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第四章
第四章「いつだって」1
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涼也はぼんやりと外を眺める。
アキラと出会って一週間も経っていないというのにも関わらず彼の周りは大きく変化した。
一つは両親の離婚が正式に決まった事。
そして、それによって涼也は父についていき、京也は母についていく。
家は母たちが住み続ける事に決まり、涼也と父は引っ越しの準備を始めた。
涼也はどんなに遅くても中学三年までの間にそれが起こるだろうと悟っていた。
だから、彼は元々物が少なかった部屋は更に片づけられすぐにでも出ていけるように。
控えめなノックの音がしてようやく涼也の意識が現へと戻る。
「ああ?」
「入るけどいい?」
「ああ、入れよ。」
中に入って来た京也は部屋を見て目を見張り悲しげに眉を下げた。
「どうしたんだ?」
大人びた笑みを浮かべる片割れに京也は彼が完全に変わってしまったと悟る。
少し前の涼也はどこかアンバランスだった、まるで支えがない子どものようでいて、だけど、何かを知っていて、その何かから守るようにそれを悟らせまいと隠す大人のようだと京也は思っていた。
そして、つい最近、涼也はまるで欠けていた何かを見つけたかのように自然に落ち着き始めていた。
「報告。」
「報告?」
「僕、母方の姓を名乗ろうと思うんだ。」
京也の言葉に涼也はどこか寂しそうに笑った。
「決めたんだな。」
「うん。」
「お前はいつだって自分で決めるな。」
「それを言うなら涼也だって同じだよ。」
京也の言葉に涼也はキョトンなる。
「涼也はいつも一人で決めているよ。」
「そうか?」
「そうだよ。」
クスクスと笑う京也に涼也は肩を竦める。
「まあ、いいけどさ、いいのか、母方の姓にして。」
「いいんだ。」
「だけど、年的に考えたら別に変えなくってもよかったんじゃないか?」
以前は聞けなかった質問に涼也は表面には出さないが緊張して聞く。
「前」は姓を変えると聞いて京也に怒鳴り、そして、気づいた時には京也は寮生の学校に進学…。
そして、仲直りはしつつもその事には一切触れなかった。
涼也は煩くなる心臓の音を聞きながら京也の言葉を待つ。
「うん、それでもよかったんだけど、もし、再婚するような事があればやっぱり子どもと母親の苗字が違っていたらなんか嫌かもしれないと思ってさ。」
「……。」
京也の言葉に本当に自分の事は後回しだと呆れる。
そして、涼也の表情を読み取った京也は苦笑する。
「僕は正直どっちの苗字でも大丈夫だよ。」
「……。」
「涼也こそ、大丈夫?父さん料理できないし…。」
「平気、平気、どうせ、すぐになれるさ。」
父親の料理の腕前を思い出し、涼也は苦笑する。
「前」の時は苦労した、どちらとも料理が出来ないものだから最初は食材を数え切れないほど無駄にしたし、食材だけではなく服も何度新しく買う羽目になったやら。
それを考えれば今の涼也は「前」の知識も経験もある訳で、「前」よりもずっとマシだろうと楽観視している。
「……。」
涼也の事を信頼していないのか、それともただ単に不安なのか、京也は浮かない顔をしている。
「本当に涼也は気楽すぎるよ。」
「なるようにしかならないんだから仕方ないだろう?」
「……夜遊びも程ほどにね。」
「……。」
京也の言葉に涼也は顔を引きつらせる。
「気づかれてないと思ったの?」
涼也の表情で京也は心底呆れた顔をする。
「母さんや父さんは気づいていないけど、隣の部屋の僕には夜に出入りする音が聞こえているよ。」
「……マジか。」
「マジ。」
絶対に気づかれていないと思っていた涼也は本気で落ち込む。
「まあ、涼也の事だから無茶はしていないと思うけど、それでも、程ほどにね。」
「止めないのか?」
「止めても無駄でしょ?」
「……。」
完全に自分の事を理解している片割れに涼也は肩を竦める。
「まあな。」
「学校でも何かやばい事やっているとかならば、流石に止めるけど、大丈夫そうだしね。」
「……。」
「ただ、怪我だけはしないでよね。」
「善処する。」
「……。」
どこか姉のような、母親のような慈愛の満ちた顔をする京也に雪美に毒された涼也の思考が男受けしそうだと、考えてしまう。
「どうしたの?」
「嫌何でもない。」
一瞬、自分でも変な顔をしてしまった自覚のある涼也は首を振った。
「そう?」
「ああ。」
まだ、釈然としない表情を浮かべる京也だったが、ふっと時計を見て顔を引きつらせる。
「どうしたんだ?」
「部活の時間だ、忘れてた。」
「やばいのか?」
「自転車で飛ばせば大丈夫。」
「気を付けろよ。」
