もう一度君と…

弥生 桜香

文字の大きさ
93 / 162
第七章

第七章「ハロウィン」2

しおりを挟む
「ねー、クッキーなんてどう?」
「普通過ぎない?」
「じゃー、カップケーキとかデコいけるよ?」
「数がね~。」
「そっか、じゃ、ブラウニーは?」
「少し地味じゃない?」
「うーん、キャンディラッピングしたら可愛くない?」
「ちょっと待ってくれ。」
「「「「ん?」」」」

 碧の静止の言葉に女子が一斉に彼を見つめる。

「どうしたのよ?」
「というか、あんたは何が良い訳?」
「つーか、お菓子作りとかした事あんの?」
「あー、出来そうにないイメージだよね。」
「…………何かひでぇ言われよう…マジ泣きそう。」

 碧は遠い目をしながら何でこんな事になってしまったのだと遠い目をする。
 事は放課後、鞄を掴んだ瞬間に起こった。

「ちょっと。」
「何帰ろうとしているのかな?」
「わたしたち。」
「帰っていいとは言っていないけど?」
「へ?」

 驚いている隙に一人には腕を掴まれ、二人は碧の背中を押し、残りの一人は前に立ちドアを開けたりした。

「ちょっと、俺部活。」
「いいじゃない。」
「嫌駄目だし。」
「大丈夫よ、顧問の先生には言ってあるから。」
「えっ?」
「そうそう、ハロウィンが終わるまで借りるってね。」
「ちょっと。」
「快く貸してくれたわよ。」
「……。」

 もう何が何だか分からない碧は半泣きになる。

「嘘だろう。」
「本当、本当。」
「ちょっと待て、マジで俺大会とかあるんだけど。」
「あー、平気よ。」
「何処がだよ。」
「あんたさ、オバーワークしてるでしょ。」
「……。」

 一人の言葉に碧の体がギクリと強張る。

「朝練よりも前に走っているとか。」
「帰ってからも走っているとか。」
「しかも、常よりも一時間多いとか?」
「だ、誰からだよ。」
「あんたの旦那。」
「……本当に誰の事だ?」

 頭に大きなクエスチョンマークを浮かばせている碧にクスクスと笑う。

「あー、本当にあんたらお似合いよね。」
「よかったの?」
「あー、何というか、雪美さんのお蔭で恋というようり、観賞用に変わってしまったのよね。」
「あー、分かる。」
「リアルだと面倒よね。」
「そうよう、だから、かな、こいつだったらマジありだな、と最近思ってきたのよね。」
「ははは、分かる。」
「でしょー。」

 全く話の理解が出来ない碧はただただ本能的に突っ込んではいけないと悟っていた。

「で、マジどうする?」
「んー、やっぱクッキーじゃない?」
「まあ、形も様々だし。」
「数も揃えられるしね。」
「そんじゃ、こいつはクッキー係で決定。」

 碧は勝手に決められ、少し頬を膨らませる。

「俺に決定権はないのかよ。」
「あら、何かあった?」
「……特にねぇけど……。」
「じゃ、文句は言わないの。」
「へーい。」
「ねぇ、今思ったんだけど、こんなんどうなのかな?」

 一人が異様に目を輝かせてそして、碧を除いた全員に耳打ちする。

「それ面白そう。」
「雪美さんものってくれるんだって。」
「なら、後は放課後に開いている連中を巻き込んで。」
「ふふふ、萌えて来た。」
「いいね、こういうのも。」

 全く理解の出来ない碧は何となく心の中で合掌をした。
 それは一体何の意味だったのか彼自身分からない、もしかしたら、巻き込まれる相手に対してご愁傷様とう意味なのか、それとも、止める事が出来ない事に関しての謝罪の意味なのかーー。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

長年の恋に終止符を

mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。 そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。 男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。 それがあの人のモットーというやつでしょう。 どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。 これで終らせることが出来る、そう思っていました。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

龍の寵愛を受けし者達

樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、 父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、 ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。 それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。 それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。 王家はある者に裏切りにより、 無惨にもその策に敗れてしまう。 剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、 責めて騎士だけは助けようと、 刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる 時戻しの術をかけるが…

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

処理中です...