3 / 67
第3話 これがいつもの日常③
しおりを挟む
喫茶店とあなどるなかれ、と陸音さんはちょいちょい言うんだよね?
けど、その意味にあたしは『自炊壊滅兵器』のあだ名がつくくらいなので……よぉくよくわかっておりますとも。
飲食店、つまりはご飯や飲み物を出すお店。
飲食業、つまり、それらを作る側!
ある程度の汚れが服につくのもしょうがない。つまり、ベテランさんでもそれは同じということ! おしゃれはしたいけど、汚れが大敵!!
な・の・で! 服のサイズはどーしようもないけど。店長さんらしい服装をってことであたしが選んだりしている。これには、暇以外にも仕事に関与しているので、実は重要。
「陸音さぁん、色の気分はぁ?」
「ん~……赤系の汚れ多いから、青はパス」
「おーけーおーけー。コーヒーのシミは今更だけど、茶系はぁ? このマーブリング模様だったら、色混じっても最初は気にしなくていいし!」
「お、いいな。袖なしもイイし、それ一枚。他も二、三枚だったら似たのがイイなぁ」
「なるほど。マーブリングが気に入る傾向は、今の時代でもループしてきた……と」
服装のコーディネートをある程度自由にしてもらうことで、あたしは普段の給金分の仕事に必要なデザイン案を作成している。陸音さんのご利益は方向性違うけど、なんだかんだで縁つなぎしてもらっているからあるかもしれない。
このデザイン案で、ちょっと凝ったモノは綺洞さんとの仕事で使う方が多い。綺洞さんは、日常生活の大恩人だからね?
「はいはぁい、こんな感じでぇす」
仕事着用のシャツを選んだあとに、その綺洞さんがメインの服を持ってきてくれてた。ヘナアート模様の柄に、下はスタイリッシュな青系の生地。
形はアロハシャツぽいけど、依頼した陸音さんの使用目的は!
「お。いいな? キッチンカーイベントで着てりゃ、派手に目立つ!」
「うちの宣伝にもなりますからねぇ? 中はシンプルに白のシャツかタンクトップでいいんじゃないです~?」
「……モテねぇか?」
「今回は宣伝のために、外見はモテてくださいー」
陸音さんには、ぞっこんの彼女さんがいるので下手にモテれないのは裏山けしからん! けど、その彼女さんのおかげで、普段は喫茶店営業出来てるから文句言えないもんねー?
「しっかし! このヘナアート……文字って言われているだけあって、センスがいい! 下手に交差してないのがいいな?」
「そこはあたしと!」
「染め師のボクとの共同作業ですからぁ」
仕事は本気だけど、適度に稼ぐのがイイ。
それがあたしと、綺洞さんとの共通点と言っていい。変に有名になって、気軽にご飯いけなくなるのが嫌だもん!
「んー?」
ただ、陸音さんの特徴的なドレッドヘアを見て、なんかインスピみたいな閃きが!!
モコモコした黒い何か。それを整えようと、頭が動いていく……この感覚は大事にしなくてはいかん!!
「あ、那湖ちゃん??」
「七時のご飯までは! 仕上げますから!!」
「がんばれぇ」
陸音さんには、ひらひら手を振ってもらった気がするが!
今は、頭にある閃きを失いたくない!! もこもこをある程度、形にしないと今日が終わっちゃう!! ご飯は活力! そこ大事!!
「……若い、ですね」
「混じりもんの人間でも、まだ二十代は若いからなあ?」
後ろでそんなこと聞こえたけど、徒歩二分のアパートに帰宅してからは突進攻撃並みに、久しぶりに『仕事』へ打ち込んだと思う! 短時間でも正確に、パソコンとかの端末じゃなくて手作業で! 紙にどんどん起こしたその出来栄えは!!
「出来た!! ドレッドヘアのもこもこと、キウイを掛け合わせた『ねこキャラ』!!」
ゆるっと、ほわっとした動物を模したキャラクターが人気の今!
女性目線で少しは目につくか!! 流石に、仕上げはスキャナーで取り込んでから細かい汚れと色のパターンはいくつか組み合わせて。
ボツになってもいいが、今この達成感を大事にしたい!!
念のために、ご飯のときに綺洞さんのとこにもデータで見せたら……吐くくらいむせちゃって、ご飯台無しぃ。
それくらい、デザイン案のきっかけがお得意さんの髪型由来がツボってしまったのだろうか?