「分かっているって。」
どこか抜けたところがある京也に苦笑しながら涼也は彼を見送る。
アキラと出会って一週間も経っていないというのにも関わらず彼の周りは大きく変化した。
一つは両親の離婚が正式に決まった事。
そして、それによって涼也は父についていき、京也は母についていく。
家は母たちが住み続ける事に決まり、涼也と父は引っ越しの準備を始めた。
涼也はどんなに遅くても中学三年までの間にそれが起こるだろうと悟っていた。
だから、彼は元々物が少なかった部屋は更に片づけられすぐにでも出ていけるように。
控えめなノックの音がしてようやく涼也の意識が現へと戻る。
「ああ?」
「入るけどいい?」
「ああ、入れよ。」
中に入って来た京也は部屋を見て目を見張り悲しげに眉を下げた。
「どうしたんだ?」
大人びた笑みを浮かべる片割れに京也は彼が完全に変わってしまったと悟る。
少し前の涼也はどこかアンバランスだった、まるで支えがない子どものようでいて、だけど、何かを知っていて、その何かから守るようにそれを悟らせまいと隠す大人のようだと京也は思っていた。
そして、つい最近、涼也はまるで欠けていた何かを見つけたかのように自然に落ち着き始めていた。
「報告。」
「報告?」
「僕、母方の姓を名乗ろうと思うんだ。」
京也の言葉に涼也はどこか寂しそうに笑った。
「決めたんだな。」
「うん。」
「お前はいつだって自分で決めるな。」
「それを言うなら涼也だって同じだよ。」
京也の言葉に涼也はキョトンなる。
「涼也はいつも一人で決めているよ。」
「そうか?」
「そうだよ。」
クスクスと笑う京也に涼也は肩を竦める。
「まあ、いいけどさ、いいのか、母方の姓にして。」
「いいんだ。」
「だけど、年的に考えたら別に変えなくってもよかったんじゃないか?」
以前は聞けなかった質問に涼也は表面には出さないが緊張して聞く。
「前」は姓を変えると聞いて京也に怒鳴り、そして、気づいた時には京也は寮生の学校に進学…。
そして、仲直りはしつつもその事には一切触れなかった。
涼也は煩くなる心臓の音を聞きながら京也の言葉を待つ。
「うん、それでもよかったんだけど、もし、再婚するような事があればやっぱり子どもと母親の苗字が違っていたらなんか嫌かもしれないと思ってさ。」
「……。」
京也の言葉に本当に自分の事は後回しだと呆れる。
そして、涼也の表情を読み取った京也は苦笑する。
「僕は正直どっちの苗字でも大丈夫だよ。」
「……。」
「涼也こそ、大丈夫?父さん料理できないし…。」
「平気、平気、どうせ、すぐになれるさ。」
父親の料理の腕前を思い出し、涼也は苦笑する。
「前」の時は苦労した、どちらとも料理が出来ないものだから最初は食材を数え切れないほど無駄にしたし、食材だけではなく服も何度新しく買う羽目になったやら。
それを考えれば今の涼也は「前」の知識も経験もある訳で、「前」よりもずっとマシだろうと楽観視している。
「……。」
涼也の事を信頼していないのか、それともただ単に不安なのか、京也は浮かない顔をしている。
「本当に涼也は気楽すぎるよ。」
「なるようにしかならないんだから仕方ないだろう?」
「……夜遊びも程ほどにね。」
「……。」
京也の言葉に涼也は顔を引きつらせる。
「気づかれてないと思ったの?」
涼也の表情で京也は心底呆れた顔をする。
「母さんや父さんは気づいていないけど、隣の部屋の僕には夜に出入りする音が聞こえているよ。」
「……マジか。」
「マジ。」
絶対に気づかれていないと思っていた涼也は本気で落ち込む。
「まあ、涼也の事だから無茶はしていないと思うけど、それでも、程ほどにね。」
「止めないのか?」
「止めても無駄でしょ?」
「……。」
完全に自分の事を理解している片割れに涼也は肩を竦める。
「まあな。」
「学校でも何かやばい事やっているとかならば、流石に止めるけど、大丈夫そうだしね。」
「……。」
「ただ、怪我だけはしないでよね。」
「善処する。」
「……。」
どこか姉のような、母親のような慈愛の満ちた顔をする京也に雪美に毒された涼也の思考が男受けしそうだと、考えてしまう。
「どうしたの?」
「嫌何でもない。」
一瞬、自分でも変な顔をしてしまった自覚のある涼也は首を振った。
「そう?」
「ああ。」
まだ、釈然としない表情を浮かべる京也だったが、ふっと時計を見て顔を引きつらせる。
「どうしたんだ?」
「部活の時間だ、忘れてた。」
「やばいのか?」
「自転車で飛ばせば大丈夫。」
「気を付けろよ。」
「分かっているって。」
どこか抜けたところがある京也に苦笑しながら涼也は彼を見送る。
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