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第62話 主治医へ久しぶりに
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生活水準がある程度整ってきたところで、『スカベンジャー・ハント』を正式リリースしようにもまずは肉体面の安心が問題だった。
投薬以外に改造手術並みの費用で、奈月の肉体は実験もかねて『素体』にさせられていたのだ。並行世界の『加東奈月』全員が同意したにしては『出来過ぎて』いる未来のひとつ。各地の大荒れ天候以外にも、地下噴火などによる世界各地の大地震のせいで、物資も『世界大戦終結』以降それ程度だ。
「それでも、なんとかするものってのが人間なのよ」
メメの解説があらかた終わったところで、彼女は絵師としての仕事道具を使ってすさまじい速さでメール文書の作成やデザイン画をこなしていく。奈月と紗夜との契約が成された『このアパート』は、関係者のまちゃやメメがいつでも越してきていいように設備が整えられているらしい。『クロニクル=バースト』は一種の団体活動の名にも使っていたため、奈月と紗夜が『寝てた』間も彼らが中心になって引き継いでいたのだ。
ほかにも、並行世界で関わっていた彼らも。記憶の結びつきが今の奈月にはないせいで『誰が』『どれ』で、『誰と誰がパートナー』かもあいまいだ。あのβ版のプログラムにいたかのようなVRMMOの世界では、本気で本気のパートナー以外は違っていたとしか思えない。
もしくは、多次元では成立していても、この現実では違うとか。
「なんとかし過ぎて、パートナーシップの成立がめちゃくちゃ過ぎて事件勃発もかわいいもんだ」
「いや~、私ら幸運?」
「……幸運いうか、お前らは絶対だからな? 紗夜ちゃんさがすのに、三年近くかかったし」
「え、いつ?」
「奈月が『寝た』あたりだから……今から、五年前?」
「……何してたの、紗夜」
「えへ? 措置入院」
「「あんたら、今から病院!!」」
という流れで、メメもさすがに仕事を中断して比較的近くにあった病院へと向かうことに。薬手帳と自立支援医療の制度がきちんと記載された束を持っての受診だったが。大学病院くらいに大きなそこは待合室に患者がちらほらしかいない。
「245番さーん、どうぞ」
プライバシーを保護するのに番号で呼ばれるのは相変わらずのようだ。四人で向かっていいかと受付に聞いても大丈夫だったため、診察室に入る。待っていた外来医者は、『来たか』と言わんばかりに苦笑いしていたが。
口を開けていたこっち側には予想外の展開でしかない。宗ちゃんそっくりの金髪美形が白衣を着て座っていたのだから。
「やっとこさ、来てくれたのか。こちらとしては待ちくたびれたが」
「……宗、ちゃん……さん?」
「ディスプレイくらい見なさい。僕は、『加東茂明』。ここだけの話が、君とははとこくらい離れた親戚さ」
「「「……えぇえ」」」
「僕だってそんな反応したいところだが。ようやく起きてくれたからには、医者として診察しよう。奈月の執刀医は僕じゃないが」
「……誰です??」
「誰だと思うかな??」
問い返されても、まだ記憶の相互が整っていないのでわからないと左右に首を振った。すると、茂明はひとつの紹介状を渡してくれ、ここに行くように指示を出す。まだ開所時間中だから、きっと行けばいるだろうと言われた場所は、光明会木村病院というところだった。まちゃがタクシーで行こうと進めてくれたので、皆で向かうことにしたが。
「よ、『まちゃ』に『メメ』」
事前に茂明が連絡をしてくれたにしては、背の高い男性がいるなと思ったが。雅博らのあだ名をすぐに言えるくらい近い関係の人かと問えば。
「……私のはとこよ。政樹……なんでここに」
「俺の取引先のひとつだし。今婚約者診てもらっているから」
「「は??」」
情報交換が色々多くてわからなくなりそうなのは、居合わせた全員なのでひとまず空いている診察室で政樹と話す次第になった。
投薬以外に改造手術並みの費用で、奈月の肉体は実験もかねて『素体』にさせられていたのだ。並行世界の『加東奈月』全員が同意したにしては『出来過ぎて』いる未来のひとつ。各地の大荒れ天候以外にも、地下噴火などによる世界各地の大地震のせいで、物資も『世界大戦終結』以降それ程度だ。
「それでも、なんとかするものってのが人間なのよ」
メメの解説があらかた終わったところで、彼女は絵師としての仕事道具を使ってすさまじい速さでメール文書の作成やデザイン画をこなしていく。奈月と紗夜との契約が成された『このアパート』は、関係者のまちゃやメメがいつでも越してきていいように設備が整えられているらしい。『クロニクル=バースト』は一種の団体活動の名にも使っていたため、奈月と紗夜が『寝てた』間も彼らが中心になって引き継いでいたのだ。
ほかにも、並行世界で関わっていた彼らも。記憶の結びつきが今の奈月にはないせいで『誰が』『どれ』で、『誰と誰がパートナー』かもあいまいだ。あのβ版のプログラムにいたかのようなVRMMOの世界では、本気で本気のパートナー以外は違っていたとしか思えない。
もしくは、多次元では成立していても、この現実では違うとか。
「なんとかし過ぎて、パートナーシップの成立がめちゃくちゃ過ぎて事件勃発もかわいいもんだ」
「いや~、私ら幸運?」
「……幸運いうか、お前らは絶対だからな? 紗夜ちゃんさがすのに、三年近くかかったし」
「え、いつ?」
「奈月が『寝た』あたりだから……今から、五年前?」
「……何してたの、紗夜」
「えへ? 措置入院」
「「あんたら、今から病院!!」」
という流れで、メメもさすがに仕事を中断して比較的近くにあった病院へと向かうことに。薬手帳と自立支援医療の制度がきちんと記載された束を持っての受診だったが。大学病院くらいに大きなそこは待合室に患者がちらほらしかいない。
「245番さーん、どうぞ」
プライバシーを保護するのに番号で呼ばれるのは相変わらずのようだ。四人で向かっていいかと受付に聞いても大丈夫だったため、診察室に入る。待っていた外来医者は、『来たか』と言わんばかりに苦笑いしていたが。
口を開けていたこっち側には予想外の展開でしかない。宗ちゃんそっくりの金髪美形が白衣を着て座っていたのだから。
「やっとこさ、来てくれたのか。こちらとしては待ちくたびれたが」
「……宗、ちゃん……さん?」
「ディスプレイくらい見なさい。僕は、『加東茂明』。ここだけの話が、君とははとこくらい離れた親戚さ」
「「「……えぇえ」」」
「僕だってそんな反応したいところだが。ようやく起きてくれたからには、医者として診察しよう。奈月の執刀医は僕じゃないが」
「……誰です??」
「誰だと思うかな??」
問い返されても、まだ記憶の相互が整っていないのでわからないと左右に首を振った。すると、茂明はひとつの紹介状を渡してくれ、ここに行くように指示を出す。まだ開所時間中だから、きっと行けばいるだろうと言われた場所は、光明会木村病院というところだった。まちゃがタクシーで行こうと進めてくれたので、皆で向かうことにしたが。
「よ、『まちゃ』に『メメ』」
事前に茂明が連絡をしてくれたにしては、背の高い男性がいるなと思ったが。雅博らのあだ名をすぐに言えるくらい近い関係の人かと問えば。
「……私のはとこよ。政樹……なんでここに」
「俺の取引先のひとつだし。今婚約者診てもらっているから」
「「は??」」
情報交換が色々多くてわからなくなりそうなのは、居合わせた全員なのでひとまず空いている診察室で政樹と話す次第になった。
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