けど、その意味にあたしは『自炊壊滅兵器』のあだ名がつくくらいなので……よぉくよくわかっておりますとも。
飲食店、つまりはご飯や飲み物を出すお店。
飲食業、つまり、それらを作る側!
ある程度の汚れが服につくのもしょうがない。つまり、ベテランさんでもそれは同じということ! おしゃれはしたいけど、汚れが大敵!!
な・の・で! 服のサイズはどーしようもないけど。店長さんらしい服装をってことであたしが選んだりしている。これには、暇以外にも仕事に関与しているので、実は重要。
「陸音さぁん、色の気分はぁ?」
「ん~……赤系の汚れ多いから、青はパス」
「おーけーおーけー。コーヒーのシミは今更だけど、茶系はぁ? このマーブリング模様だったら、色混じっても最初は気にしなくていいし!」
「お、いいな。袖なしもイイし、それ一枚。他も二、三枚だったら似たのがイイなぁ」
「なるほど。マーブリングが気に入る傾向は、今の時代でもループしてきた……と」
服装のコーディネートをある程度自由にしてもらうことで、あたしは普段の給金分の仕事に必要なデザイン案を作成している。陸音さんのご利益は方向性違うけど、なんだかんだで縁つなぎしてもらっているからあるかもしれない。
このデザイン案で、ちょっと凝ったモノは綺洞さんとの仕事で使う方が多い。綺洞さんは、日常生活の大恩人だからね?
「はいはぁい、こんな感じでぇす」
仕事着用のシャツを選んだあとに、その綺洞さんがメインの服を持ってきてくれてた。ヘナアート模様の柄に、下はスタイリッシュな青系の生地。
形はアロハシャツぽいけど、依頼した陸音さんの使用目的は!
「お。いいな? キッチンカーイベントで着てりゃ、派手に目立つ!」
「うちの宣伝にもなりますからねぇ? 中はシンプルに白のシャツかタンクトップでいいんじゃないです~?」
「……モテねぇか?」
「今回は宣伝のために、外見はモテてくださいー」
陸音さんには、ぞっこんの彼女さんがいるので下手にモテれないのは裏山けしからん! けど、その彼女さんのおかげで、普段は喫茶店営業出来てるから文句言えないもんねー?
「しっかし! このヘナアート……文字って言われているだけあって、センスがいい! 下手に交差してないのがいいな?」
「そこはあたしと!」
「染め師のボクとの共同作業ですからぁ」
仕事は本気だけど、適度に稼ぐのがイイ。
それがあたしと、綺洞さんとの共通点と言っていい。変に有名になって、気軽にご飯いけなくなるのが嫌だもん!
「んー?」
ただ、陸音さんの特徴的なドレッドヘアを見て、なんかインスピみたいな閃きが!!
モコモコした黒い何か。それを整えようと、頭が動いていく……この感覚は大事にしなくてはいかん!!
「あ、那湖ちゃん??」
「七時のご飯までは! 仕上げますから!!」
「がんばれぇ」
陸音さんには、ひらひら手を振ってもらった気がするが!
今は、頭にある閃きを失いたくない!! もこもこをある程度、形にしないと今日が終わっちゃう!! ご飯は活力! そこ大事!!
「……若い、ですね」
「混じりもんの人間でも、まだ二十代は若いからなあ?」
後ろでそんなこと聞こえたけど、徒歩二分のアパートに帰宅してからは突進攻撃並みに、久しぶりに『仕事』へ打ち込んだと思う! 短時間でも正確に、パソコンとかの端末じゃなくて手作業で! 紙にどんどん起こしたその出来栄えは!!
「出来た!! ドレッドヘアのもこもこと、キウイを掛け合わせた『ねこキャラ』!!」
ゆるっと、ほわっとした動物を模したキャラクターが人気の今!
女性目線で少しは目につくか!! 流石に、仕上げはスキャナーで取り込んでから細かい汚れと色のパターンはいくつか組み合わせて。
ボツになってもいいが、今この達成感を大事にしたい!!
念のために、ご飯のときに綺洞さんのとこにもデータで見せたら……吐くくらいむせちゃって、ご飯台無しぃ。
それくらい、デザイン案のきっかけがお得意さんの髪型由来がツボってしまったのだろうか?
22
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる