ヒレイスト物語

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第五章 旅立ち

迫られる決断

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名前を知られていることはもう驚くまい。まあ、ソエルとは別の理由で知られているのだと思うが。頭のなかに、オレの名前を教えた人物たちが思い浮かんだ。わかったところでどうしようもないけどな


「相談とは何ですか?」

「人出が欲しいのじゃ。ソエルをこの里に置いていって欲しいのじゃ」

「え?」


声をあげたのはソエルだった。そりゃそうだろう。おそらく人出が欲しいということまではなんとなくこの場にいる全員わかっていたと思う。ただ、それが名指しで来るなど誰も思うまい


「なぜソエル何ですか?」

「あの子はもともとこの里の者じゃ。それにビスさんたちは何かやることがあるのじゃろ、むやみに止めることは出来ませんしの」

「・・・それは強制ですか?」

「いーや、そんなことはないのじゃ。ただ、そうしなければこの里が壊滅するのも時間の問題というだけのこと」


それは、もう半強制的なものではないだろうか。ソエルの方を見ると、頭を抱えていた。おそらく頭のなかがパンク寸前なのだと思う


「少し考えさせていただけませんか?」

「わかったのじゃ」

「レスプケ様‼なぜ考えさせる必要があるのですか?答えは一つしかないでしょう」

「そんなに急くな。サジュ、あの子にも選択する権利はあると思うが違うかの?」


レスプケの片目が見えた。それはサジュを睨みつけているというよりも諭しているような目であった。片目だけでも効果は覿面のようでサジュはレスプケの言葉にたじろんでいる


「それは・・・」

「わかったのであれば、ビスさんたちを儂の家に案内してくれるかの。ここまでの道のりで疲れたと思うからのぉ」

「・・・わかりました。皆さんこちらです」


俺たちはサジュの案内でレスプケの家へと向かうことになった。俺の先にいるサジュの背中は吐き出せない何かが渦巻いているようだ


「ああ、ソエル。少しだけこの老いぼれの相手をしてくれないかの」

「え?・・・わかりました」

一瞬こちらにお伺いをたてるような視線をよこしたが、俺は見て見ぬふりをした。それに気づいたのかソエルは自分自身で答えを出したようだ。まあ、聞きたいことは沢山あるだろうしな。残った方がいいかもと一瞬思ったが、思い留まった。レスプケの話を聞いてソエルがどんな決断を下そうと受入ようと思う。それにしても、近くの草むらがガサガサと揺れたと思うのは気のせいだろうか。そう思っていると急に風が強くなり始めた


「なんだ、風か・・・ソエル先に行ってるからな」

「僕も話が終わったらすぐ向かいます」

「ビスさん悪いのぉ、すぐ終わる故許してくれ。ほれソエルこっちに来るのじゃ」

「はい」
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