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第一章
81 『氷夏視点』
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「氷夏、どこに行くの?」
「……。」
心配そうに声をかけてくる女性。
俺はそれをいつも煩わしく思う。
びくびくと何かに恐れているような実母。
そんな彼女を見ていると、苛立ちが膨れ上がる。
だから、俺は自室に閉じこもるか、外に出て走り込みをするかのどちらかなのだが、今日はあいつがいるだろう、図書館に向かう。
あいつは可笑しな奴だ。
臆することなく俺に話しかけ、自分の意見を言う、不思議な奴。
ふと、昨日のあいつの言葉が蘇る。
昔の自分を知っているような、そんな口ぶりなあいつ。
「なあ。」
「何かしら?」
俺が声をかけると、彼女弾かれたように顔を上げる。
あいつの名前は…。
「空野、紫織。」
「えっ…。」
俺の口から洩れた名前に、彼女が凍り付くような気配がした。
「……。」
「どうして、その名前……紫織くんと会ったの?」
「……。」
呆然と呟かれる言葉に俺はあいつの言葉が偽りなんてなかったのだと知った。
「ねえ、氷夏。」
「……。」
「あの子は怒っていたの?」
「……。」
「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい。」
めそめそと泣き出す彼女に一体何が彼女の中に渦巻いているのか知らない。
だけど、俺の中ではふつふつと嫌な気持ちが生まれては渦を巻く。
ああ、憎い
ああ、憎い
ああ、憎い
誰に向けた感情なのか、分からなかった。
俺は彼女を放置して、図書館に向かう。
苛立ちがうずくを巻く。
憎しみが膨れ上がる。
なのに、あいつを目にした瞬間、それは霧を払う風のようにあいつは吹き飛ばした。
あいつの目が。
あいつの匂いが。
あいつの温かさが。
俺にしみこむ。
それは当たり前のような。
奇跡のような。
そんなぬくもりを手放したくなくて。
あいつが、俺のそばを離れるのは嫌だった。
先程まで無くなっていた、憎悪が再度、俺を飲み込む。
だけど、あいつは、それをいつも霧散させる。
本当に可笑しな奴だ。
そんな可笑しな奴は何故か、自分のテリトリーに俺を招くなんて、本当にこいつは何を考えているのだろうか。
「……。」
心配そうに声をかけてくる女性。
俺はそれをいつも煩わしく思う。
びくびくと何かに恐れているような実母。
そんな彼女を見ていると、苛立ちが膨れ上がる。
だから、俺は自室に閉じこもるか、外に出て走り込みをするかのどちらかなのだが、今日はあいつがいるだろう、図書館に向かう。
あいつは可笑しな奴だ。
臆することなく俺に話しかけ、自分の意見を言う、不思議な奴。
ふと、昨日のあいつの言葉が蘇る。
昔の自分を知っているような、そんな口ぶりなあいつ。
「なあ。」
「何かしら?」
俺が声をかけると、彼女弾かれたように顔を上げる。
あいつの名前は…。
「空野、紫織。」
「えっ…。」
俺の口から洩れた名前に、彼女が凍り付くような気配がした。
「……。」
「どうして、その名前……紫織くんと会ったの?」
「……。」
呆然と呟かれる言葉に俺はあいつの言葉が偽りなんてなかったのだと知った。
「ねえ、氷夏。」
「……。」
「あの子は怒っていたの?」
「……。」
「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい。」
めそめそと泣き出す彼女に一体何が彼女の中に渦巻いているのか知らない。
だけど、俺の中ではふつふつと嫌な気持ちが生まれては渦を巻く。
ああ、憎い
ああ、憎い
ああ、憎い
誰に向けた感情なのか、分からなかった。
俺は彼女を放置して、図書館に向かう。
苛立ちがうずくを巻く。
憎しみが膨れ上がる。
なのに、あいつを目にした瞬間、それは霧を払う風のようにあいつは吹き飛ばした。
あいつの目が。
あいつの匂いが。
あいつの温かさが。
俺にしみこむ。
それは当たり前のような。
奇跡のような。
そんなぬくもりを手放したくなくて。
あいつが、俺のそばを離れるのは嫌だった。
先程まで無くなっていた、憎悪が再度、俺を飲み込む。
だけど、あいつは、それをいつも霧散させる。
本当に可笑しな奴だ。
そんな可笑しな奴は何故か、自分のテリトリーに俺を招くなんて、本当にこいつは何を考えているのだろうか。
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