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第三章 変化
それぞれの道
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食事も終えたあとはいくつかお店を巡った。どれもシェーンのお目にかかったらしくどこに行っても喜んでくれた。日も沈み始めそろそろ城に戻らなくてはいけない。歩幅は自然と小さくなっていた。
「そろそろ城に戻ろう。」
「そうね。」
返事は肯定しているものの繋いだ手は否定的だった。ただ、俺はそれを指摘しなかった。特に理由はない。城への帰り道は何も会話もなかったが、特段気まずい感じはない。あっという間に城に着いてしまった。
「着いちゃったわね。」
シェーンは繋いでいた手を離そうとする。だが俺は強く握り引っ張り出した。
「まだだよ。シェリー。」
「ちょ、ちょっとビス。どこに行くの。それに手離さなくていいの?」
「何を今更。昨日のこと忘れた?ほら。」
俺はシェーンの手を引き階段をあがる。この城で一番長い階段を。
息を切らしながら目的地に着いた。
「はあはあ。着いたよ。」
「息切らしてだらしないわね。」
シェーンは息を切らしていなかった。なぜなのか。同じ道を通ってきたはずなのに。
「それより何でここに連れてきたの?」
無意識だった。なんとなくここに来たくなったのだ。シェーンと一緒に。
「うーん。何でだろ。それより綺麗でしょ、ここ。」
「綺麗なのは知ってるわよ。それにここは私があなたに教えたところでしょ。何でそんなに勝ち誇ってるのよ。」
「ははっ。そうだった。」
しばらく二人で町を眺めていた。その沈黙を破ったのはシェーンだった。
「それより良かったの?その城内で手なんか繋いで。」
「さっきも言っただろ。今更だよ。昨日のこと思い出してよ。」
横目に見えるシェーンは俯いていた。
「ごめんなさい。」
「別に謝って欲しいわけじゃない。・・・もういいんだよ、もう。」
なぜかその言葉が出てきた。なぜその言葉が出てきたかと言われると言葉に困る。勝手にその言葉が出てきたのだから。
「そう。」
シェーンは遠くを見つめ平坦な声で吐き捨てた。
「そうだ。シェーン右手出して。」
「何よ、急に。」
訝しげにこちらを見てくる。それでも俺は気にしなかった。
「いいから。早く。」
シェーンは何も言わずゆっくりと右手を出してくれた。俺は左手をシェーンの右手に添え、シェーンの右薬指に指輪をつけた。その指輪には緑を基調とした縞模様の宝石が付いている。
「これって。」
「今日付き合ってくれたお礼。貰ってくれる?」
シェーンはうつむいている。
「貰ってくれるって、もうつけといて何よ。」
「それもそうか。」
シェーンは顔を上げ、俺の目を力強い目で見つめてくる。
「それに意味わかってるんでしょうね?」
「ん?何のこと?」
「・・・バカ。」
シェーンに俺の言葉は、表情はどんな風に聞こえ映ったのだろうか。そのあとシェーンは抱き着いてきた。そして一言”絶対帰ってきなさいよ。”と言ってきた。
俺は何も言わずにシェーンを抱き締め返す。しばらくそのままの時間が続いた。そしてシェリーとの時間は終わりを告げた。
どちらということもなく離れ城の中に入り階段を降りていく。そして降り終わった先には王様がいた。
「おう。二人とも戻ったか。」
俺はその言葉が白々しく聞こえてしまった。なぜなら、階段を降りる途中廊下で行ったり来たりを繰り返すのが見えたからだ。というかその時から内心気が気ではなかった。
「はい。先ほど戻って参りました。それよりこれお父様にお土産です。」
シェーンは最初に行ったお店で買った袋を王様に差し出した。いつの間に買ったのだろうか。そういえば俺の分を持って行く時明らかに多かったような。王様のほうを見ると目を輝かせていた。
「シェーンから私にか。ありがとう。大事にするよ。」
しかし、目を輝かせていたのは一瞬であった。
「・・・シェーン。私の言ったことは、忘れてないだろうな。」
こんな真剣な表情をシェーンに向けているところを初めて見る。何というか一瞬で親から一国の王へと戻ったようなそんな感じ。
「わかっています。」
「それなら良いのだ。・・・それにしては距離が近いようだが。」
王様は一点を見つめていた。ちょうど俺とシェーンの間、手がある位置だ。そこでハッとする。まだここだけ余韻を残していた。俺は急いで離そうとする。だが、シェーンがそれを許してくれなかった。
「そんなことはないと思いますよ。」
シェーンは何も気にしていないようで堂々としている。
「はあ、まあよい。それよりも夕食の時間だ。荷物を置いたら食堂に来なさい。」
そう言うと王様は食堂の方に向かっていった。王様の姿が見えなくなるまで俺たちはその場に立ち尽くしていた。
