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第5章 異常気象の正体
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一番目の山までやってきた。近づけば近づくほど、マグマが川の如く流れをつくり山の周りをゆっくり回っているように思えてくる。それにしてもそこから来る熱は、計り知れない。ただ、誰一人としてこの山を選んだことに文句を言うことはなかった。まあ、俺たちは熱さに耐え切れず、フロワストーンを着用させているのだが
「これってあそこ通らなきゃいけないのよね」
「あそこしか道がないからな」
俺とディタの視線の先には不規則に配置されている飛び石がある。その下はもちろんマグマが流れており、落ちてくるのを今か今かと何かが待ち構えているのか、呼吸でもしているように規則的にブツブツと音をたて、こちらの様子を窺っているようだ
「水でもかけてみたら固まるかしら。“ウォーター”」
ディタの思惑虚しく水はあっという間に蒸発し、熱気へと変わりこちらに襲い掛かってきた
「あっつ」
「ご、ごめんなさい」
「別にいいよ。それより魔法じゃどうにもならなそうだな。ディタの氷魔法でも無理そうだな。氷を張ることは出来るとは思うけど、長く持ちそうもないし、それに滑って逆に危ない気がする」
「そうね。やっぱりあそこを通った方がいいのよね」
そうは言うもののディタは一歩足が出ないみたいだ。かくいう俺もだ。飛び石はマグマの流れに流されない強さとそのマグマに溶けない強さがあるので、下手なことをしなければ落ちることはないだろう。ただ、そう思ってはいてもなかなか一歩が出ない
「お~い。みんな遅いよ~、早くこっち来てよ~」
向こう岸から見知った声が聞こえてくる。顔を上げるとすでにレクスが向こう岸に辿り着いていた。おそらく飛んであそこまでいったのだろう
「ははっ・・・待ってろ、今すぐいくから」
レクスに催促され先を急ぐ。ただ、そこに焦りはなく、なぜか怖さも少し消え去っていた。そして一つ飛び石を渡ることができた
「ちょ、ロガ。そんなに焦らなくても・・・」
「大丈夫だよ。ほら、ディタも思いっきり飛んで来い。行き過ぎないように俺が受け止めるから」
「わ、わかったわ」
そういうとディタは後ろにジリジリと下がっていく。助走は必要だな、うん・・・でも下がり過ぎな気がしないでもない。確かに“思いっきり”とは言ったが。そしてディタ的には十分な距離を取ったのか、後ろに下がるのを止めこちらに全速力で向かってくる
「うわわわわわ‼」
「お、おい。何で目を閉じて飛んでくるんだよ・・・っと。良かった、受け止められた。おい大丈夫かディタ」
「・・・ええ」
抱きとめたディタの体は小刻みに揺れている。全速力で走ったこともあると思うが、それだけじゃない気がする
「大丈夫。次も必ず俺が受け止めるから。ほら、あと三つだけだ」
「うん」
こんなしおらしいディタの姿、何だか気が狂う。無意識にこめかみをポリポリとかいてしまう
「・・・あの、そろそろ次に行かないか。レクスのやつが待ってるし」
「そ、そうね」
ディタが何かに気付いたのかバッと俺から離れ後ずさりした。一瞬押されるのではないかとヒヤヒヤしたがそんなことはなかった。その先はサクサクとは言わないが、それでもゆっくりと確実に進むことができた
「よし、これで二人とも着いたぞ・・・レクス、なんだよその目」
レクスは目を半目にし、口元はどちらも口角が上がっているのに、口は空いていなかった。癪に障るというかなんというか。まあ、別に遅かったことに対してではないのはわかるのだが、なんとなく嫌な気がした
「ぐふふ、別に・・・いてっ、何か当たったような」
今のは俺じゃない。ディタはレクスとは反対を向いている。それにレクスに攻撃できるような態勢じゃない。おそらくレクスの後ろにいるエミンが攻撃したのだろう。ただ、どう攻撃したのかはわからない。そう思っていると第二撃がレクスを襲う
「いたたたたたた」
今度は確実にエミンが何をしているのか見ることができた。エミンは持っていたリンゴを食べ、そして驚くことに鼻から種を飛ばしたのだ。そんなことができるなんて知らなかった。種を飛ばした後エミンは直ぐ様近くの岩陰に身を隠していた
「だ、誰だよ~。ボクを攻撃してるのは~。ロガ助けて~・・・っていたたたたたた」
レクスが助けを求めこちらに来ようとすると、またもやエミンが岩陰から出てきてレクスに向かって種を飛ばしている
「・・・ありがとう、もう大丈夫」
今度はバッと離れることはなくゆっくりと俺から離れた。そして、エミンの方に向かっていく。一瞬見えたディタの顔は仄かに赤らんでいたように見えた
「ほらエミン。そんなところに隠れてないで行くわよ」
「いいとこやったのに」
