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第四章 不変
内緒話
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なんだか外が騒がしくて目が覚めた。窓の方に向かい外を眺めると、木は折れそうなほどしなり、地面は抉られ、凸凹道を形成し、薄っすらと白い膜のようなものを帯びている。
「勘弁してくれよ。」
俺の声は虚しく部屋のなかで消えていく。窓を眺めているとドアがノックされる音がする。
「ビスさん、起きてますか?」
モルテの声だ。おそらく俺と同じことをし、こちらに来たのだろう。最終確認をしに。わかっているだろう答えを聞きに。
「ああ、起きてる。ちょっとそこで待ってくれ。今開けるから。」
ドアを開け、モルテを招き入れようとするが、モルテは部屋に入る気はないようだった。
「ここでいいですよ。それより外の様子見ましたか?」
「ああ、ひどい状況だな。残念だが、ここで足止めだ。まあ、ドイボさんに確認しなきゃいけないがな。」
「そう、ですよね。わかりました。でも、どうしますか?やることもないからと言って動き回るのも危険ですし。」
「そうだな。どうしたものか。」
俺は頭を悩ませているとドイボさんがやってきた。
「ああ、お二人ともここにいらっしゃいましたか。朝食ができたのでお持ちしました。」
「ドイボさんいいところに。」
ドイボさんは俺の言葉に首を傾げていた。目は遠くを見つめ何か考え事をしているみたいだ。
「はて?何かありましたかね。」
「すみませんが、ここにもう一泊させてくれませんか?出来たらでいいのですが。」
ドイボさんは目を見開きながら、片方握り拳をつくり、もう片方の開かれた手ににポンと落とした。
「ああ、そういうことですか。いいですよ。むしろ大歓迎です。賑やかなのはいいことですから。それに私はこんな状況の時に追い出すような薄情者ではないです。・・・ああ、別に怒っているわけではないですよ。」
また、ドイボさんは自分の言葉に引っかかりがあったのか訂正を付け加えた。
「わかってます。ありがとうございます。」
会話をしている途中であることを思いついた。
「モルテ。いいこと思いついたぞ。」
「何か嫌な予感がするのですが、気のせいでしょうか?」
モルテはあんなことを言っているが、俺は無視してドイボさんに耳打ちをする。
「ドイボさん、今日なんですが・・・」
言い終わると、ドイボさんは大声を上げた。俺の耳元で。鼓膜が破けそうだ。
「ええ!?・・・あっ。すみません。でも、お客さんにそんなことさせられませんよ。」
俺は片耳を押さえながら、ドイボさんの言葉に食い下がる。
「俺たちすることがないんです。手持無沙汰なのでお願いしますよ。」
ドイボさんは頭を抱え考え込んでいた。横目にはドイボさんと同じようなモルテが見える。
「うーん。・・・わかりました。そこまでおっしゃるのならお言葉に甘えさせていただきます。ですが、後悔しないでくださいね。」
最後の言葉は気になるが、することができたので退屈する心配はないだろう。
「じゃあこれ朝食ですので、受け取ってください。・・・ではこれで。あとでフロントのほうに来てくださいね。」
「ええ、わかりました。」
「ビスさん、あなたまさか。」
俺はモルテの方に視線を向けた。モルテが俺の表情をどんな風に取ったかはわからないが、俺がドイボさんに言ったことがわかったらしい。モルテの顔はため息とともに力が抜けていった。
「はあ、勘弁してくださいよ。こんなところに来てまでこき使われるなんて。」
「ああ、頼りにしてるぞ。先輩。」
モルテは俺を睨みつけていた。
「・・・あとで覚えておいてくださいね。」
そう吐き捨て俺の部屋に入ってくる。
「お、おい。お前の部屋はあっちだろ。それとも寂しいのか?」
「ち、違いますよ。昨日あんなに聞いてくるものだから、ビスさんが寂しいのかなと思いまして、迷惑ですか?」
なにやら、昨夜とは少し様子が違う。それに何だか少し震えているような、気のせいだろうか。それに最後の言葉をいう時見上げるようにこちらを見ていたような気が。
「迷惑なんてことはない。良く気付いたな。そうなんだよ。一人で食事をするのが寂しくてな。ほら、入った、入った。」
「ちょ、ちょっと押さないでくださいよ。・・・でも、ありがとうございます。」
