満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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2-1.脂肪燃焼スープ①

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 ★・☆・★







「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


【TEST不可能

 食材を入れ過ぎです

 我の許容量を超えてます】

「やるんだ、シャインぅうううううう!」

「……マスター、シャインになにしようとしてる?」

「ぬ!」

【救援を求めます、セリカ】


 あれから二ヶ月弱。

 俺様の身体は、セリカの美味過ぎる減量食事生活のおかげで、合計20キロも痩せてはきたが、見た目的にはほとんど変わっていない。

 だが、その間にも彼女に対抗すべく様々な錬成料理をシャインで生み出してはきたが。

 彼女の口からは、一度も『美味しい』『美味い』を引き出せないでいる。

 だからこそ、今日はシャインで大量に食材を詰め込んでフルコースでも作ってみようと思ったのだが。

 食材を詰め込みすぎて、シャインに拒否されてしまった。

 しかし、シャインが結果的には生み出したとは言え、セリカに加担し過ぎではないか?

 俺様が生みの親なのに、なんて様だ!


「まだ半年程度だが、フルコースくらい可能だろう! それをセリカに食べさせてやってくれ!」

【……諾】

「しなくていい。朝ご飯もあれだけ食べたのに、まだお腹空いてないから」

「俺様はいつだって食えるぞ!」

「マスターは、咀嚼の回数が増えても、まだ満腹感が得られてないから。もっと味わって食べて。そして、その醜い肉と脂肪を落とそう」

「またいちだんと辛辣度数が増えたな!」

「痩せてはいるけど、まだまだ。一度に痩せると反動が大きいから徐々に」

「う、うむ」


 セリカは元の個体……と言うのを特に持たせていないのに、シャインの管より誕生してからどんどん個性を育んでいる。

 エルフを参考にしてるホムンクルスなのに、笑顔はぴくりともないが、すました顔は美しい。

 そして何より。主人である俺の健康を気遣う優しさに溢れてはいるのだ。非常にわかりにくいが。

 でなければ、契約回路を断ち切って、自分で生きるとか言い出す事例は過去に多く示されている。

 が、俺様の細胞を一部組み込んでいるために、俺様を生かすために食事制限じゃなしに食事療法を取り組んでくれている。

 自分のためでもあるが、俺様のためにもなっているのだ。

 細胞云々も回路を遮断すればなんとかなるのに……少し可愛い奴だと思えてきた。

 が、錬成料理がうまくいかないのは何故だ!


「それに、まだまだシャインは調整しなきゃいけない。無理に稼働させて壊したら、作り直すのにマスターの備蓄が大幅に減る」

「そ、それは」

「だから、日課の散歩をしてきて。それからお昼ご飯にする」

「…………わかった」


 仕方なく、シャインに押し込む予定だった食材をセリカに預けて、俺は減量生活に組み込まれた日課をこなすことにした。

 と言っても、ただ歩くだけ。

 が、セリカに組み込まれた異世界のレシピには、一部減量化に必要な知識も記されていたらしい。

 その中に、人体の健康維持のためには日光を浴びる事と有酸素運動と言うウォーキングを適度にこなす事がいいらしいと記されていたそうだ。

 それまで、食事以外を日々の路銀稼ぎのために納品するだけの、堕落とした生活を送ってたのみ。

 が、それはこの体型になる前からの俺様の望みだった。

 冒険者に一応登録はしているものの、日々路銀を稼ぐのに体を張って戦場に向かうなど……俺様には愚かな行為にしか見えなかった。

 だから、適性にあった錬金術師や魔工技士を利用して、自分だけの楽園を作ろうと日々努力はしてきたが……それで寿命を縮ませたら本末転倒だ。

 個体の出来云々はともかく、セリカは優秀な助手になり得るだろう。

 なら、まず俺様も研究を続けるために、彼女の指示を聞くしかない。

 が、このウォーキングとやらも地味にキツい!


「……一時間、決まったリズムで歩くだけにしたって!」


 なんで、こんなにも足腰がすぐに悲鳴を上げるんだ!

