アナスタシス・フルム

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第5章 異常気象の正体

三つの山

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候補に挙がったのは三つ。一つは一際熱を放出し、今か今かと噴火の時を待っている山でところどころマグマらしきものが垂れ流れている。そして、山の周りにはマグマの川が流れていた。

二つ目は熱の放出は感じられるが、一つ目の山ほどではなくマグマも表出はしていない。ただ、山の周りには水量は少ないが川と呼べるものがあった。

三つ目は、火山としての活動はしていなく三つのなかで熱は一番感じられない。それに山の周りには窪みすらない。なら、なぜこの山が候補に挙がったのかというと地面だ。明らかに色が違う。山をグルッと一周灰色の地面で囲まれており、その境も存在していた


「ははは、見事に予想していたもの全部出てきたな」

「笑い事じゃないわよ」

「笑わないとやってられないだろ」

「はあ、そうなんだけど」


俺もディタも汗だくになりながら、山道を歩き回り体力の消耗が激しい。笑い飛ばしでもしなければやっていられなかった

「それより、ディタはどれだと思った?」

「うーん。まだどれか何てわからないけど、希望としては三つ目で合って欲しいわね」

ディタは額に浮かんだ汗を拭いながらそう答えた。それにしても、希望か。まあ、確かに三つ目の山のなかじゃあの山が進みやすそうだ。あの声の主がひねくれ者であるならあの山が正しいのだろう


「ボクは二つ目の山だと思うな~」

「だったら二つ目はちゃいますな」

エミンが間髪入れずにレクスの案を否定した

「ひどいよ~、エミン。すぐに否定するなんて」

「なら何でそう思たんどすか?」


エミンがそう聞くと、レクスは腕組みし、下を向き何か考え事をしているようである。今皿考えているのかと突っ込みたくもなるが、今はそっと待つことにするか。ただ、エミンはもうすでにレクスから興味がなくなったようでディタと違う話しをし始めていた。そうこうしているとレクスの考えはまとまったみたいで勢いよく顔を上げ言い放った


「勘だよ~・・・ってあれエミン聞いている?」


勢いよく上げた顔は、澄ました顔をしている。ただ、エミンが聞いているように思えなかったようで一瞬で眉毛が下がり情けない顔になっていた。まあ、レクスの思った通りエミンは聞いていなかったようだが


「え?ああ、聞いとったよ。レクスはんはすごいどすな、そんなこと思いつくなんて」


「そうでしょ、そうでしょ~。もっと褒めてよ~・・・あれ、思いつくって何のこと?」


何か違和感がしたようだったが、気付いた時にはすでにエミンはディタとともに別の場所に行き始めていた。レクスが“そうでしょ”と最初に言葉を発した時には動き出しており、レクスは頭を上下に動かしながら話していたため気付かなかったようだ


「ねえエミン待ってよ~、思いついたって何のこと~」


レクスはそう問うが答えが返って来ないだろう。適当にあしらわれてこっちに来る気がする。・・・ほら


「ロガ見てこれ~。エミンにもらっちゃった~」


レクスの手には真っ赤なリンゴが握られていた。まあ、水分補給にはなるとは思うがそんなもので懐柔されるとは。まあ、食べ物でつられるのはいつものことなのだが


「・・・あれ、なんか忘れているような。まあ、いっか。ん~このリンゴ美味しい~。そんな羨ましそうな顔してもあげないよ~」


「はあ」


美味しそうで何よりだ。それよりもどの山が火山の神殿に繋がるか探さなくては。レクスの相手をしてはいられない
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