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幽霊少女サイド

日常となった朝の出来事

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 北斗との同居生活は最初の内はどうなるものかと本当に頭を悩ませていたが、意外にもというか、すんなりと互いに順応していたと思う。

「ほーくと、起きて。」
「ん……。」

 ゲームの分身の彼と同じく北斗もまた寝汚い方で、携帯のアラームや目覚まし時計、私の呼びかけではなかなか起きない。

「北斗、本当に今起きないと朝ごはん食べ損ねるよ。」
「……い…ら…ねぇ…。」
「駄目だってば。」

 実態があれば確実布団でもはぎ取ってしまいたいところだが、残念な事に私は幽霊なので、彼に触れる事が出来ない。

「ねー、てば…。」
「……。」

 すーすーと、寝息を立てる北斗にとうとう私は最終手段と馬鹿に耳元に口を持っていく。

「すー。」

 息を吸い、そして、私は自分の出せる最大音量を出す。

「北斗っ!おきなさーいっ!!!」
「んっ!」

 耳を押さえ、北斗は涙目になりながら私を睨むが、私は鼻で笑う。

「ちゃんと起きない北斗が悪いんだからね。」
「だからって、毎朝、毎朝耳元で怒鳴るな。耳がいかれたらどうするつもりだ。」
「それしか、方法がないでしょうが。」

 私は呆れたような顔で、溜息を零す。

「それが嫌ならさっさと起きてよ。」
「……。」

 沈黙する北斗に私は首を振った。

「出来ないならこのままずっとこうだからね。」
「だから、止めろって。」
「やめてほしければ初めの一回で起きてよ。」
「……。」

 自分の寝汚さを知っているからか北斗は黙り込む。

「……もう、ほら、さっさと着替える。」

 私はそう言うと北斗の寝室から出ていく。
 壁を通り過ぎる瞬間は嫌だが、私は壁にも触れる事も出来ない身なので仕方がない。

 こうして、私たちの日常が始まる。

 まだ一週間しかたっていないというのに、長い間やっているような気がするほど違和感がないのは不思議だけど。

 嫌な感じは全くしない。

 むしろ毎日、毎日が積み重なる幸せのような気さえしている。
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