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第八章
第八章「クリスマス」3
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「ふー、疲れたわ。」
やり切った、というようにいい笑みを浮かべる雪美に対し、涼也は机にうつ伏していた。
「マジ疲れた。」
「あら、だらしがないわね。」
「……。」
雪美の言葉に反応する気力もないのか、涼也はそのままうつ伏し続ける。
「んー、アクアマリンブルーのドレスで、髪型はどうしようかな?」
「ハーフアップでいいじゃねぇの?」
「普通過ぎない?」
「下手にごてごてしてたら疲れるんじゃねぇ?」
ふむ、と雪美は腕を組み涼也の言葉を考える。
「確かにね…。」
「どうせ慣れないことして疲れたーとか言ってそのまま寝そうじゃん。」
「……。」
「それなら、そのまま寝こけても大丈夫な髪型が楽じゃねぇ?」
「……。」
涼也は自分を凝視している雪美の存在に気づかず、そのまま思った事を口にする。
「あー、そうなるとベッドの横に化粧を取るテッシュみたいなのも置いていた方がいいかもな。」
「ねぇ。」
「ん?」
「何でそんなに具体的なの?」
「……。」
雪美の言葉の意味が分からず、涼也は首を傾げたが、しばらくして、自分の中で回答が出てくる。
「あー、雪姉が結婚式とかで運悪く終電逃して家に泊まる時があったからだな。」
「……そうなんだ。」
「まあ、今回は未成年だし酒は飲まないと思うから大丈夫だと思うけど、まあ、そもそも、頭とかセットするとつれーとか叫んでたからな。」
「ふーん。」
「何だよ、その目。」
何か探るような目をする雪美に涼也はたじろぐ。
「んー、わたしだけなのかなー、とか思ったのよね。」
「はぁ?」
何を言っているのか分からない涼也は怪訝な顔をする。
「だーから、涼ちゃんが面倒見て来た女の子とか、男の人とかいなかったのかなー、って。」
「……。」
また、くだらない事をと、顔に出す涼也に雪美は眉を上げる。
「あら、大事な従弟の恋愛事情はいつだって知りたいものよ。」
「……それは雪姉くらいだよ。」
「そうかしら?」
「そうだよ。」
涼也は溜息を零し、机の上にある空のカップを回収する。
「ねー、涼ちゃん。」
「ん?」
カップを流し台に持っていく涼也の背に雪美は呼びかける。
「幸せ?」
「……何だよ、唐突に。」
「別に?」
「……幸せだと思うよ。」
「そっか。」
納得していないように聞こえる雪美の言葉に涼也は思わず振り返る。
「雪姉?」
「んー、何でもない、そろそろ帰らないとやばいかな?」
「……あっ、あー、そうだな。」
時間を見て涼也も納得をする。
「それじゃ、また連絡するからね。」
「了解。」
意外にもあっさりと立ち去る雪美に涼也は拍子抜けする。
「本当に何だったんだ?」
涼也は首を捻りながら、使い終わったカップを洗い始める。
そして、雪美の忘れ物に気づいたのはお風呂から上がった後だった。
「何なんだ?」
見覚えのない紙袋が壁の端にあった事に今さらながらに気づいた涼也は怪訝な顔をしながらそれを見る。
もし、雪美の忘れ物ですぐに必要な物だったら届けに行かないと思ったからだ。
「……本当に、雪美にはかなわないな。」
中身を見た涼也は泣きそうな顔をしながら、でも、どこか嬉しそうな顔をしていた。
涼ちゃんへ
最近寒くなって来たけど、マフラーちゃんとしてる?
どうせ、してないんでしょ?
