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第67話 切り離しされてたので
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奈月が夢見を通じて、月側の並行世界に行けた事実を雅博に告げたが。彼もどうやら昨日くらいに似た状況になっていたようで、話は通じ合えた。
『見た目がメメそっくりの息子……って言われても、自覚ないぜ? 俺まだ二十六なのに』
「俺もだけど……」
生きている端末コードで通信のやり取りをしつつ、先日リリースさせたばかりのVRMMOの運営としても管理室をアパート内にこさえた。紗夜は雅博と会話している間、片付けがここ最近落ち着いてきたのでゲームにNPCのプレイヤーとしてダイブしてくれているので、別室で寝ながらプレイしてくれている。
運営が何人かダイブしないと微調整などのバグトラブルの対応が出来ないため、具体的な仕事のない紗夜は特に適任だった。服薬と受診のお陰で今は話し方なども落ち着いている。最近では、救援物資をやりくりして食事もきちんと作れるようにまで落ち着いているのだ。
『月面どっかだろ? んで、光年がどうとかで時差がめちゃんこあるから』
「現実がこっちだとしても……向こうの父さんたちは若いのかどうかも」
『いや、若いんじゃ? こっちのおじさんたちも相当若かったけど』
「んー。まだ来れないし、久しぶり過ぎだからなあ?」
端末のテレビ通話を持てる人間は少し限られている状況なので、父らの環境ではそれがまだ整っていないらしい。ただ、無事であるとメールだけ送ったら端的に『おかえり』と言ってもらえたので涙が出たほどだ。
『あ。お前のばあちゃんは日本側にいるはずだぞ』
「へ? ばあちゃん??」
年齢的に生きているかどうか怪しい世代をいきなり出されたので、少し変な声が出てしまったが。同時にインターホンが鳴ったので宅配便かなにかかと、雅博に離席を伝えておく。
「来たよ。奈月」
玄関を開ければ、茂明だけでなく横には老年の女性がひとり。茂明を数倍老けさせたという感じだったので、まさかと口を開けてしまうのも無理ない。今、雅博と話題にしていた人物だからだ。
「……ばあ、ちゃん?」
「十年ぶりになるかね? 元気になってよかったよ、奈月」
「僕からのサプライズだ」
「……サプライズ、し過ぎだよ」
とりあえず、外は極寒なので中に入ってもらい、飲み物だけでもと用意しようとしたら祖母に部屋の状況を見られて『まあ!』と声を上げられたのは仕方がない。
まだ数ヶ月でも、適当に片付けただけで家に上げる人間も限られていたから……身内に見られたらこうなるだろうと反応はなんとなく予想していた。
「……けど、まあ。それなりに片付けているんならいいよ。食事は物資以外にちゃんと買いに行けているのかい?」
「あ、うん。……なんとか」
「それなら、手術も無事成功したってことかい。AIに組み替えるって『思い込み』させてたあの夢は……こちらでは成されなかったようだけど」
「へ?」
「あたしもあたしで言い出したんだよ。加東の家のもんとして」
月面側か、どこかなのかわからない『加東奈月』のアドバイスがあったにしても。アンドロイドならぬ、サイボーグ級の手術の試験体として祖母は身体を差し出したらしい。
しかし、実際そんな技術はどこにもなく。せめてVRMMOなどのゲームの中でダイブするくらいで終わったそうだ。
「さて。紗夜ちゃんの診察も少し見に来たんだが、今はどこに?」
「別の部屋で、仕事してる。……起きるかなあ?」
「ああ、それなら自分のタイミングで起きてくれて構わない。美知子さん、どうします?」
「それだったら、もう少しくらい孫の部屋を片付けるさね?」
「……ありがとうございます」
途中で紗夜が戻ってくるまで、本気級の片づけをすることになるとは思わなかったが。雅博にも、メッセージで掃除はもっとしとけと送るしか出来ないくらいのレベルだった。
『見た目がメメそっくりの息子……って言われても、自覚ないぜ? 俺まだ二十六なのに』
「俺もだけど……」
生きている端末コードで通信のやり取りをしつつ、先日リリースさせたばかりのVRMMOの運営としても管理室をアパート内にこさえた。紗夜は雅博と会話している間、片付けがここ最近落ち着いてきたのでゲームにNPCのプレイヤーとしてダイブしてくれているので、別室で寝ながらプレイしてくれている。
運営が何人かダイブしないと微調整などのバグトラブルの対応が出来ないため、具体的な仕事のない紗夜は特に適任だった。服薬と受診のお陰で今は話し方なども落ち着いている。最近では、救援物資をやりくりして食事もきちんと作れるようにまで落ち着いているのだ。
『月面どっかだろ? んで、光年がどうとかで時差がめちゃんこあるから』
「現実がこっちだとしても……向こうの父さんたちは若いのかどうかも」
『いや、若いんじゃ? こっちのおじさんたちも相当若かったけど』
「んー。まだ来れないし、久しぶり過ぎだからなあ?」
端末のテレビ通話を持てる人間は少し限られている状況なので、父らの環境ではそれがまだ整っていないらしい。ただ、無事であるとメールだけ送ったら端的に『おかえり』と言ってもらえたので涙が出たほどだ。
『あ。お前のばあちゃんは日本側にいるはずだぞ』
「へ? ばあちゃん??」
年齢的に生きているかどうか怪しい世代をいきなり出されたので、少し変な声が出てしまったが。同時にインターホンが鳴ったので宅配便かなにかかと、雅博に離席を伝えておく。
「来たよ。奈月」
玄関を開ければ、茂明だけでなく横には老年の女性がひとり。茂明を数倍老けさせたという感じだったので、まさかと口を開けてしまうのも無理ない。今、雅博と話題にしていた人物だからだ。
「……ばあ、ちゃん?」
「十年ぶりになるかね? 元気になってよかったよ、奈月」
「僕からのサプライズだ」
「……サプライズ、し過ぎだよ」
とりあえず、外は極寒なので中に入ってもらい、飲み物だけでもと用意しようとしたら祖母に部屋の状況を見られて『まあ!』と声を上げられたのは仕方がない。
まだ数ヶ月でも、適当に片付けただけで家に上げる人間も限られていたから……身内に見られたらこうなるだろうと反応はなんとなく予想していた。
「……けど、まあ。それなりに片付けているんならいいよ。食事は物資以外にちゃんと買いに行けているのかい?」
「あ、うん。……なんとか」
「それなら、手術も無事成功したってことかい。AIに組み替えるって『思い込み』させてたあの夢は……こちらでは成されなかったようだけど」
「へ?」
「あたしもあたしで言い出したんだよ。加東の家のもんとして」
月面側か、どこかなのかわからない『加東奈月』のアドバイスがあったにしても。アンドロイドならぬ、サイボーグ級の手術の試験体として祖母は身体を差し出したらしい。
しかし、実際そんな技術はどこにもなく。せめてVRMMOなどのゲームの中でダイブするくらいで終わったそうだ。
「さて。紗夜ちゃんの診察も少し見に来たんだが、今はどこに?」
「別の部屋で、仕事してる。……起きるかなあ?」
「ああ、それなら自分のタイミングで起きてくれて構わない。美知子さん、どうします?」
「それだったら、もう少しくらい孫の部屋を片付けるさね?」
「……ありがとうございます」
途中で紗夜が戻ってくるまで、本気級の片づけをすることになるとは思わなかったが。雅博にも、メッセージで掃除はもっとしとけと送るしか出来ないくらいのレベルだった。
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