ヒレイスト物語

第五章 旅立ち

惑わせる道

なかに入ると、涼やかな空気が流れている。ただ、涼しいだけではなく土が放つ熱のおかげでちょうどいい暖かさを保っている。等間隔で置かれている明かりを頼りに階段を降りていく。それにしても、意外と階段が長いな。てっきりすぐつくものだと思っていた。場も持ちそうにない


「あの、一つ聞いてもいいですか？」

「何ですか？私の堪えられる範囲であれば構いませんよ」

「レスプケ様とサジュさんはどういう関係なんですか？」

「ああ、そういえば言っていませんでしたね。親子ですよ」

「親子？失礼ですが、サジュさんっておいくつ何ですか？」

「はははっ。えーと、忘れてしまいました・・・まあ、言いたいことはわかります。ただ、我々は人間よりも長寿の種族で、ある程度成長したら、見た目の変化は著しく遅くなりますから」


確かに本を読んで知ってはいたが、目の前で見ると本当にわからないものだな。そうなると一つ疑問が出てきた


「あの、ソエルっていくつかわかりますか？」

「ああ、あの子はおそらくあなたよりも年下のはずですよ」


勝手に年下だと思っていたが、その通りで安心している。今まで気にしていなかったが、こうなってようやく気にし出した。そうなるともしかすると・・・いや考えるのは、やめておこう


「ようやくここまで来たか」


アシオンの言葉に、意識が前へと移る。そして階段がようやく終わり、拓けたところに辿り着いた。そして、その部屋から五つの道に分かれているのが見てとれる。そして、俺たちは部屋の中央まで移動した


「では、アシオンさんとメイユさんは前の部屋を使っていただきます。場所は覚えてらっしゃいますよね？」


「おう、大丈夫だ。じゃあ、俺は先に部屋に行ってるぜ」


そういうとアシオンはスタスタと真っ直ぐ進んでいった


「アシオン、そっちじゃないわ。反対側の道よ」

「はははッ。わざとだよ、わざと。今度こそじゃあな」


そして、アシオンは来た道を戻っていってしまった。あいつ覚えてないな。ていうか、あいつよくここまで辿り着けたな


「ア、アシオンさんそっちは出口ですよ」

「大丈夫ですわよ。そのうち戻ってきますわ。まあ、あとあと面倒臭いからワタクシは部屋に行きますわね」


そういうと、メイユは右の道を進んでいった。サジュが何も言わないということは道はあっているのだろう


「・・・アシオンさんが戻ってくるまでに時間がかかりそうですね、ここにいてもどうしようもないので、部屋まで案内しますね。ビスさんを案内し終わりましたらここに戻ってアシオンさんが戻ってくるのを待つことにします」

「なんかすみません、お願いします」

「いえいえ。ビスさんが謝る必要はないですよ」