今世ではのんびりしたいのですが…無理ですか…

弥生 桜香

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第二章

《学ぶ 28》

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「さて、君は無茶しすぎだね。」

 神父の言葉にセイラは首を竦める。

「過労、それが君が倒れた原因だよ。」
「……。」
「思い当たるものがあるだろう。」

 彼の言葉にセイラは罰が悪そうな顔をしている。

「彼女たちに君の行動を聞いていたが、働きすぎではないか。」
「でも、私は彼女たちの保護者で。」
「……気持ちは分からなくもないが自分の体をいたわらない事には何もできないだろう。」
「……。」

 セイラは俯き、唇を噛む。

「君が行動を改めないというのなら君に教えるのを止めようと思う。」
「そんな。」
「困るだろう。」
「はい。」
「なら、ちゃんと体を休ませなさい。」
「…はい。」

 渋々というようなセイラに神父はため息を零す。

「何がそんなに嫌なのかい?」
「嫌、というより、焦っているだけです。」
「ふむ。」
「私には一応父がおります、そして、その父がいつ何時私たちに何かをするか分かりません。
 万が一、彼が和解を言うのなら、それを条件次第で飲みます。
 だけど、私以外の皆の命を刈ろうというのなら、私は矢面で戦う気です。」
「……。」
「私は武力ではカルムには劣ります。
 治癒能力ではミラに劣ります。
 索敵能力でではレラに劣ります。
 だからこそ、私は彼に負けないよう器用貧乏なりに頑張ろうと思っております。」
「君は分かっているのだな。」
「はい、私は一つの事を極められません、武術においても多分、ある程度は強くなりますが、カルムには劣ります。
 治癒術だって、水属性しかないミラには劣りますし、同じく風を操る術はミラの方が上です。
 私はただ、満遍なく上手にできる程度ですから。」
「……。」
「だから、知識を蓄え、経験を積む。それだけなんです。」
「……どれだけを無理してきたのかな?」
「……。」

 神父の笑みにセイラは顔を引きつらせる。
 彼は笑っているのにその目は笑っておらず、その背に負っているオーラは暗く重かった。

「さあ?」
「……さあ?」
「そうですね、朝、四時起きをしていましたね。」
「……。」
「でも、カルムもそのくらいに起きる時もたまにありますし。」
「……お嬢さん?」
「……すみません。」
「正直に話してくれないかな?」
「はい、基本的に三時半から四時に起きて、槙枝を拾ったり、木の実を摘みに森に行く日もありますが、その時はカルムが必ずいます。
 その後、朝食の準備をして、ギルドでクエストをするか、図書館で本を読むか、それか他にやりたいことを互いに話し合って、基本夕方までやっております。
 その後、夕方に合流してから、夕食、湯あみ、図書館で借りれた本を読んで、寝る前にこれを作っております。」

 セイラは机の引き出しを開け、そこから、自分の魔力をもとに作った結晶を見せる。

「これは。」
「自分の魔力の限度量を上げるためにいつもぎりぎりまで使って眠っています。」
「それはもう気絶ではないか、しかも、この量を作るだなんて一体どんなけの魔力が君の体に宿っているんだ。」

 愕然としている神父だったが、セイラは若干目を泳がすが、流石に現状を受け入れられない神父はその事に気づいていなかった。

「すまないが、少し席を離させてもらう。」

 ふらふらと出て行く神父にセイラは自分のクローゼットに入っている麻袋が見つからなくてホッとしていた。
 実は引き出しに入っている量は一日の量だった。だけど、神父はそれを彼女が魔力を自覚した時からだと判断したのだ、つまり、それくらい、彼女の魔力量は異常だったのだった。
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