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第66話 宇宙では片づけられない歪み
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『世界』をひとつでくくるのがそもそもの間違いだと知ったのは、『加東奈月』だけではない。
宇宙の果ての果て、各次元ごとの世界に『歪み』が生じたのは光年も超えた先の破裂から起きたもの。
それを試練だと認識し。
それを区切りと示し。
それを終わりだと捉えて生き方を諦めたものもいるが。
そもそも、『魂』とやらがあるのは極一部以下のそれしか存在していないのだ。
『歪み』がたまたま同調したのが、『加東奈月』を含める反応があったものだと本人らが知るのも生きているときなのかはわからない。
現実とあの世。現世と常世。
そのわずかな差でも、姿かたちに『名前』を付けた時点でただ『認識』するだけのこと。
それらを、宇宙の果ての果てで『カプセル世界』としていくつも重なって運営していたのは誰だったか。繰り返し繰り返し運営し過ぎて、最初が誰かも覚えていない。
『加東奈月』だと、『名前』が固定されていただけなのも、デバイスとサーバーがそちらに残っていただけ。その場所が、どこかどこにあるかもわからないとされていたのを……肉体を切り離し、宇宙空間へと転送させた彼の一部が見つけ出したのだ。
月のクレーターの一角の一角に。
別次元の『自分』とやらがひっそりと建てた『カプセル世界』が存在しているのを。
アニメーションなどで切り離した『別世界』とやらで生活をしている『一家』そのものが存在しているだなんて、夢幻などと普通思うはずなのに。彼らはきちんと生活していたのだ。『加東奈月』の次世代の家族たちが。
夢を通じて、その世界を久しぶりに見た奈月は霊体とも言える透けた状態なので……中には簡単に入れた。拒否も何もされず、こちらと目が合った青年には『いらっしゃい』と声をかけられたが。
「違うとこの父さんだね。俺と同じくらいに若い」
『……ここは、シェルター?』
「そう。異次元の父さんたちが使ってたお古だけどね?」
『ふる……いやいや、十分高度技術だろうに』
「こっちじゃそうでもないよ? 好みのテーマで家族を養うのがまだまだ育成途中だからね」
『……地球は、壊れた』
「そう? 父さんよりじいさん世代らしいって聞いてたけど。そっちだと最近なんだ?」
『……あっさり、しているね』
「星の巡りはいつだって生命そのもの。……それが銀河系だとしても同じ。地球も次の転生に向けてだって、俺の父さんは言ってた」
『……俺が?』
「次元は違っても、どうか逸れた生き方をしないで。間違いはいくらでもあるけど……役割から大きくズレてはいけない。このシェルターを見つけれたなら、地球の再生とやらも始まっているかもしれないから」
奈月の意識はそこで眠りから覚醒し、隣にはパジャマを着て寝ている紗夜がいた。療養しているので単純に寝ていただけにしても、好意的な目で見ている相手の寝顔を見るのは生理的に色々よろしくない。
ともあれ、あの夢が並行世界のひとつでもないのなら……この現実も彼に伝わっているのか。夢越しなので、顔もろくに覚えていないが、自分の息子か娘が出来たのならあれくらいなのだろうと思っておくことにした。
「百年……いいや、五十年でも長いかけど。土地の再開発は分野外だから任せるしかないかな?」
病を理由に拘束入院を繰り返し、意識だけは並行世界に逃げて開発を整えていた事実。
まだ一部にしか開示できていないが、まったく理解者がゼロでないのが救いだと思うしかない。
眠たくはないが、まだ少しまどろんでいたいので紗夜を引き寄せて布団をかぶせ直した。横になるとほんわかあったかい温もりが心地よかった。あのシェルターとの接触は、今日こっちに来る予定の雅博らにでも話してみようと思った。
宇宙の果ての果て、各次元ごとの世界に『歪み』が生じたのは光年も超えた先の破裂から起きたもの。
それを試練だと認識し。
それを区切りと示し。
それを終わりだと捉えて生き方を諦めたものもいるが。
そもそも、『魂』とやらがあるのは極一部以下のそれしか存在していないのだ。
『歪み』がたまたま同調したのが、『加東奈月』を含める反応があったものだと本人らが知るのも生きているときなのかはわからない。
現実とあの世。現世と常世。
そのわずかな差でも、姿かたちに『名前』を付けた時点でただ『認識』するだけのこと。
それらを、宇宙の果ての果てで『カプセル世界』としていくつも重なって運営していたのは誰だったか。繰り返し繰り返し運営し過ぎて、最初が誰かも覚えていない。
『加東奈月』だと、『名前』が固定されていただけなのも、デバイスとサーバーがそちらに残っていただけ。その場所が、どこかどこにあるかもわからないとされていたのを……肉体を切り離し、宇宙空間へと転送させた彼の一部が見つけ出したのだ。
月のクレーターの一角の一角に。
別次元の『自分』とやらがひっそりと建てた『カプセル世界』が存在しているのを。
アニメーションなどで切り離した『別世界』とやらで生活をしている『一家』そのものが存在しているだなんて、夢幻などと普通思うはずなのに。彼らはきちんと生活していたのだ。『加東奈月』の次世代の家族たちが。
夢を通じて、その世界を久しぶりに見た奈月は霊体とも言える透けた状態なので……中には簡単に入れた。拒否も何もされず、こちらと目が合った青年には『いらっしゃい』と声をかけられたが。
「違うとこの父さんだね。俺と同じくらいに若い」
『……ここは、シェルター?』
「そう。異次元の父さんたちが使ってたお古だけどね?」
『ふる……いやいや、十分高度技術だろうに』
「こっちじゃそうでもないよ? 好みのテーマで家族を養うのがまだまだ育成途中だからね」
『……地球は、壊れた』
「そう? 父さんよりじいさん世代らしいって聞いてたけど。そっちだと最近なんだ?」
『……あっさり、しているね』
「星の巡りはいつだって生命そのもの。……それが銀河系だとしても同じ。地球も次の転生に向けてだって、俺の父さんは言ってた」
『……俺が?』
「次元は違っても、どうか逸れた生き方をしないで。間違いはいくらでもあるけど……役割から大きくズレてはいけない。このシェルターを見つけれたなら、地球の再生とやらも始まっているかもしれないから」
奈月の意識はそこで眠りから覚醒し、隣にはパジャマを着て寝ている紗夜がいた。療養しているので単純に寝ていただけにしても、好意的な目で見ている相手の寝顔を見るのは生理的に色々よろしくない。
ともあれ、あの夢が並行世界のひとつでもないのなら……この現実も彼に伝わっているのか。夢越しなので、顔もろくに覚えていないが、自分の息子か娘が出来たのならあれくらいなのだろうと思っておくことにした。
「百年……いいや、五十年でも長いかけど。土地の再開発は分野外だから任せるしかないかな?」
病を理由に拘束入院を繰り返し、意識だけは並行世界に逃げて開発を整えていた事実。
まだ一部にしか開示できていないが、まったく理解者がゼロでないのが救いだと思うしかない。
眠たくはないが、まだ少しまどろんでいたいので紗夜を引き寄せて布団をかぶせ直した。横になるとほんわかあったかい温もりが心地よかった。あのシェルターとの接触は、今日こっちに来る予定の雅博らにでも話してみようと思った。
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