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第五章
第五章「文化祭」5
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涼也は濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながら今日渡された台本を見る。
前の時とわずかにずれが生じている。
それは彼が望んでいる事であったが、それがなぜなのかと、考える。
今回ズレたのは多分前回の自分とは違い自分が鍛えているからだろう。
タンクトップから覗く筋肉のついた腕、を見て、前はここまでなかったから、と涼也は考える。
「それにしても、あいつが、白雪姫か。」
騒がしい、とか、元気、とか、そういうのが似合う碧を想像して涼也は苦笑する。
そして、同時に前の時はこの劇はどうなったのかと、思い出すが、残念ながら大分と前の事だったので、思い出せなかった。
「まあ、姫役だなんて、思い出したくないからな、普通なら。」
涼也は溜息を零し、台所に行き、グラスに水を入れる。
「このまま、全部が知らない未来になればいいのに。」
先の知らない未来は正直に言えば怖い。
でも、未来が分からないのは普通だ。
涼也は息を吐き、そして、台本に目を通す。
セリフは少ないので、何回か口にする。
そして、しばらくそうしているとインターホンが鳴る。
「ん?こんな時間に誰だ?」
涼也は不思議そうに首を傾げ、腰を上げ、画面を見て確認する。
『りょーやー。』
インターホンの画面越しには碧が映っており、彼は半泣きになっていた。
「どうしたんだ?」
『助けてくれー。』
「……。」
面倒臭い事に巻き込まれなければいいのだが、と思いながら涼也はドアを開けたのだった。
前の時とわずかにずれが生じている。
それは彼が望んでいる事であったが、それがなぜなのかと、考える。
今回ズレたのは多分前回の自分とは違い自分が鍛えているからだろう。
タンクトップから覗く筋肉のついた腕、を見て、前はここまでなかったから、と涼也は考える。
「それにしても、あいつが、白雪姫か。」
騒がしい、とか、元気、とか、そういうのが似合う碧を想像して涼也は苦笑する。
そして、同時に前の時はこの劇はどうなったのかと、思い出すが、残念ながら大分と前の事だったので、思い出せなかった。
「まあ、姫役だなんて、思い出したくないからな、普通なら。」
涼也は溜息を零し、台所に行き、グラスに水を入れる。
「このまま、全部が知らない未来になればいいのに。」
先の知らない未来は正直に言えば怖い。
でも、未来が分からないのは普通だ。
涼也は息を吐き、そして、台本に目を通す。
セリフは少ないので、何回か口にする。
そして、しばらくそうしているとインターホンが鳴る。
「ん?こんな時間に誰だ?」
涼也は不思議そうに首を傾げ、腰を上げ、画面を見て確認する。
『りょーやー。』
インターホンの画面越しには碧が映っており、彼は半泣きになっていた。
「どうしたんだ?」
『助けてくれー。』
「……。」
面倒臭い事に巻き込まれなければいいのだが、と思いながら涼也はドアを開けたのだった。
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