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第五章 旅立ち
抜けたところ
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訓練場を出て辺りを見渡してもメイユの姿はどこにもなかった。そう思っていると後ろから声が聞こえた。心臓が止まるかと思った。そういうのはやめてほしいものだ
「こっちよ、ビス」
「先に行ったはずなのになんで後ろにいるんだよ」
「そうだったかしら」
「はあ・・・それよりなんで、ソエルの誘い断ったんだよ。あんなに体動かしたそうだったのに」
そういうと、メイユの表情が歪んだが、一瞬で元に戻った。自分は平常運転だと言わんばかりに。いくら顔を繕っても言葉にそれが出ているのだ無理だろうまあ、これで気付かないやつもいるだろうけどな
「それはビスがそう思っただけでしょう。それともワタクシのことは何でもわかるのかしら」
何か機嫌が悪そうだな。誰に対してのものなのか、俺には検討も付かなかった。それがどこから来るものなのかも
「それは無理だな」
「あら、残念・・・ほら、もう一人のところ行くのでしょう。早く行きますわよ」
「ちょっと待て。そっちは逆だ」
メイユは何事もなかったかのように身を翻し、こっちを見ずに“早く行きますわよ”ともう一度言ってきた。完全に自分のなかでなかったことにしたなこいつ
パヴィはこの時間帯、中庭にいるらしい。そこに向かう途中俺はソエルのことについてメイユに聞いていた
「メイユはソエルのことどう思った?」
「特に何も」
「何もないというわけないだろう」
「・・・そうですね、一つ言えることはモルテさんとは別人ということでしょうか」
「いや、それはわかってるよ。それ以外に何かないのか?」
「ほかにと言われても困りましたわ。じゃあ、もう一つだけ、ワタクシあの場でソエルさんとぶつかっていたら、ボコボコにしていたと思います」
こえーよ。というか、どういう意味で言っているのだろう。それって弱いってことじゃないのか
「それは弱いということか?」
「いえ、強いとは思いますよ」
ますますわからなくなってきた。一つわかることはあまりソエルのことをよく思っていないということか。ぶつかるならアシオンだと思っていたが、メイユもか。これはややこしいことになってきたな。ここはアシオンとソエルがぶつからないことを祈るばかりだ
「ビス、あれ。パヴィじゃない?」
もうちょっと突きたかったが、目的地に着いてしまった。というかここが中庭?前に来たことがあるけど、こんなに木や花があっただろうか。確か前はシェーンたちと稽古で使っていた場所で更地のような感じだったと思うのだが
「こっちよ、ビス」
「先に行ったはずなのになんで後ろにいるんだよ」
「そうだったかしら」
「はあ・・・それよりなんで、ソエルの誘い断ったんだよ。あんなに体動かしたそうだったのに」
そういうと、メイユの表情が歪んだが、一瞬で元に戻った。自分は平常運転だと言わんばかりに。いくら顔を繕っても言葉にそれが出ているのだ無理だろうまあ、これで気付かないやつもいるだろうけどな
「それはビスがそう思っただけでしょう。それともワタクシのことは何でもわかるのかしら」
何か機嫌が悪そうだな。誰に対してのものなのか、俺には検討も付かなかった。それがどこから来るものなのかも
「それは無理だな」
「あら、残念・・・ほら、もう一人のところ行くのでしょう。早く行きますわよ」
「ちょっと待て。そっちは逆だ」
メイユは何事もなかったかのように身を翻し、こっちを見ずに“早く行きますわよ”ともう一度言ってきた。完全に自分のなかでなかったことにしたなこいつ
パヴィはこの時間帯、中庭にいるらしい。そこに向かう途中俺はソエルのことについてメイユに聞いていた
「メイユはソエルのことどう思った?」
「特に何も」
「何もないというわけないだろう」
「・・・そうですね、一つ言えることはモルテさんとは別人ということでしょうか」
「いや、それはわかってるよ。それ以外に何かないのか?」
「ほかにと言われても困りましたわ。じゃあ、もう一つだけ、ワタクシあの場でソエルさんとぶつかっていたら、ボコボコにしていたと思います」
こえーよ。というか、どういう意味で言っているのだろう。それって弱いってことじゃないのか
「それは弱いということか?」
「いえ、強いとは思いますよ」
ますますわからなくなってきた。一つわかることはあまりソエルのことをよく思っていないということか。ぶつかるならアシオンだと思っていたが、メイユもか。これはややこしいことになってきたな。ここはアシオンとソエルがぶつからないことを祈るばかりだ
「ビス、あれ。パヴィじゃない?」
もうちょっと突きたかったが、目的地に着いてしまった。というかここが中庭?前に来たことがあるけど、こんなに木や花があっただろうか。確か前はシェーンたちと稽古で使っていた場所で更地のような感じだったと思うのだが
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