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第十二章
第十二章「中学三年」4
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何度目かの時計の音が流れ、碧はガシガシと頭を掻く。
「そろそろ帰らねぇとな。」
「そうか。」
「そうや、お前の親父さんは?」
六時になっても父が帰ってこないのも、連絡がない事を碧は不思議がる。
「どうせ、今日も残業だろう。」
「……。」
「一人で飯食ってんのか?」
「ああ、そうだな。」
「……。」
急に黙り込む碧に涼也は怪訝な顔をする。
「寂しくないのか?」
「……?別に?」
涼也としてはもう何年も一人で食事をする事にも慣れている、むしろ父親と食事を一緒にする方が色々気を使いそうなので、涼也としては遠慮したい。
寂しいと思う時期なんてとうの昔に消えてしまった。
まだ、大人にもなり切れない、背伸びをした子どもの時。
まだ、片割れが生きていたあの時は望んでいたかもしれない。
もう一度、家族をやり直せたら。
そう思った時期もあったはずだ。
だけど、家族はもう修復できないところまできていたのに、馬鹿な子どもはそれに気づこうとしなかった。
それに気づいたのは片割れが永遠に失われた時だ。
その時には父にはすでに新しい大切な人が出来ていた。
母は最後の心のよりどころだった弟を亡くし、精神を壊した。
そして、涼也は自分でも分からない心の一部を欠損してしまった。
だけど、不幸か幸いかその欠損は誰にも、否、気づいている人もいた、だけど、当時の彼を支えられる人は誰もいなかった。
「……。」
碧は何か得体の知れないものを見るように涼也を見る。
この男は誰だ。
本当に自分の知っている涼也なのか。
彼はもっと違う人物のように思った。
一時期は荒れていたけど、それはまだ彼の年齢のギリギリの範囲内の範疇だった。
そして、少し前から涼也は涼也に戻ったと碧は思った。
だけど、違った。
涼也は明らかに変わっていたのだ、自分の涼也と明らかに何かが違う、いや、壊れているのだと思った。
碧の背筋から冷たい汗が流れる。
何でこんな短期間でここまで変異してしまったのだろうか。
いや、変化したのはきっと「家族」だけなのだろう。
碧はこれまでの涼也の態度を思い出し、そう確信する。
だって、父親の話をした時から感じた違和感。
それまではごく普通だった。
それ以外は確かに涼也の双子京也と対峙して、ん?と思うところはあったが、確信まではもてなかった。
つまりは、彼の変質した部分は「家族」特に双子以外の何かなのかもしれない。
「碧?」
「あーなんでもねぇよ、それにしても、一人の飯ってうまくねぇんじゃねぇ?」
「んー?ふつー?」
「そうか?大勢で食べなれている俺だったら想像も出来ねぇ。」
「まあ、お前のところだったらそうだろうな。」
いつもの苦笑を浮かべる涼也を見て碧は少しホッとした。
だけど、根本的な何かが解決された訳じゃないから、碧は何とも言えない気持ちになる。
「そろそろ帰るとするか。」
「んじゃ、玄関まで送るな。」
「いや、別に大丈夫だし。」
「そうか?」
「そうだよ。」
碧は笑うと不意に真剣な顔をして涼也を見る。
「なあ、涼也。」
「何だ?」
「人の事を心配するのはお前のいい所だけどさ、俺にもさ、たまには愚痴ってくれていいんだぞ。」
「何だよ、急に気持ち悪いな。」
涼也は笑い飛ばすが、碧は真剣な顔だった。
「まあ、俺が何言っているって話だけど、頼りないのも分かっている。
だけど、お前にはさ、俺たちダチもいるんだから、頼ってくれていいんだからな。」
「まあ、そん時はよろしくな。」
軽い調子で涼也はそう言う。
碧は少しでも涼也の心に自分の言葉が残るように祈りながら彼の家の扉を開ける。
「そろそろ帰らねぇとな。」
「そうか。」
「そうや、お前の親父さんは?」
六時になっても父が帰ってこないのも、連絡がない事を碧は不思議がる。
「どうせ、今日も残業だろう。」
「……。」
「一人で飯食ってんのか?」
「ああ、そうだな。」
「……。」
急に黙り込む碧に涼也は怪訝な顔をする。
「寂しくないのか?」
「……?別に?」
涼也としてはもう何年も一人で食事をする事にも慣れている、むしろ父親と食事を一緒にする方が色々気を使いそうなので、涼也としては遠慮したい。
寂しいと思う時期なんてとうの昔に消えてしまった。
まだ、大人にもなり切れない、背伸びをした子どもの時。
まだ、片割れが生きていたあの時は望んでいたかもしれない。
もう一度、家族をやり直せたら。
そう思った時期もあったはずだ。
だけど、家族はもう修復できないところまできていたのに、馬鹿な子どもはそれに気づこうとしなかった。
それに気づいたのは片割れが永遠に失われた時だ。
その時には父にはすでに新しい大切な人が出来ていた。
母は最後の心のよりどころだった弟を亡くし、精神を壊した。
そして、涼也は自分でも分からない心の一部を欠損してしまった。
だけど、不幸か幸いかその欠損は誰にも、否、気づいている人もいた、だけど、当時の彼を支えられる人は誰もいなかった。
「……。」
碧は何か得体の知れないものを見るように涼也を見る。
この男は誰だ。
本当に自分の知っている涼也なのか。
彼はもっと違う人物のように思った。
一時期は荒れていたけど、それはまだ彼の年齢のギリギリの範囲内の範疇だった。
そして、少し前から涼也は涼也に戻ったと碧は思った。
だけど、違った。
涼也は明らかに変わっていたのだ、自分の涼也と明らかに何かが違う、いや、壊れているのだと思った。
碧の背筋から冷たい汗が流れる。
何でこんな短期間でここまで変異してしまったのだろうか。
いや、変化したのはきっと「家族」だけなのだろう。
碧はこれまでの涼也の態度を思い出し、そう確信する。
だって、父親の話をした時から感じた違和感。
それまではごく普通だった。
それ以外は確かに涼也の双子京也と対峙して、ん?と思うところはあったが、確信まではもてなかった。
つまりは、彼の変質した部分は「家族」特に双子以外の何かなのかもしれない。
「碧?」
「あーなんでもねぇよ、それにしても、一人の飯ってうまくねぇんじゃねぇ?」
「んー?ふつー?」
「そうか?大勢で食べなれている俺だったら想像も出来ねぇ。」
「まあ、お前のところだったらそうだろうな。」
いつもの苦笑を浮かべる涼也を見て碧は少しホッとした。
だけど、根本的な何かが解決された訳じゃないから、碧は何とも言えない気持ちになる。
「そろそろ帰るとするか。」
「んじゃ、玄関まで送るな。」
「いや、別に大丈夫だし。」
「そうか?」
「そうだよ。」
碧は笑うと不意に真剣な顔をして涼也を見る。
「なあ、涼也。」
「何だ?」
「人の事を心配するのはお前のいい所だけどさ、俺にもさ、たまには愚痴ってくれていいんだぞ。」
「何だよ、急に気持ち悪いな。」
涼也は笑い飛ばすが、碧は真剣な顔だった。
「まあ、俺が何言っているって話だけど、頼りないのも分かっている。
だけど、お前にはさ、俺たちダチもいるんだから、頼ってくれていいんだからな。」
「まあ、そん時はよろしくな。」
軽い調子で涼也はそう言う。
碧は少しでも涼也の心に自分の言葉が残るように祈りながら彼の家の扉を開ける。
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