アナスタシス・フルム

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第3章 祭壇の謎

氷の彫刻

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結果を言うとどこにもそれはなかった。ダンジョン内を隈なく探したがどこにもない。そして今俺たちはどでかい扉の前に立っていた。


「はあ、なかったな。」


「仕方ないわよ。一つあるだけいいじゃない。最悪一人ずつ挑戦するってのもありでしょ。」


そうなのだが、俺的には一緒に挑戦したくなっていたのだ。やっとできた仲間。その仲間と一緒に困難に立ち向かうことの楽しさを知ってしまった。であれば、その困難が大きければ大きいほどその楽しさは増すだろう。そう考えると残念でならない。


「そんなに落ち込まないでよ。私だって・・・まあ、あれよ。フロワストーンはここにしかないと決まったわけじゃないでしょ。他のダンジョンを探しましょ、ね。」


「そうだな。今は目の前の困難をどうにかしよう。」


そう返事はしたが、おそらくここの他にフロワストーンはないだろう。根拠はないが、俺はそう思っていた。おそらくディタもそう思ってると思う。ディタのさっきの発した言葉、明るく大きな声で発してはいたが、不思議とその言葉は木霊することなく消えていったからだ。見た目は力強いが、中身は弱弱しいモノ。”虚偽”そんな言葉が頭に浮かんだ。まあ、別にディタが悪いと言っているわけではないが。


「ええ。そうね。行きましょう。」


俺たちは扉に手をかけた。少し開いただけで凄まじい冷気が漏れてくる。





「おい‼ディタ、気をつけろよ。」


「わかってるわ。」


俺たちは部屋に入った瞬間、武器を構えた。だが、一向に攻撃が来ることはない。


「・・・襲ってこないな。」


「そうね。でも、うーん。」


ディタは何か悩んでいるようだったが、俺は木にせずそれを見た。それは、氷でできたどでかい彫刻であった。まん丸の耳、円らな瞳、丸みを帯びた逆三角形の鼻。ここまで聞けば可愛らしい動物を想像するかもしれない。だが、そんなことはなくその下に目を向けると、口を大きく開け牙をむき出しにし、こちらに襲わんばかりに伸ばされた前足には、鋭い爪が付いているため、俺は勘違い?した。


「なーんだ。彫刻か。怖がらせやがって。このこの‼」


レクスがその彫刻に向い、蹴りをかましていた。嫌な予感がする。そう思っていると、ゴゴゴゴゴと地鳴りがし始める。そしてあることに気付く。あ、うん、やっぱりな。


「レクス~。離れろ~。」


「えっ!?なに!?聞こえないよ~。」


どうやら、俺の声は届かなかったらしい。大きな声は出したんだがな。遠いのもあるが地鳴りで聞こえないのだろう。まあ、聞こえていたとしてももう遅いんだが。


「ゴギャアアアア‼」


独特な雄たけびとともに腕がレクスに振り落とされる。



「ひええ・・・・」
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