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第二章
第二章「氷豹」3
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「ありがとうございます、貴方のお蔭で本当に助かりました。」
「……ありがとうございます。」
「……。」
頭を深々と下げる二人に涼也は目を丸くさせる。
何せ、見た目からして敬語とは無縁そうなチャラ男が精一杯のお礼を述べ、無口そうな男もまた真剣に涼也にお礼を述べているのだから。
「いや…、勝手にやった事だし。」
罰が悪そうに言うと二人は目を輝かせる。
「それでも、貴方のお蔭です。」
「なんか…君キャラちがうくない?」
まるで毛並みのいい子犬が尻尾を振っているように見えるので、涼也は彼らを邪険にする事が出来なかった。
「目上には敬語をと雫先輩に言われますからっ!」
「……。」
知り合いの名前をあげられ、涼也はああ、と納得する。
雫はオレ様だが、それでも、礼節などをわきまえているので、後輩にもしっかりと指導しているのだった。
「いや、多分俺年下だし…。」
「えっ、幾つなんですか?」
「……。」
つい、涼也はそう言ってしまったが、よくよく考えれば不味かったのではないのかと、口を閉ざしてしまった。
「えっと…そっちは何年?」
「中三です。」
「あー…俺は中二だな。」
「……マジですか…。」
「ああ。」
表情を曇らせる彼に涼也は苦笑してその染めて少し毛先の痛んだ髪を撫でる。
「悪かったな、年下で。」
「いえ……あの、兄貴って呼ばせてくださいっ!」
「……。」
顔を赤く染めて言う彼に涼也は遠い目をする。そして、同時に雪美の嬉々とした声が聞こえた気がした。『キタッ!フラグっ!』と…。
「いや…それは…。」
「駄目ですか?」
シュンとする彼はまるで捨てられた子犬のように見えて涼也は顔を引きつらせる。
「……と、年下だぞ。」
「構いませんっ!」
「……。」
涼也はそのウルウルした瞳を見て、負けを認める。
「好きにすればいい。」
「ありがとうございまずっ!」
犬のような耳と、ぶんぶんと尻尾を振っているように見えて、涼也は幻聴だ分かっているのだが、思わず彼の頭を撫でて犬耳がない事を確認する。
「あ、兄貴っ!」
「………あっ、俺の事か。」
一瞬彼が誰を呼んでいるのか本気で分からず、時間を置いて理解した涼也は彼の頭を撫でる手を止めてしまった。
その時、彼の顔が残念そうに見えたのはきっと気の所為だと、涼也は思い込んだ。
「何だ?」
「兄貴の二つ名って何ですか?」
「二つ名?」
何とも黒歴史になりそうなモノに涼也は僅かに頬を引きつらせる。
「はいっ!強いんであるんですよねっ!」
涼也は思わず額に手を当てる。
「そんなのはないが……。」
「えっ!勿体無い。」
「ははは…。」
涼也は力なく笑う、そんな二つ名なんてもの、黒歴史にしかならないので正直に言えば涼也にはいらない。しかし、そんな彼の想いに反して他は話を進めてしまう。
「それじゃ、今決めましょうっ!」
「……流星。」
「うーん、なんか違うな。」
「烈火っ!」
「それもな…。」
「鬼。」
「デーモン。」
「魔王。」
次々と周りが参加していき、すでに涼也の手には負えなかった。
涼也は遠い目をして、自分の選んだ道を本気で間違えてしまったと思い、何であの時雪美の忠告通り従わなかったのだと、今さらながら後悔する。
「それじゃ、これにしましょうっ!」
「んあ?」
いつの間にか決まったのか、涼也は顔を上げると、そこには楽しげな顔が並んでいた。
「兄貴、決まりました。」
「ああ?」
「兄貴の二つ名は「氷豹」です。」
「ヒヒョウ……。」
何という二つ名だ、と涼也は頭を抱えたくなる。
「その銀色の髪はまるで雪原のようで、そのアイスブルーの瞳、まさに氷っ!そして、豹のようにしなやかな動き、筋肉は確かについているのに華奢に見える所、ピッタリですよねっ!」
「……。」
涼也は息を詰まらせ、苦笑いしか浮かべる事が出来なかった。