自分の事は後回しにして風邪なんかひいちゃだめだよ
来年は受験生だよね
色々と思うところがあると思うけど、無理しちゃだめだよ
多分お正月まで会えないと思うから置いていくけど
あっ、そうだ初詣行こうね
合格祈願のお守り買ってあげるから
それじゃ、わたしの大切な従弟の涼也にいい事がありますように
可愛い 可愛い 貴方の従姉の雪美より
メッセージカードにしたら長く、手紙にしては短いそれは涼也の机の引き出しに入れられられた。
やり切った、というようにいい笑みを浮かべる雪美に対し、涼也は机にうつ伏していた。
「マジ疲れた。」
「あら、だらしがないわね。」
「……。」
雪美の言葉に反応する気力もないのか、涼也はそのままうつ伏し続ける。
「んー、アクアマリンブルーのドレスで、髪型はどうしようかな?」
「ハーフアップでいいじゃねぇの?」
「普通過ぎない?」
「下手にごてごてしてたら疲れるんじゃねぇ?」
ふむ、と雪美は腕を組み涼也の言葉を考える。
「確かにね…。」
「どうせ慣れないことして疲れたーとか言ってそのまま寝そうじゃん。」
「……。」
「それなら、そのまま寝こけても大丈夫な髪型が楽じゃねぇ?」
「……。」
涼也は自分を凝視している雪美の存在に気づかず、そのまま思った事を口にする。
「あー、そうなるとベッドの横に化粧を取るテッシュみたいなのも置いていた方がいいかもな。」
「ねぇ。」
「ん?」
「何でそんなに具体的なの?」
「……。」
雪美の言葉の意味が分からず、涼也は首を傾げたが、しばらくして、自分の中で回答が出てくる。
「あー、雪姉が結婚式とかで運悪く終電逃して家に泊まる時があったからだな。」
「……そうなんだ。」
「まあ、今回は未成年だし酒は飲まないと思うから大丈夫だと思うけど、まあ、そもそも、頭とかセットするとつれーとか叫んでたからな。」
「ふーん。」
「何だよ、その目。」
何か探るような目をする雪美に涼也はたじろぐ。
「んー、わたしだけなのかなー、とか思ったのよね。」
「はぁ?」
何を言っているのか分からない涼也は怪訝な顔をする。
「だーから、涼ちゃんが面倒見て来た女の子とか、男の人とかいなかったのかなー、って。」
「……。」
また、くだらない事をと、顔に出す涼也に雪美は眉を上げる。
「あら、大事な従弟の恋愛事情はいつだって知りたいものよ。」
「……それは雪姉くらいだよ。」
「そうかしら?」
「そうだよ。」
涼也は溜息を零し、机の上にある空のカップを回収する。
「ねー、涼ちゃん。」
「ん?」
カップを流し台に持っていく涼也の背に雪美は呼びかける。
「幸せ?」
「……何だよ、唐突に。」
「別に?」
「……幸せだと思うよ。」
「そっか。」
納得していないように聞こえる雪美の言葉に涼也は思わず振り返る。
「雪姉?」
「んー、何でもない、そろそろ帰らないとやばいかな?」
「……あっ、あー、そうだな。」
時間を見て涼也も納得をする。
「それじゃ、また連絡するからね。」
「了解。」
意外にもあっさりと立ち去る雪美に涼也は拍子抜けする。
「本当に何だったんだ?」
涼也は首を捻りながら、使い終わったカップを洗い始める。
そして、雪美の忘れ物に気づいたのはお風呂から上がった後だった。
「何なんだ?」
見覚えのない紙袋が壁の端にあった事に今さらながらに気づいた涼也は怪訝な顔をしながらそれを見る。
もし、雪美の忘れ物ですぐに必要な物だったら届けに行かないと思ったからだ。
「……本当に、雪美にはかなわないな。」
中身を見た涼也は泣きそうな顔をしながら、でも、どこか嬉しそうな顔をしていた。
涼ちゃんへ
最近寒くなって来たけど、マフラーちゃんとしてる?
どうせ、してないんでしょ?
自分の事は後回しにして風邪なんかひいちゃだめだよ
来年は受験生だよね
色々と思うところがあると思うけど、無理しちゃだめだよ
多分お正月まで会えないと思うから置いていくけど
あっ、そうだ初詣行こうね
合格祈願のお守り買ってあげるから
それじゃ、わたしの大切な従弟の涼也にいい事がありますように
可愛い 可愛い 貴方の従姉の雪美より
メッセージカードにしたら長く、手紙にしては短いそれは涼也の机の引き出しに入れられられた。
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