81 / 162
第六章
第六章「体育祭」5
しおりを挟む
涼也は自分の番を待ちながら周りを見渡す。
今回彼が出場する競技はスウェーデンリレーでアンカーなので、一番距離が長い。
なので、周りにいる面々は中・長距離が得意な人が多い。
涼也はどちらかと言えば短・中距離が得な方なので、この競技に関しては勝てるかどうかは前走しだいなのだった。
そして、今は第二走者が走っており、三位と言う微妙な位置にいる。
「……。」
涼也は「前」の自分がどんな種目に出ていたのかとフッと思い、思い出そうとしたが、残念ながら走っていたような気がするという、曖昧なものだった。
それもそうだろう、もうかなりの前の話であってよっぽど同じ競技に出ていたとかそういう何か印象がなければ思い出す事はそうそうない。
ただ、碧が色々やらかしたな、という思い出はあるのだが、その色々が何だったのか、思い出せないが、きっと彼は今回もやらかすんだろうな、とどこか遠い目をする。
そうこう考えていると第三走者になっていた。
いつの間にか一人抜き二位に浮上しているが、一位とかなり間が空いているうえに、三位とは僅差だった。
このまま逃げ切れるかはまだ分からない。
「さて…。」
涼也は軽くその場でストレッチを繰り返す。
第一走者はトラック半周。
第二走者はトラック一周。
第三走者はトラック一周半。
第四走者はトラック二周。
そして、アンカーの涼也はトラック三周となっている。
何で自分がトラックを三周は知らないといけないのかと頭の片隅で文句が出てくるが、かと言ってあの場で文句を言えば色物に回される可能性があったので、彼が文句を言うという選択肢はなかった。
第四走者が全員一度目の前を通過したのを確認したら涼也はスタート位置に着く。
自分のクラスは何とか二位を保っている。
しかし、一位との差はまだかなりあり、三位とは気を許せば間違いなく抜かされる。
「……ふぅ。」
深呼吸をして己を落ち着かせる涼也は構える。
そして、一位のチームがバトンを渡し走り出す、すぐに自分のクラスメートが来て自分にバトンを託す。
「わりぃ、詰めれなかった。」
「大丈夫だっ!」
涼也は謝るクラスメートにそう言い残し走る。
二周目までは体力を温存するように涼也は走る。
「……。」
三位との距離は徐々に開いていくが、一位との差はまだかなりあった。
涼也は自分の体力と相手の速さ、そして、残りの種目等を考え、一周半を過ぎた時に一気に加速する。
実況をする生徒が何かを言っているようだが、今涼也の頭にあるのはどうやって一位を取るかだった。
徐々に一位との差が縮まっていく。
相手も涼也に気づいたのかスピードを上げるが、涼也の方が早いのか差が縮まっていく。
二周目にして涼也と一位の所為との差は十歩ほどまで縮まっている。
「……。」
思ったよりもきつくなり、涼也の息が上がる。
口から血の味がするが、涼也はそれを無視してひたすら走る。
残り半周。
差は五歩まで縮まる。
あと少し。
あと少し。
ようやく一位と並ぶ。
あと一歩。
あと一歩。
そして、ゴールのテープに突っ込むようにして二人はゴールする。
「接戦の末に勝ったのはーー。」
今回彼が出場する競技はスウェーデンリレーでアンカーなので、一番距離が長い。
なので、周りにいる面々は中・長距離が得意な人が多い。
涼也はどちらかと言えば短・中距離が得な方なので、この競技に関しては勝てるかどうかは前走しだいなのだった。
そして、今は第二走者が走っており、三位と言う微妙な位置にいる。
「……。」
涼也は「前」の自分がどんな種目に出ていたのかとフッと思い、思い出そうとしたが、残念ながら走っていたような気がするという、曖昧なものだった。
それもそうだろう、もうかなりの前の話であってよっぽど同じ競技に出ていたとかそういう何か印象がなければ思い出す事はそうそうない。
ただ、碧が色々やらかしたな、という思い出はあるのだが、その色々が何だったのか、思い出せないが、きっと彼は今回もやらかすんだろうな、とどこか遠い目をする。
そうこう考えていると第三走者になっていた。
いつの間にか一人抜き二位に浮上しているが、一位とかなり間が空いているうえに、三位とは僅差だった。
このまま逃げ切れるかはまだ分からない。
「さて…。」
涼也は軽くその場でストレッチを繰り返す。
第一走者はトラック半周。
第二走者はトラック一周。
第三走者はトラック一周半。
第四走者はトラック二周。
そして、アンカーの涼也はトラック三周となっている。
何で自分がトラックを三周は知らないといけないのかと頭の片隅で文句が出てくるが、かと言ってあの場で文句を言えば色物に回される可能性があったので、彼が文句を言うという選択肢はなかった。
第四走者が全員一度目の前を通過したのを確認したら涼也はスタート位置に着く。
自分のクラスは何とか二位を保っている。
しかし、一位との差はまだかなりあり、三位とは気を許せば間違いなく抜かされる。
「……ふぅ。」
深呼吸をして己を落ち着かせる涼也は構える。
そして、一位のチームがバトンを渡し走り出す、すぐに自分のクラスメートが来て自分にバトンを託す。
「わりぃ、詰めれなかった。」
「大丈夫だっ!」
涼也は謝るクラスメートにそう言い残し走る。
二周目までは体力を温存するように涼也は走る。
「……。」
三位との距離は徐々に開いていくが、一位との差はまだかなりあった。
涼也は自分の体力と相手の速さ、そして、残りの種目等を考え、一周半を過ぎた時に一気に加速する。
実況をする生徒が何かを言っているようだが、今涼也の頭にあるのはどうやって一位を取るかだった。
徐々に一位との差が縮まっていく。
相手も涼也に気づいたのかスピードを上げるが、涼也の方が早いのか差が縮まっていく。
二周目にして涼也と一位の所為との差は十歩ほどまで縮まっている。
「……。」
思ったよりもきつくなり、涼也の息が上がる。
口から血の味がするが、涼也はそれを無視してひたすら走る。
残り半周。
差は五歩まで縮まる。
あと少し。
あと少し。
ようやく一位と並ぶ。
あと一歩。
あと一歩。
そして、ゴールのテープに突っ込むようにして二人はゴールする。
「接戦の末に勝ったのはーー。」
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
長年の恋に終止符を
mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。
そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。
男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。
それがあの人のモットーというやつでしょう。
どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。
これで終らせることが出来る、そう思っていました。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜
キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。
モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。
このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。
「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」
恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。
甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。
全8話。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる