ヒレイスト物語

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第五章 旅立ち

尋ね人

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しばらく部屋で休んでいると、ドアがノックされる。ドアを開けるとサジュが夕食をらしきものを持っていた。てっきり、サジュ一人かと思ったのだが、その後ろにアシオンとメイユの姿があった


「先にこのお二人を訪ねたら、ビスさんのところで食べると言われましたので、お連れしました」

「それは別にいいんですが、あのソエルとパヴィは?」

もしかしたら、あの二人はまだここに来ていないのではないかと心配になってしまう


「ええ、先ほどソエルは母とここに着きましたよ。ビスさんの言う通りパヴィさんはその少し後にここに着きました・・・お二人は一人部屋で食べるとのことでしたので。お二人もお連れした方がいいですか?」

「いえ、別に大丈夫です。着いたかどうか気になっただけですから。それに、一人になりたい時もあると思いますので」

「承知しました。それでは私はこれで。食事が終わりましたら連絡してください。食器を下げに参りますので」


そういうと、サジュさんは部屋から出ていった。大変だろうが、下手に手伝うと言って迷いでもしたら余計に仕事を増やすだけだしな。ここは大人しくして置こう


「それにしても、なんで二人ともここに来たんだ?」

「なんだ、ダメだったか?」

「いや、別にそんなことはない。ただ、気になっただけだ」

「別に理由なんてないわよ。それより、ビスの方があるんじゃないかしら」

メイユの言う通りである。この二人が来なかったら、自分の方から行くつもりであった。聞きたいことがあったからな


「そんなことより早く食おうぜ。腹が減っちまった」

「食い意地を張って、と言いたいところだけど、ワタクシもお腹がすきましたわ」

「そうだな。話は食べながらにしよう。二人ともそこに座って・・・て、もう座ってるか」


飲み物を準備し、テーブルに戻るとすでに二人は座って待っていた


「ほら、ビスも早く座れよ」

「わかってるよ。たく」


俺が座ると、アシオンは料理にがっつき始めた。何だか、待てをされた犬のようで笑いが込み上げてくる


「ん?ふぁんだビス、ふぉうかしたのか?」

「いや、別に。美味しそうに食べるなと思って」

「そんなにゆっくりしているとお前の分もオレが食べちまうぜ」

「やめなさい、アシオン。料理は逃げないし、誰もあなたのものを狙ってないわよ」

「ふん、この前のこと忘れてないぜ。そう言ってオレを油断させる気だろ」

「はあ、もういいわ」


メイユはアシオンと対照的にゆっくりと食べている。それにしても、アシオンはこの前のことを覚えていたのか。まあ、今回はそうなることはないだろうが、アシオンが何を仕掛けてくるかわからないので、少し食べるスピードを上げた
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