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第一章
村
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いつの間にか天まで上っていた太陽が西に沈みかけて、私たちはマギーおばさんの村までたどり着いた。
「ふう、無事にたどり着いたね。」
「はん、こんな餓鬼を連れなくともよかったんじゃねぇかよ。」
「あんたはまだそんな事を言っているのかい。」
荷下ろしを手伝っていると聞こえてくる会話に私は目線を走らせ、ジェダイドを見る。
幸いにもジェダイドには彼女たちの会話が聞こえない位置にいた。
私はホッとして息を吐く、もし、彼がこの会話を聞いていたら間違いなく男に突っかかっていくだろう。
無駄な争いをしても、ジェダイドに得なんてないのに何で突っかかっていくのか私には分からないけど、それでも、彼の印象を下げるのは嫌だった。
だから、聞こえない事に私は安心した。
「マラカイト。」
「はい。」
マギーおばさんに呼ばれ私は彼女に近づく。
「少ないけど、今回の護衛の報酬だよ。」
マギーおばさんはそう言って掌に五千ルードを握らせた。
「えっ、あの…、ここまで連れてきていただいたのだから、これは受け取れません。」
「いいんだよ、それにあの狼を受け取らないだろう?」
「それは雇い主のものだから。」
「なら、これは特別報酬。」
「……。」
これは絶対に引かないだろう、それを理解した私は握らされたお金に視線を落とし困惑する。
「こんな餓鬼にこんなもんは必要ねぇだろう。」
男はそう言うと私の手から二千ルードを引き抜いた。
「何をするんだい。」
「ふん、こんな餓鬼に五千ルードなんて多いんだよ。」
そう言い残すと、男は逃げるようにして立ち去る。
「あいつは本当に…。」
怒りを押し殺したマギーおばさんに私は同情するように彼女を見る。
「……ごめんね、マラカイト。」
「いいえ、それにしても、中途半端に逃げられましたね。」
「……。」
私は周りを見渡し、明らかに片づけが済んでいない空き箱や、荷物を見て苦笑を浮かべる。
「片づけるまでが仕事なのにあいつはいつまで経っても半人前だよ。」
「……。」
それに関しては何も言えない私は何も言わずに近くにあった空き箱を持つ。
「何処に仕舞えばいいですか?」
「それはあっちの納屋にだね。」
「分かりました。」
「本当に何から何まですまないね。」
「いいんですよ、こちらの方が助かったんですから。」
そう、もし歩いていたのならば一体この村にたどり着くだけでも何日必要になったか分からなかった。
多分、私一人なら三日くらいでたどり着いたかもしれないが、まだ子どものジェダイドと赤ん坊のセラフィナイトの体力を考えると、九日くらい掛かっていても可笑しくないかもしれない。
「……本当にマラカイトはいい子なのに、あいつときたら。」
プリプリと怒るマギーおばさんは慣れている動作で荷物を抱え上げると自宅の納屋に向かって歩き出す。
「マラカイトはこれからどうするのかい?」
「エメーリエに向かおうと思っています。」
「……騎士本部にかい?」
怪訝そうな顔をするマギーおばさんに私は苦笑する。
「目的地はもっと北にある親戚の家に向かうんですけど、馬車とかを考えたらまず、エメーリエに向かおうと思っています。」
「ああ、なるほどね。」
マギーおばさんは納得したのか何度か頷いたと思ったら、何故か悲しそうな顔をした。
「それにしても、彼の親御さんたちはどうしたんだい?」
「……。」
私は誤魔化すように笑う。
私はどうしてジェダイドがあの街に来たのか知らない、知っているのは彼の両親は王都(ルビアン)にいる事だけだった。
別に特別知りたいとは思わないけど、よくよく考えれば子どもが三人、しかも、一人は赤子、そんな三人が保護者もなく旅をしていたら変だろう。
幸いにもそれを聞いてきたのは私が訳ありだと知っているマギーおばさんだから、彼女はこれ以上首を突っ込む事はないだろうが、先の旅には理由が必要になるだろう。
「………ト?」
「………。」
「マラカイト?」
ハッとなり、私は弾かれたように顔を上げる。
「大丈夫かい?」
「えっ?」
「難しい顔をして考え事しているからね。」
「大丈夫です、ただ、目的地まで何日くらいかかるかと考えていたものですから。」
「それならいいけど、無理はするんじゃないよ。」
「大丈夫です。」
マギーおばさんは私の顔を見て、何を思ったのか溜息を吐いて、ジェダイドを見た。
「しっかりとあんたが支えてやりな。」
「分かっている。」
いつの間にかついてきていたジェダイドはしっかりと頷く。
「…………いつの間に仲良くなったの?」
首を傾げて、思い出してみるが、結局マギーおばさんとジェダイドが仲良くなったタイミングが分からなかった。
