アナスタシス・フルム

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第6章 勇気ある愚者

悲鳴の主と理由

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声が聞こえてきたところが近い。おそらくあそこを抜ければ声の主も何が起きているのかもわかるだろう。身を引き付けなければ、あの奥から感じられる熱気に気圧されてしまいかねない

「うわあああああ」

「つまらん、あそこまで大見えを切っておいてこの程度か」

そこには、ボロ雑巾のような姿になり体を伏せているユゼリの姿とその姿にしたであろう炎を纏った神々しい姿の者が空中からユゼリを見下ろしていた

「お、お前たちやっと来たのか。おい、はやくオレを助けろ‼」

「なんでそんな偉そうなんだよ。助けて欲しいなら・・・はあ」

言いかけた言葉を飲み込んだ。そんなことを言ってしまってはユゼリと一緒になってしまうと思ったから。絶対にそれだけは嫌だった

「ん?おお、お主らか。やっと来たか待ちくたびれたぞ」

空中を飛んでいる主が俺たちに気付いたのか話かけてきた。それにしても、この声どこかで聞いたことがあるような・・・

「お前は、あの声の主か。あんなヒントにならないヒントをくれやがって」

「はははっ。あって早々文句か、それにこの姿を見て怯えないとは。やはり我の目に狂いはなかったわけだ」

そりゃお前の姿を見たら誰だって足が竦むわ。真っ赤な肌で筋肉質な体、背中に大きな翼が生え今なおそれを羽ばたかせている。そして何もかも切り裂いてしまいそうな爪と噛まれたらギロチンの如く切断されそうな牙。一番の特徴は炎を纏い、近づいただけで溶けてしまいそうだ。体がマグマでできているかのように見える。そんな姿を見てそう言われた俺も怖さを紛らわすために声を出しているだけなのだが。

「そんなことない。もう足がガクガクだ」

「ちょっとロガ何で言うのよ」

「別に言ったって言わなくたって一緒だろ」

「そうだけど、はあなんか気が抜けたわ」

さっきまで顔が硬直していたディタが、顔どころか体からも力が抜けたようだ。そんなに変なこと言ったかな

「ガハハハ。そうかそうか。ただ我の目に狂いがなかったことは間違いないようだ。最初の頃とは見違えておる」

「ハッ、何言っているんだお前は。こいつらはオレより弱い奴らだ、お前は見る目何てない」

さっきまであんなに怯えていたユゼリがなぜか粋がっている。今更そうなってもな、あんな姿を見た後だと呆れて声も出ない。あんなにやられておいてどこからそんな自信が出てくるのだろうか

「それより、みんなはどうしたの、ユゼリ?」

「みんな?あああいつらか。どいつもこいつも使えない。早々にいなくなったよ」

「いなくなったって、嘘!?」

「嘘じゃない。オレの盾になるぐらいにしか役に立たなかった」

「なんだよその言い方‼」

「そんなことよりオレを援護しろ。あいつらより役立てよ」

いなくなったのにこいつは自分のことばっかりだな。何だかイライラしてきた

「何を言っておる。お主にもう挑戦する権利は残っておらん。というより最初から我がダンジョンはお主には攻略できんよ。“フレムズフィーニス”」

声の主が魔法を唱えた瞬間ユゼリはオレンジ色の光に包まれそして姿を消した
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