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってません。」
モルテはそう言って足早に中に入っていった。
「勘弁してくれよ。」
俺の声は虚しく部屋のなかで消えていく。窓を眺めているとドアがノックされる音がする。
「ビスさん、起きてますか?」
モルテの声だ。おそらく俺と同じことをし、こちらに来たのだろう。最終確認をしに。わかっているだろう答えを聞きに。
「ああ、起きてる。ちょっとそこで待ってくれ。今開けるから。」
ドアを開け、モルテを招き入れようとするが、モルテは部屋に入る気はないようだった。
「ここでいいですよ。それより外の様子見ましたか?」
「ああ、ひどい状況だな。残念だが、ここで足止めだ。まあ、ドイボさんに確認しなきゃいけないがな。」
「そう、ですよね。わかりました。でも、どうしますか?やることもないからと言って動き回るのも危険ですし。」
「そうだな。どうしたものか。」
俺は頭を悩ませているとドイボさんがやってきた。
「ああ、お二人ともここにいらっしゃいましたか。朝食ができたのでお持ちしました。」
「ドイボさんいいところに。」
ドイボさんは俺の言葉に首を傾げていた。目は遠くを見つめ何か考え事をしているみたいだ。
「はて?何かありましたかね。」
「すみませんが、ここにもう一泊させてくれませんか?出来たらでいいのですが。」
ドイボさんは目を見開きながら、片方握り拳をつくり、もう片方の開かれた手ににポンと落とした。
「ああ、そういうことですか。いいですよ。むしろ大歓迎です。賑やかなのはいいことですから。それに私はこんな状況の時に追い出すような薄情者ではないです。・・・ああ、別に怒っているわけではないですよ。」
また、ドイボさんは自分の言葉に引っかかりがあったのか訂正を付け加えた。
「わかってます。ありがとうございます。」
会話をしている途中であることを思いついた。
「モルテ。いいこと思いついたぞ。」
「何か嫌な予感がするのですが、気のせいでしょうか?」
モルテはあんなことを言っているが、俺は無視してドイボさんに耳打ちをする。
「ドイボさん、今日なんですが・・・」
言い終わると、ドイボさんは大声を上げた。俺の耳元で。鼓膜が破けそうだ。
「ええ!?・・・あっ。すみません。でも、お客さんにそんなことさせられませんよ。」
俺は片耳を押さえながら、ドイボさんの言葉に食い下がる。
「俺たちすることがないんです。手持無沙汰なのでお願いしますよ。」
ドイボさんは頭を抱え考え込んでいた。横目にはドイボさんと同じようなモルテが見える。
「うーん。・・・わかりました。そこまでおっしゃるのならお言葉に甘えさせていただきます。ですが、後悔しないでくださいね。」
最後の言葉は気になるが、することができたので退屈する心配はないだろう。
「じゃあこれ朝食ですので、受け取ってください。・・・ではこれで。あとでフロントのほうに来てくださいね。」
「ええ、わかりました。」
「ビスさん、あなたまさか。」
俺はモルテの方に視線を向けた。モルテが俺の表情をどんな風に取ったかはわからないが、俺がドイボさんに言ったことがわかったらしい。モルテの顔はため息とともに力が抜けていった。
「はあ、勘弁してくださいよ。こんなところに来てまでこき使われるなんて。」
「ああ、頼りにしてるぞ。先輩。」
モルテは俺を睨みつけていた。
「・・・あとで覚えておいてくださいね。」
そう吐き捨て俺の部屋に入ってくる。
「お、おい。お前の部屋はあっちだろ。それとも寂しいのか?」
「ち、違いますよ。昨日あんなに聞いてくるものだから、ビスさんが寂しいのかなと思いまして、迷惑ですか?」
なにやら、昨夜とは少し様子が違う。それに何だか少し震えているような、気のせいだろうか。それに最後の言葉をいう時見上げるようにこちらを見ていたような気が。
「迷惑なんてことはない。良く気付いたな。そうなんだよ。一人で食事をするのが寂しくてな。ほら、入った、入った。」
「ちょ、ちょっと押さないでくださいよ。・・・でも、ありがとうございます。」
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってません。」
モルテはそう言って足早に中に入っていった。
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