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第十章
第十章「バレンタイン」11
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「……ハッピーバレンタイン。」
涼也はアクセサリーの前に手作りのチョコレートの箱を置く。
これは儀式のような、疑似のような行為だった。
「前」の先輩に似たあの人。
勇気づけてくれたあの人。
その人に感謝をしたい、だけど、その人の居場所なんて涼也は知らなかった。
だから、彼からもらったそれの前に自分の手作りのチョコを置いた。
明日には自分の胃袋に入ってしまうだろう、それは、この時ばかりはその人に確かに送ったものだった。
涼也は寂しげに微笑み、そして、何もなかったように踵を返す。
日常から離れるのは一瞬でいい、その一瞬のお陰で彼の心は救われている。
電話が鳴る。
「はい、ほん――、」
「涼ちゃああああああああああんっ!」
雪美の鳴き声に涼也は何かがあったのだと悟り、彼女に悟られないように息を吐き、何時間も彼女の愚痴に付き合うのだった。
こうして、涼也のバレンタインは始終雪美に巻き込まれて終わるのだった。
涼也はアクセサリーの前に手作りのチョコレートの箱を置く。
これは儀式のような、疑似のような行為だった。
「前」の先輩に似たあの人。
勇気づけてくれたあの人。
その人に感謝をしたい、だけど、その人の居場所なんて涼也は知らなかった。
だから、彼からもらったそれの前に自分の手作りのチョコを置いた。
明日には自分の胃袋に入ってしまうだろう、それは、この時ばかりはその人に確かに送ったものだった。
涼也は寂しげに微笑み、そして、何もなかったように踵を返す。
日常から離れるのは一瞬でいい、その一瞬のお陰で彼の心は救われている。
電話が鳴る。
「はい、ほん――、」
「涼ちゃああああああああああんっ!」
雪美の鳴き声に涼也は何かがあったのだと悟り、彼女に悟られないように息を吐き、何時間も彼女の愚痴に付き合うのだった。
こうして、涼也のバレンタインは始終雪美に巻き込まれて終わるのだった。
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