こうして、涼也はほぼ一生付きまとう二つ名を手に入れてしまったのだった。
「……ありがとうございます。」
「……。」
頭を深々と下げる二人に涼也は目を丸くさせる。
何せ、見た目からして敬語とは無縁そうなチャラ男が精一杯のお礼を述べ、無口そうな男もまた真剣に涼也にお礼を述べているのだから。
「いや…、勝手にやった事だし。」
罰が悪そうに言うと二人は目を輝かせる。
「それでも、貴方のお蔭です。」
「なんか…君キャラちがうくない?」
まるで毛並みのいい子犬が尻尾を振っているように見えるので、涼也は彼らを邪険にする事が出来なかった。
「目上には敬語をと雫先輩に言われますからっ!」
「……。」
知り合いの名前をあげられ、涼也はああ、と納得する。
雫はオレ様だが、それでも、礼節などをわきまえているので、後輩にもしっかりと指導しているのだった。
「いや、多分俺年下だし…。」
「えっ、幾つなんですか?」
「……。」
つい、涼也はそう言ってしまったが、よくよく考えれば不味かったのではないのかと、口を閉ざしてしまった。
「えっと…そっちは何年?」
「中三です。」
「あー…俺は中二だな。」
「……マジですか…。」
「ああ。」
表情を曇らせる彼に涼也は苦笑してその染めて少し毛先の痛んだ髪を撫でる。
「悪かったな、年下で。」
「いえ……あの、兄貴って呼ばせてくださいっ!」
「……。」
顔を赤く染めて言う彼に涼也は遠い目をする。そして、同時に雪美の嬉々とした声が聞こえた気がした。『キタッ!フラグっ!』と…。
「いや…それは…。」
「駄目ですか?」
シュンとする彼はまるで捨てられた子犬のように見えて涼也は顔を引きつらせる。
「……と、年下だぞ。」
「構いませんっ!」
「……。」
涼也はそのウルウルした瞳を見て、負けを認める。
「好きにすればいい。」
「ありがとうございまずっ!」
犬のような耳と、ぶんぶんと尻尾を振っているように見えて、涼也は幻聴だ分かっているのだが、思わず彼の頭を撫でて犬耳がない事を確認する。
「あ、兄貴っ!」
「………あっ、俺の事か。」
一瞬彼が誰を呼んでいるのか本気で分からず、時間を置いて理解した涼也は彼の頭を撫でる手を止めてしまった。
その時、彼の顔が残念そうに見えたのはきっと気の所為だと、涼也は思い込んだ。
「何だ?」
「兄貴の二つ名って何ですか?」
「二つ名?」
何とも黒歴史になりそうなモノに涼也は僅かに頬を引きつらせる。
「はいっ!強いんであるんですよねっ!」
涼也は思わず額に手を当てる。
「そんなのはないが……。」
「えっ!勿体無い。」
「ははは…。」
涼也は力なく笑う、そんな二つ名なんてもの、黒歴史にしかならないので正直に言えば涼也にはいらない。しかし、そんな彼の想いに反して他は話を進めてしまう。
「それじゃ、今決めましょうっ!」
「……流星。」
「うーん、なんか違うな。」
「烈火っ!」
「それもな…。」
「鬼。」
「デーモン。」
「魔王。」
次々と周りが参加していき、すでに涼也の手には負えなかった。
涼也は遠い目をして、自分の選んだ道を本気で間違えてしまったと思い、何であの時雪美の忠告通り従わなかったのだと、今さらながら後悔する。
「それじゃ、これにしましょうっ!」
「んあ?」
いつの間にか決まったのか、涼也は顔を上げると、そこには楽しげな顔が並んでいた。
「兄貴、決まりました。」
「ああ?」
「兄貴の二つ名は「氷豹」です。」
「ヒヒョウ……。」
何という二つ名だ、と涼也は頭を抱えたくなる。
「その銀色の髪はまるで雪原のようで、そのアイスブルーの瞳、まさに氷っ!そして、豹のようにしなやかな動き、筋肉は確かについているのに華奢に見える所、ピッタリですよねっ!」
「……。」
涼也は息を詰まらせ、苦笑いしか浮かべる事が出来なかった。
こうして、涼也はほぼ一生付きまとう二つ名を手に入れてしまったのだった。
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