もう一度君と…

弥生 桜香

文字の大きさ
148 / 162
第十一章

第十一章「ホワイトデー」12

しおりを挟む
 涼也は昼休み、碧を呼び、人気の少ない踊り場まで連れ行く。

「涼也、話ってなんだ?」
「お前さ、あいつと何があったんだ?」
「……あいつって?」

 明らかに分かっているのに、そう言う碧に涼也はため息を零す。

「お前、分かっているんだろう。」
「……。」
「そんな顔して分からないというのは信ぴょう性ないからな。」
「……俺は悪くねぇ。」

 唇を尖らせる碧に涼也は長期戦を覚悟する事にした。

「そうかもしれねぇけど、こっちはどっちが悪いかなんて話を聞かなきゃわかんねぇからな。」
「……。」
「時間もねえ、飯ここで食うからな。」

 涼也は持ってきた弁当を取り出し食べ始める。

「……。」

 碧はちらりと涼也を見て、そして、無言でコンビニかどこかで買ったパンをかじりだす。

「……。」
「……。」
「……涼也。」
「何だ?」
「尻軽ってどう意味だと思う?」
「…………………はあ?」

 涼也は碧の吐き出した言葉に顔を引きつらせる。
 そして、徐々に痛み出す頭の端でウキウキと表情を輝かせる雪美の姿が見えるような気がした。

「意味って言ったら…落ち着きがないとか…、行動が軽々しいとかあるけど……。」
「そっか…。」
「でも、多分お前言われたのそっちの意味じゃなく……浮気者とかの意味じゃねぇか?」
「はあっ!」

 涼也の言葉に碧はギョッと目を剥く。

「何で浮気者っ!
 俺は誰とも付き合っていないぞ。
 抗議してくるっ!」

 憤慨する碧に涼也はため息を零し、彼の手を掴む。

「抗議すんのは、話を聞いてからな。」
「何でだよ、これはあいつと俺の問題だぞ。」
「そうかもしれねぇが、万が一、落ち着きがないという意味かもしれねぇから、そう言われた前後の話を聞きてぇ。」
「……。」
「つーか、話せ。」

 碧は視線を泳がせ、そして、観念したのかドカリとその場に座り込み、重い口を開くのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

長年の恋に終止符を

mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。 そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。 男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。 それがあの人のモットーというやつでしょう。 どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。 これで終らせることが出来る、そう思っていました。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

龍の寵愛を受けし者達

樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、 父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、 ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。 それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。 それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。 王家はある者に裏切りにより、 無惨にもその策に敗れてしまう。 剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、 責めて騎士だけは助けようと、 刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる 時戻しの術をかけるが…

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

処理中です...