逆行したら別人になった

弥生 桜香

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第一章

朝食

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 セラフィナイトとジェダイドの着替えが終わった後、私たちは私が用意した朝食を食べた。

「美味しい。」
「簡単なもんですよ?」

 本当に美味しそうに食べるコーラルに私は首を傾げる。

「そんな事ないよ、こんなおいしいスープ初めて。」
「たいした手間も掛けていないのに、そんなに褒められると変な気分。」
「いいじゃねぇか、お前への賛辞何だからな。」

 私の隣に座っていたジェダイドが私の言葉を拾い、そんな事を言う。
 だけど、私は釈然としない。

「もう少し、ちゃんとしたものを作ればよかった。」
「…手を抜いている訳じゃないんだろ。」
「手は抜いていないけど、そんなにも手間も掛けてないわ。」
「そりゃ、朝だからだろう。」
「そうかもしれないけど、もう少し頑張ればよかったわ。」
「……。」

 どこか呆れた顔をするジェダイドに私は無言になる。

「……。」
「……はー。」

 何故か溜息を零され、私はジェダイドの言葉を待つ。

「お前がそういう奴だとは分かっているけど、自分に色々と厳しくないか?」
「そうかしら?」
「疑問を疑問で返すな。」
「ごめんなさい。」
「……本気で怒っている訳じゃないからな。」

 私の目を見たジェダイドはそんな事を言う、私はどんな顔をしていたのだろうか。

「分かっているよ?」
「……。」

 ジェダイドはジッと私の方を見て、ポツリと呟く。
 無自覚かよ、と。
 何が無自覚なのかよく分かりませんが、多分、この話はここで終わりだと思います。

「ジェダイド。」
「何だ?」
「その…。」

 私が少し言いにくそうにすると、彼は眉を吊り上げる。

「何だ?」
「……その…、その服……。」
「服?」
「少しわかりにくいかな…とは思っていたんですけど……。」
「何が言いたいんだ、はっきり言ってくれ。」
「……。」

 流石に堂々と言う訳にはいかないと思うので、私はそっと彼に耳打ちをする。

「前後ろ反対になっています。」
「――っ!」

 私の言葉にカッと頬を赤くするジェダイドは年相応に見えて微笑ましく思います。

「何で早く言わない。」
「私も今気づいて。」
「……。」

 彼は苛立ちからか前髪を掻き上げる。

「悪い、八つ当たりだ。」
「いえ、私ももっと早くに気づけばよかったんですけど。」
「…いや、そもそも俺が悪いんだしな。」
「……。」
「それに、外に出る前で良かったと考えるべきだろう。」
「そうですね。」

 私は頷き、部屋に戻った時に着替えなおせばいいかと考える。

「そう言えば、相馬車とか言っていたが、それってなんだ?」
「……。」

 私は彼に説明していなかったのかと、今さらながらに気づかされる。

「ごめんなさい、説明不足だったね。」
「いや、そもそも知らない俺が悪いんだ。」

 きまり悪そうな顔をするジェダイドに私はどうして気が利かないのだと、少し落ち込むが、それよりも、彼に説明すべきだと気持ちを切り替える。

「相馬車っていうのは相乗り馬車の略称で目的地まで不特定多数の人を乗せてくれる馬車なのよ。」
「……大丈夫なのか?」

 ジェダイドは深刻そうな顔でそういうので、私はメリットとデメリットを考える。

「大丈夫だと思うわ、もし、いたとしても、その他大勢の前で大っぴらにするわけがないでしょうし、流石に、私たちがここまで来ているとは相手も思っていないと思うわ。」
「そうなのか?」
「それに、そろそろ相手も急くと思うから少しでも時間が短縮できるようだったら、そっちの方がいいから。」
「そうか。」
「まあ、多分で来たとしても今回限りだと思うけど。」
「何でだ?」
「こことダルヤだったら、まだ一般の人の相馬車は珍しくはないから、でも、ダルヤからだとね。」
「少ないのか?」
「ええ、基本的に貴族様が移動する訳なので、自家用の馬車があったり、明らかにどこかに仕える人だと分かるから。」
「そうか。」
「それ以外だと、商人とかある特定の職種の方ばかりで、子どもだけだと色々と邪推される可能性があるから。」
「そうか。」
「ごめんね。」
「いや、俺こそすまない。」
「えっ?」
「お前にばかり負担をかけてしまっているよな。」
「そんな事はないよ。」

 慌てて首を振る私にジェダイドは優しい目で私を見る。

「本当に俺はお前が居なければ何もできないな。」
「そんな事ないよ?」
「ある。」

 ジェダイドの目に私は参ってしまい、誤魔化すように少し冷め始めた朝食を食べ進める。

「マラカイト。」
「早く食べないと、冷めるよ。」
「そうだな。」

 ジェダイドは私の言葉に頷くと朝食を完食する為に手と口を動かす。
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