「いたたたたたたた・・・ってあれ。やっと収まった?ロガ~なんで助けてくれなかったんだよ~」
レクスが泣き目になりながら、一目散こちらにやってくる
「ごめんごめん。なんかおも・・・じゃなかった。手が離せなかったからな」
「ううう」
「これってあそこ通らなきゃいけないのよね」
「あそこしか道がないからな」
俺とディタの視線の先には不規則に配置されている飛び石がある。その下はもちろんマグマが流れており、落ちてくるのを今か今かと何かが待ち構えているのか、呼吸でもしているように規則的にブツブツと音をたて、こちらの様子を窺っているようだ
「水でもかけてみたら固まるかしら。“ウォーター”」
ディタの思惑虚しく水はあっという間に蒸発し、熱気へと変わりこちらに襲い掛かってきた
「あっつ」
「ご、ごめんなさい」
「別にいいよ。それより魔法じゃどうにもならなそうだな。ディタの氷魔法でも無理そうだな。氷を張ることは出来るとは思うけど、長く持ちそうもないし、それに滑って逆に危ない気がする」
「そうね。やっぱりあそこを通った方がいいのよね」
そうは言うもののディタは一歩足が出ないみたいだ。かくいう俺もだ。飛び石はマグマの流れに流されない強さとそのマグマに溶けない強さがあるので、下手なことをしなければ落ちることはないだろう。ただ、そう思ってはいてもなかなか一歩が出ない
「お~い。みんな遅いよ~、早くこっち来てよ~」
向こう岸から見知った声が聞こえてくる。顔を上げるとすでにレクスが向こう岸に辿り着いていた。おそらく飛んであそこまでいったのだろう
「ははっ・・・待ってろ、今すぐいくから」
レクスに催促され先を急ぐ。ただ、そこに焦りはなく、なぜか怖さも少し消え去っていた。そして一つ飛び石を渡ることができた
「ちょ、ロガ。そんなに焦らなくても・・・」
「大丈夫だよ。ほら、ディタも思いっきり飛んで来い。行き過ぎないように俺が受け止めるから」
「わ、わかったわ」
そういうとディタは後ろにジリジリと下がっていく。助走は必要だな、うん・・・でも下がり過ぎな気がしないでもない。確かに“思いっきり”とは言ったが。そしてディタ的には十分な距離を取ったのか、後ろに下がるのを止めこちらに全速力で向かってくる
「うわわわわわ‼」
「お、おい。何で目を閉じて飛んでくるんだよ・・・っと。良かった、受け止められた。おい大丈夫かディタ」
「・・・ええ」
抱きとめたディタの体は小刻みに揺れている。全速力で走ったこともあると思うが、それだけじゃない気がする
「大丈夫。次も必ず俺が受け止めるから。ほら、あと三つだけだ」
「うん」
こんなしおらしいディタの姿、何だか気が狂う。無意識にこめかみをポリポリとかいてしまう
「・・・あの、そろそろ次に行かないか。レクスのやつが待ってるし」
「そ、そうね」
ディタが何かに気付いたのかバッと俺から離れ後ずさりした。一瞬押されるのではないかとヒヤヒヤしたがそんなことはなかった。その先はサクサクとは言わないが、それでもゆっくりと確実に進むことができた
「よし、これで二人とも着いたぞ・・・レクス、なんだよその目」
レクスは目を半目にし、口元はどちらも口角が上がっているのに、口は空いていなかった。癪に障るというかなんというか。まあ、別に遅かったことに対してではないのはわかるのだが、なんとなく嫌な気がした
「ぐふふ、別に・・・いてっ、何か当たったような」
今のは俺じゃない。ディタはレクスとは反対を向いている。それにレクスに攻撃できるような態勢じゃない。おそらくレクスの後ろにいるエミンが攻撃したのだろう。ただ、どう攻撃したのかはわからない。そう思っていると第二撃がレクスを襲う
「いたたたたたた」
今度は確実にエミンが何をしているのか見ることができた。エミンは持っていたリンゴを食べ、そして驚くことに鼻から種を飛ばしたのだ。そんなことができるなんて知らなかった。種を飛ばした後エミンは直ぐ様近くの岩陰に身を隠していた
「だ、誰だよ~。ボクを攻撃してるのは~。ロガ助けて~・・・っていたたたたたた」
レクスが助けを求めこちらに来ようとすると、またもやエミンが岩陰から出てきてレクスに向かって種を飛ばしている
「・・・ありがとう、もう大丈夫」
今度はバッと離れることはなくゆっくりと俺から離れた。そして、エミンの方に向かっていく。一瞬見えたディタの顔は仄かに赤らんでいたように見えた
「ほらエミン。そんなところに隠れてないで行くわよ」
「いいとこやったのに」
「いたたたたたたた・・・ってあれ。やっと収まった?ロガ~なんで助けてくれなかったんだよ~」
レクスが泣き目になりながら、一目散こちらにやってくる
「ごめんごめん。なんかおも・・・じゃなかった。手が離せなかったからな」
「ううう」
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