「じゃあ、俺はこっちなので。」
「そうだったわね。じゃあまた後で。」
手を離し,それぞれの道に進んでいく。
「そろそろ城に戻ろう。」
「そうね。」
返事は肯定しているものの繋いだ手は否定的だった。ただ、俺はそれを指摘しなかった。特に理由はない。城への帰り道は何も会話もなかったが、特段気まずい感じはない。あっという間に城に着いてしまった。
「着いちゃったわね。」
シェーンは繋いでいた手を離そうとする。だが俺は強く握り引っ張り出した。
「まだだよ。シェリー。」
「ちょ、ちょっとビス。どこに行くの。それに手離さなくていいの?」
「何を今更。昨日のこと忘れた?ほら。」
俺はシェーンの手を引き階段をあがる。この城で一番長い階段を。
息を切らしながら目的地に着いた。
「はあはあ。着いたよ。」
「息切らしてだらしないわね。」
シェーンは息を切らしていなかった。なぜなのか。同じ道を通ってきたはずなのに。
「それより何でここに連れてきたの?」
無意識だった。なんとなくここに来たくなったのだ。シェーンと一緒に。
「うーん。何でだろ。それより綺麗でしょ、ここ。」
「綺麗なのは知ってるわよ。それにここは私があなたに教えたところでしょ。何でそんなに勝ち誇ってるのよ。」
「ははっ。そうだった。」
しばらく二人で町を眺めていた。その沈黙を破ったのはシェーンだった。
「それより良かったの?その城内で手なんか繋いで。」
「さっきも言っただろ。今更だよ。昨日のこと思い出してよ。」
横目に見えるシェーンは俯いていた。
「ごめんなさい。」
「別に謝って欲しいわけじゃない。・・・もういいんだよ、もう。」
なぜかその言葉が出てきた。なぜその言葉が出てきたかと言われると言葉に困る。勝手にその言葉が出てきたのだから。
「そう。」
シェーンは遠くを見つめ平坦な声で吐き捨てた。
「そうだ。シェーン右手出して。」
「何よ、急に。」
訝しげにこちらを見てくる。それでも俺は気にしなかった。
「いいから。早く。」
シェーンは何も言わずゆっくりと右手を出してくれた。俺は左手をシェーンの右手に添え、シェーンの右薬指に指輪をつけた。その指輪には緑を基調とした縞模様の宝石が付いている。
「これって。」
「今日付き合ってくれたお礼。貰ってくれる?」
シェーンはうつむいている。
「貰ってくれるって、もうつけといて何よ。」
「それもそうか。」
シェーンは顔を上げ、俺の目を力強い目で見つめてくる。
「それに意味わかってるんでしょうね?」
「ん?何のこと?」
「・・・バカ。」
シェーンに俺の言葉は、表情はどんな風に聞こえ映ったのだろうか。そのあとシェーンは抱き着いてきた。そして一言”絶対帰ってきなさいよ。”と言ってきた。
俺は何も言わずにシェーンを抱き締め返す。しばらくそのままの時間が続いた。そしてシェリーとの時間は終わりを告げた。
どちらということもなく離れ城の中に入り階段を降りていく。そして降り終わった先には王様がいた。
「おう。二人とも戻ったか。」
俺はその言葉が白々しく聞こえてしまった。なぜなら、階段を降りる途中廊下で行ったり来たりを繰り返すのが見えたからだ。というかその時から内心気が気ではなかった。
「はい。先ほど戻って参りました。それよりこれお父様にお土産です。」
シェーンは最初に行ったお店で買った袋を王様に差し出した。いつの間に買ったのだろうか。そういえば俺の分を持って行く時明らかに多かったような。王様のほうを見ると目を輝かせていた。
「シェーンから私にか。ありがとう。大事にするよ。」
しかし、目を輝かせていたのは一瞬であった。
「・・・シェーン。私の言ったことは、忘れてないだろうな。」
こんな真剣な表情をシェーンに向けているところを初めて見る。何というか一瞬で親から一国の王へと戻ったようなそんな感じ。
「わかっています。」
「それなら良いのだ。・・・それにしては距離が近いようだが。」
王様は一点を見つめていた。ちょうど俺とシェーンの間、手がある位置だ。そこでハッとする。まだここだけ余韻を残していた。俺は急いで離そうとする。だが、シェーンがそれを許してくれなかった。
「そんなことはないと思いますよ。」
シェーンは何も気にしていないようで堂々としている。
「はあ、まあよい。それよりも夕食の時間だ。荷物を置いたら食堂に来なさい。」
そう言うと王様は食堂の方に向かっていった。王様の姿が見えなくなるまで俺たちはその場に立ち尽くしていた。
「じゃあ、俺はこっちなので。」
「そうだったわね。じゃあまた後で。」
手を離し,それぞれの道に進んでいく。
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