「まあ、不仲よりはいいか。」
深くは考え込む事なく私は荷物運びに集中するのだった。
「ふう、無事にたどり着いたね。」
「はん、こんな餓鬼を連れなくともよかったんじゃねぇかよ。」
「あんたはまだそんな事を言っているのかい。」
荷下ろしを手伝っていると聞こえてくる会話に私は目線を走らせ、ジェダイドを見る。
幸いにもジェダイドには彼女たちの会話が聞こえない位置にいた。
私はホッとして息を吐く、もし、彼がこの会話を聞いていたら間違いなく男に突っかかっていくだろう。
無駄な争いをしても、ジェダイドに得なんてないのに何で突っかかっていくのか私には分からないけど、それでも、彼の印象を下げるのは嫌だった。
だから、聞こえない事に私は安心した。
「マラカイト。」
「はい。」
マギーおばさんに呼ばれ私は彼女に近づく。
「少ないけど、今回の護衛の報酬だよ。」
マギーおばさんはそう言って掌に五千ルードを握らせた。
「えっ、あの…、ここまで連れてきていただいたのだから、これは受け取れません。」
「いいんだよ、それにあの狼を受け取らないだろう?」
「それは雇い主のものだから。」
「なら、これは特別報酬。」
「……。」
これは絶対に引かないだろう、それを理解した私は握らされたお金に視線を落とし困惑する。
「こんな餓鬼にこんなもんは必要ねぇだろう。」
男はそう言うと私の手から二千ルードを引き抜いた。
「何をするんだい。」
「ふん、こんな餓鬼に五千ルードなんて多いんだよ。」
そう言い残すと、男は逃げるようにして立ち去る。
「あいつは本当に…。」
怒りを押し殺したマギーおばさんに私は同情するように彼女を見る。
「……ごめんね、マラカイト。」
「いいえ、それにしても、中途半端に逃げられましたね。」
「……。」
私は周りを見渡し、明らかに片づけが済んでいない空き箱や、荷物を見て苦笑を浮かべる。
「片づけるまでが仕事なのにあいつはいつまで経っても半人前だよ。」
「……。」
それに関しては何も言えない私は何も言わずに近くにあった空き箱を持つ。
「何処に仕舞えばいいですか?」
「それはあっちの納屋にだね。」
「分かりました。」
「本当に何から何まですまないね。」
「いいんですよ、こちらの方が助かったんですから。」
そう、もし歩いていたのならば一体この村にたどり着くだけでも何日必要になったか分からなかった。
多分、私一人なら三日くらいでたどり着いたかもしれないが、まだ子どものジェダイドと赤ん坊のセラフィナイトの体力を考えると、九日くらい掛かっていても可笑しくないかもしれない。
「……本当にマラカイトはいい子なのに、あいつときたら。」
プリプリと怒るマギーおばさんは慣れている動作で荷物を抱え上げると自宅の納屋に向かって歩き出す。
「マラカイトはこれからどうするのかい?」
「エメーリエに向かおうと思っています。」
「……騎士本部にかい?」
怪訝そうな顔をするマギーおばさんに私は苦笑する。
「目的地はもっと北にある親戚の家に向かうんですけど、馬車とかを考えたらまず、エメーリエに向かおうと思っています。」
「ああ、なるほどね。」
マギーおばさんは納得したのか何度か頷いたと思ったら、何故か悲しそうな顔をした。
「それにしても、彼の親御さんたちはどうしたんだい?」
「……。」
私は誤魔化すように笑う。
私はどうしてジェダイドがあの街に来たのか知らない、知っているのは彼の両親は王都(ルビアン)にいる事だけだった。
別に特別知りたいとは思わないけど、よくよく考えれば子どもが三人、しかも、一人は赤子、そんな三人が保護者もなく旅をしていたら変だろう。
幸いにもそれを聞いてきたのは私が訳ありだと知っているマギーおばさんだから、彼女はこれ以上首を突っ込む事はないだろうが、先の旅には理由が必要になるだろう。
「………ト?」
「………。」
「マラカイト?」
ハッとなり、私は弾かれたように顔を上げる。
「大丈夫かい?」
「えっ?」
「難しい顔をして考え事しているからね。」
「大丈夫です、ただ、目的地まで何日くらいかかるかと考えていたものですから。」
「それならいいけど、無理はするんじゃないよ。」
「大丈夫です。」
マギーおばさんは私の顔を見て、何を思ったのか溜息を吐いて、ジェダイドを見た。
「しっかりとあんたが支えてやりな。」
「分かっている。」
いつの間にかついてきていたジェダイドはしっかりと頷く。
「…………いつの間に仲良くなったの?」
首を傾げて、思い出してみるが、結局マギーおばさんとジェダイドが仲良くなったタイミングが分からなかった。
「まあ、不仲よりはいいか。」
深くは考え込む事なく私は荷物運びに集中するのだった。
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