。魔物や魔族との関わりはそんなに多くはないはず。傭兵として討伐に関わっているなら多少知っているとは思うが前線でやっている俺がこれなのだ。疑問が拭えない。
「何そんなに皺寄せて本読んでるのよ。」
考え事をしているとシェーンに話しかけられた。そんなに皺が寄っていただろうか。
「いや、別に深い意味はないよ。」
そう答えていた。あまり深く考えても意味がないと思ったからだ。知識が得られることに感謝しよう。
「ふーん。」
俺が読んでいる本をチラ見してなにか悟ったのかそれだけ言って元の位置に戻っていった。何かモヤモヤする反応だったが、気にしないように努め本に集中する。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる