87 / 171
第三章 変化
危険な実験
しおりを挟む
「これ何ですか?」
破片を取りながら俺は聞いた。すると、またシェーンは拳をつくろうとする。俺が顔をあげるとシェーンはそっぽを向いていた。
「・・・教えないわよ。」
どうやら前に言ったことを根に持っているらしい。まあ、自分から言い出したことだ。
「はあ、わかりましたよ。だから手は開いててくださいね。」
そこは素直に従ってくれた。それにしても、こんな黒い石何てあったか。シェーンに頼まれたものの中にこんなものなかった気がする。まあ、石はいくつか頼まれたことはあると思うが。どれも色が付いていたはずだ。そんなことを考えながら石を取り終える。
「ヒール。はい。左手はもう大丈夫ですよ。」
そう言うとシェーンは左手を開いたり握ったりするのを繰り返した。違和感はなかったのかそれをやめこちらに向いてくる。
「ありがとう。それじゃ次やるわよ。」
シェーンはまた続けようとする。だが、俺はそれを拒んだ。
「ちょっと待ってください。体を見せてください。」
そう言って気付く。言い方を間違えてしまったと。どうしてだろう。シェーンの方が背は俺より小さいはずなのに俺の目線が下になった気がする。
「・・・変態。」
「んん。言い方を間違えました。異常がないか確認しますので、服を脱いでください。」
「もう大丈夫って言ってるのに。時間がもったいないわよ。」
シェーンは文句を言ってくる。ただ、俺は何も言わずシェーンの目を見つめていた。
「・・・わかったわよ。脱げばいいんでしょ。」
「お願いします。」
毎回言っているのだから、あれだけでもわかってくれてもいいだろう。俺だって気にしてないわけではないのだから。シェーンは上着をゆっくりと脱ぎだす。
「ちょっと、ずっとこっち見てないでよ。」
「す、すみません。」
俺は慌てて身を翻す。ただ、よくよく考えれば、今の状態よりはだけているところを見るのだから関係ないのではと思ってしまった。背中越しにシェーンに話しかける。
「あの、これ意味あります?」
「う、うるさい。・・・何で私はこんなやつを。」
うるさいのあとに何か言った気がするがモゴモゴ言っていて聞き取れなかった。
「何かいいました?」
「何も言ってないわよ‼ほら、もういいわよ。」
俺は、振り返るとこちらに背中を向けたシェーンがいた。もちろん背中は何もまとっていない。さすがに前の方は隠しているが。一瞬ドキッとしてしまったが、必死で抑え込む。
「じゃあ、診ますね。じっとしていてください。」
俺は手を翳し、異常がないか確認をする。上半身をすべて確認し終わりほっとする。身を翻す。
「異常ありません。もう上着を着て大丈夫ですよ。」
「だから言ったじゃない。」
「そうは言っても、心配なんですよ。何かあるんじゃないかって。・・・最初の頃みたいに。」
最初の頃はひどかった。このように魔法を試した時血を吐き出したのだ。それも地面に小さい池ができるほどの量を。
破片を取りながら俺は聞いた。すると、またシェーンは拳をつくろうとする。俺が顔をあげるとシェーンはそっぽを向いていた。
「・・・教えないわよ。」
どうやら前に言ったことを根に持っているらしい。まあ、自分から言い出したことだ。
「はあ、わかりましたよ。だから手は開いててくださいね。」
そこは素直に従ってくれた。それにしても、こんな黒い石何てあったか。シェーンに頼まれたものの中にこんなものなかった気がする。まあ、石はいくつか頼まれたことはあると思うが。どれも色が付いていたはずだ。そんなことを考えながら石を取り終える。
「ヒール。はい。左手はもう大丈夫ですよ。」
そう言うとシェーンは左手を開いたり握ったりするのを繰り返した。違和感はなかったのかそれをやめこちらに向いてくる。
「ありがとう。それじゃ次やるわよ。」
シェーンはまた続けようとする。だが、俺はそれを拒んだ。
「ちょっと待ってください。体を見せてください。」
そう言って気付く。言い方を間違えてしまったと。どうしてだろう。シェーンの方が背は俺より小さいはずなのに俺の目線が下になった気がする。
「・・・変態。」
「んん。言い方を間違えました。異常がないか確認しますので、服を脱いでください。」
「もう大丈夫って言ってるのに。時間がもったいないわよ。」
シェーンは文句を言ってくる。ただ、俺は何も言わずシェーンの目を見つめていた。
「・・・わかったわよ。脱げばいいんでしょ。」
「お願いします。」
毎回言っているのだから、あれだけでもわかってくれてもいいだろう。俺だって気にしてないわけではないのだから。シェーンは上着をゆっくりと脱ぎだす。
「ちょっと、ずっとこっち見てないでよ。」
「す、すみません。」
俺は慌てて身を翻す。ただ、よくよく考えれば、今の状態よりはだけているところを見るのだから関係ないのではと思ってしまった。背中越しにシェーンに話しかける。
「あの、これ意味あります?」
「う、うるさい。・・・何で私はこんなやつを。」
うるさいのあとに何か言った気がするがモゴモゴ言っていて聞き取れなかった。
「何かいいました?」
「何も言ってないわよ‼ほら、もういいわよ。」
俺は、振り返るとこちらに背中を向けたシェーンがいた。もちろん背中は何もまとっていない。さすがに前の方は隠しているが。一瞬ドキッとしてしまったが、必死で抑え込む。
「じゃあ、診ますね。じっとしていてください。」
俺は手を翳し、異常がないか確認をする。上半身をすべて確認し終わりほっとする。身を翻す。
「異常ありません。もう上着を着て大丈夫ですよ。」
「だから言ったじゃない。」
「そうは言っても、心配なんですよ。何かあるんじゃないかって。・・・最初の頃みたいに。」
最初の頃はひどかった。このように魔法を試した時血を吐き出したのだ。それも地面に小さい池ができるほどの量を。
0
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる