ヒレイスト物語

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第五章 旅立ち

機嫌の理由

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辺りに金属音が鳴り響いている。俺は今二人の様子を見に傭兵の訓練場に来ていた。そして、なぜか俺の部屋の前で待っていたメイユと一緒にいる。アシオンはというと、一人で町に出かけたらしい。一番アシオンが食いつきそうな場所なのにな。まあ、何かを起こす危険性が減ったのでいいのだが


「一緒にいてもつまらないと思うがいいのか」


「別にいいんです。ワタクシもあの二人が気になりますから」


そうは言うものの何かウズウズしている感じが否めない。ちょっと釘を刺しておかなければ


「二人の様子を見るだけだからな。絶対に手を出すなよ」


「・・・わかってます」


明らかに言葉を言うのに時間がかかったな。絶対に何かしらしようとしていたと思う。そんなやり取りをしていると、ソエルがこっちに気付いたらしく、明らかに動きがおかしくなっていた。明日出発だというのに精が出ることで、さっきより動きが敏捷になった気がする。体力的に大丈夫なのだろうか


「それにしても、弓矢か」


「恋しいですか?」


「ああ、恋しいね、ツッコミがいないとつまらない。というかお前の方が恋しんじゃないか?」


「そうですわね、争う相手がいないとつまらないですもの」


俺の意図とは違う反応で困る。争う相手とは切磋琢磨云々だろうか。確かに何かにつけてあいつに突っかかっていたからそのことだろう


「埋められそうですか?」


「どうだろうな、これだけじゃ判断できないさ。まあ、実力的にはどっこいどっこいってとこじゃないか」


「そうだといいんですけどね」


「何か気になるとこでもあるのか?」


「いえ、特には。さっきのはただの独り言ですので忘れてください」



忘れろといってもな、そんなに含みのある言い方をされたら気にならないほうがおかしい。それでも、メイユはそれ以上言う気はないようだ。メイユとの会話に集中しているとソエルがこちらにやってきていた


「ビスさん、とメイユさんでしたか?どうです、立ち合いしませんか?」



ソエルからのお誘い。もしかしたらメイユが受けるかもしれない。あんなにもうずうずしていたのだから。止めようかとも思ったがそれをする必要もないようだった


「ワタクシはやめておきます」


そういうとメイユは訓練場を出て行ってしまった。少々様子がおかしかったような。その様子を見たソエルは大きな口を開けポカンとしていた


「あー、気にするな、多分調子が悪かったんだと思う」


「そんな感じには見えませんでしたが。ビスさんはどうしますか?」


「うーん。済まないが俺もやめておくよ。明日の出発も早いしな」


「そうですか。残念です」


ソエルはそう言いながら、俯いていた。ソエルには悪いがさっき言ったことも本当だが、今はメイユの方が気になる。あまりにも態度が変わり過ぎていた


「本当にすまない・・・ソエルもほどほどにしておけよ」


「あ、はい。気をつけます」



俺は訓練場をあとにした。俺を見るソエルの目が、気になったが後々わかることだろう。ただ、あの輝いた目には、危うさが宿っているように思えて仕方なかった。早めにその危うさを排除しなければ後々響く、そう薄っすらと頭をよぎった
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