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第三章
《使役獣 4》
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「セイラ、またか。」
「……。」
机の上に置かれている紙を見て、カルムは一年ほど前の記憶と重なる。
「仕方ないでしょ。」
唇を尖らせるセイラにカルムはため息を零し、椅子に座る。
「双子はもう寝ているのか。」
「ええ。」
「何時まで粘る気だ?」
「……カルムは何してたの?」
「走り込みと、素振りだ。」
「へー。」
「俺のは日課だ、お前は明日も早いだろう。」
「……。」
「セイラ。」
「うー。」
唸るセイラにカルムはこれ以上何言っても無駄だと悟ったのか、立ち上がり台所に向かう。
そして、しばらくして、暖かいお茶を持ってくる。
「ほら。」
「ありがとう。」
香りのいいお茶に、セイラはふわりと微笑む。
「カルムお茶淹れるのうまくなったね。」
「お前のお陰だ。」
カルムは自分の分をすすりながらそっぽを向く、髪の間から見える耳はわずかに赤くなっている。
「そうかな、カルムが頑張ったからだよ。」
「……それ飲み切る前に、決めろよ。」
「はーい。」
セイラはこれがカルムの譲歩だと分かったので、ちびちびとお茶を飲みながら考える。
「候補はあるのか?」
「なかなか、一瞬花や鉱物の名前にするかと思ったんだけど、いいじゃねぇか。」
「花言葉、石言葉とか考えると難しくて。」
「そこまで難しく考える問題か?」
「するよ、だって大切な名前じゃない。」
「はいはい。」
カルムは誤魔化すようにお茶を飲む。
「もー。」
セイラは呆れながらも、自分の書いた字を見る。
「難しいな。」
「ふーん。」
「……。」
「なー、お前好きなもんってなんだ?」
「ミラ、レラ、カルム、ソクド。」
「……。」
即答するセイラにカルムは撃沈する。
「そうじゃない…。」
「えっ?」
「例えば、宝石ならこう、とか、空ならこんな色がいいとかでいいだよ。」
「ああ。」
カルムはセイラの好きなものから名前を貰えばいいのではないかと思ったから聞いたのに、まさか、自分たちの名前が出るとは思ってもみなかったので、全身が真っ赤になるほど照れていた。
「うーん。いっぱいあるな。」
「そうなのか?」
「うん、刹那的なものも、永遠に見えるそれも好き、春の良さ、夏の良さ、秋の良さ、冬の良さも、あるから。」
「そうか。」
「あっ、でも、四神の皆はそれでいいかも。」
「ああ?」
ひとり納得するセイラにカルムは首を傾げる。
「どういう事だ?」
「四神はそれぞれ、四季にも当てはめられるの、青龍は春、朱雀は夏、白虎は秋、玄武は冬って。」
「ふーん。」
「そうすると。」
セイラは紙に何か書こうとするが、その手をカルムに止められる。
「カルム?」
「セイラ、約束だろう?」
カルムはニッコリとセイラのカップを指さす。
カップは空になっていた。
「あっ…。」
「寝ろ。」
「で、でも。」
「約束だろう。」
「……はーい。」
セイラはため息を一つ零し、諦めて机を片付ける。
「明日頑張ればいいだろう。」
「うん。」
セイラは紙を片付け、カップを台所に持っていこうとするが、カルムに止められる。
「カルム?」
「俺が洗っとくから、お前はさっさと寝ろ。」
「でも。」
「いいな。」
カルムにすごまれ、セイラは渋々頷いて、自室に向かった。
「本当に、あいつは。」
カルムは自分のお茶を飲み干し、彼女のカップと一緒に台所に持って行った。
「……。」
机の上に置かれている紙を見て、カルムは一年ほど前の記憶と重なる。
「仕方ないでしょ。」
唇を尖らせるセイラにカルムはため息を零し、椅子に座る。
「双子はもう寝ているのか。」
「ええ。」
「何時まで粘る気だ?」
「……カルムは何してたの?」
「走り込みと、素振りだ。」
「へー。」
「俺のは日課だ、お前は明日も早いだろう。」
「……。」
「セイラ。」
「うー。」
唸るセイラにカルムはこれ以上何言っても無駄だと悟ったのか、立ち上がり台所に向かう。
そして、しばらくして、暖かいお茶を持ってくる。
「ほら。」
「ありがとう。」
香りのいいお茶に、セイラはふわりと微笑む。
「カルムお茶淹れるのうまくなったね。」
「お前のお陰だ。」
カルムは自分の分をすすりながらそっぽを向く、髪の間から見える耳はわずかに赤くなっている。
「そうかな、カルムが頑張ったからだよ。」
「……それ飲み切る前に、決めろよ。」
「はーい。」
セイラはこれがカルムの譲歩だと分かったので、ちびちびとお茶を飲みながら考える。
「候補はあるのか?」
「なかなか、一瞬花や鉱物の名前にするかと思ったんだけど、いいじゃねぇか。」
「花言葉、石言葉とか考えると難しくて。」
「そこまで難しく考える問題か?」
「するよ、だって大切な名前じゃない。」
「はいはい。」
カルムは誤魔化すようにお茶を飲む。
「もー。」
セイラは呆れながらも、自分の書いた字を見る。
「難しいな。」
「ふーん。」
「……。」
「なー、お前好きなもんってなんだ?」
「ミラ、レラ、カルム、ソクド。」
「……。」
即答するセイラにカルムは撃沈する。
「そうじゃない…。」
「えっ?」
「例えば、宝石ならこう、とか、空ならこんな色がいいとかでいいだよ。」
「ああ。」
カルムはセイラの好きなものから名前を貰えばいいのではないかと思ったから聞いたのに、まさか、自分たちの名前が出るとは思ってもみなかったので、全身が真っ赤になるほど照れていた。
「うーん。いっぱいあるな。」
「そうなのか?」
「うん、刹那的なものも、永遠に見えるそれも好き、春の良さ、夏の良さ、秋の良さ、冬の良さも、あるから。」
「そうか。」
「あっ、でも、四神の皆はそれでいいかも。」
「ああ?」
ひとり納得するセイラにカルムは首を傾げる。
「どういう事だ?」
「四神はそれぞれ、四季にも当てはめられるの、青龍は春、朱雀は夏、白虎は秋、玄武は冬って。」
「ふーん。」
「そうすると。」
セイラは紙に何か書こうとするが、その手をカルムに止められる。
「カルム?」
「セイラ、約束だろう?」
カルムはニッコリとセイラのカップを指さす。
カップは空になっていた。
「あっ…。」
「寝ろ。」
「で、でも。」
「約束だろう。」
「……はーい。」
セイラはため息を一つ零し、諦めて机を片付ける。
「明日頑張ればいいだろう。」
「うん。」
セイラは紙を片付け、カップを台所に持っていこうとするが、カルムに止められる。
「カルム?」
「俺が洗っとくから、お前はさっさと寝ろ。」
「でも。」
「いいな。」
カルムにすごまれ、セイラは渋々頷いて、自室に向かった。
「本当に、あいつは。」
カルムは自分のお茶を飲み干し、彼女のカップと一緒に台所に持って行った。
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