 セリカを生み出した翌日から日常生活に組み込まれて、減量に一部でも成功の成果を見せたのだが。

 キビキビと、一定の姿勢で。

 ただだらけた姿勢で歩くのではなく、その姿勢とやらは両手両足を交互に動かして、歩幅も一定に。

 それを休み休みでいいから、だいたい一時間行う。

 それと、セリカの食事のお陰で、俺様はわずか二ヶ月で多少なりとも減量に成功したのだ。

 が、これが結構キツい!


「い、いち……に……」


 軍隊や傭兵とかならば、走り込み訓練とかがあると聞いた事はあるが。

 このウォーキングだけでも、俺様の身体は悲鳴を上げそうだった!

 決まった型通りに歩いているだけでも汗をかく量が多い。

 まだ二ヶ月で成果が出ているとは言え、この運動はしんどい!

 だが、セリカが言うには走り込みは俺様の身体に必要以上の負荷を与えてしまうらしく、やるならもっと贅肉と脂肪を落としてからがいいそうだ。


(たしかに……走り込みをしてたら、即刻御陀仏になってたやもしれぬが)


 地味に効くな! この運動も!

 かつての美貌を失った俺様にはお似合いだとセリカは思っているやもしれぬが……寿命を元どおりにするためには致し方ない。

 俺様の目標、自堕落な生活を再び送るためにも今は我慢するしかないのだ!


「ぜーはーぜーはー……お、終わった」


 たった一時間、されど一時間。

 今日もシャツがぴっちりと皮膚に張り付くくらい汗だくになって、日課が終わりを迎えた。

 やった……やり切った!

 これであとはお風呂に入って、念願の昼飯を口に出来る!

 そうと決まれば、と重い足腰を引きずりながらも……風呂場に移動してまだまだ醜い身体を清めることにした。


「……ふ、む。多少は落ちて……いるのか?」


 セリカの造った体重計とやらには毎日乗せられているので、数値による変化は見えてはいるのだが。

 身体の方は、まだまだ醜いままだ。

 余分な垂れている肉は上半身下半身共に、何層も伸び縮みを繰り返し。

 顔の方は、一重だけ顎の厚みが減ったような気もする。

 わずかだが、変化が見えてきた!


「くくく……従うのは癪だが。これも元の身体を取り戻すため!」


 そして、腹一杯異世界の料理を口にするためだ!


「やるぞ……俺様はやってみせる!」


 そのためにも、汗を流して腹ごしらえだ!


「ふ~んふふふ~ん!」


 風邪を引かないためにも、念入りに身体と髪を乾かして、用意しておいた着替えに袖を通した。

 そうして、食堂に向かえば、いい匂いのする食事達が俺様を出迎えてくれた!


「おかえり……、出来てるよ」

「うむ! 今日は何だ!」

「脂肪燃焼スープは相変わらずで、今日はBLTCサンドとかのブランパンのサンドイッチ」

「おお! あのスープは美味いからな!……その頭文字やらがついてるサンドイッチはなんだ?」

「まずは座って」


 言われるがまま、ダイニングテーブルの自分の席に腰掛けてから、置かれている料理達を目にした。


「ん? ベーコン?」


 脂が多過ぎる食材は避けていたのに、サンドイッチにベーコンが入っていた。

 しかも、俺様好みのカリカリベーコン!


「余分な脂を抜いてあるから、少しずつなら食べてもいい。肉は必要なタンパク源だから」

「筋肉……を作ると言っていたな?」

「うん。だから、卵以外にも時々入れる。糖質も抑えてあるから、少しならいい」

「なるほど!」


 俺様が組み込んだ異世界レシピが正しいからこそ、セリカは減量食事を正しく作り出せている。

 そして、相変わらず俺様の嫌いなキノコをソテーにして置いてはあったが。

 身体の老廃物とやらの毒素を抜くためには……食わねばならない。

 この醜い身体を元に戻すためには食わねばならない!

 だからこそ、まずは食べ方の改善と加えられた……野菜から食べることにした。

 食べやすいキャベツの千切りサラダ、と脂肪燃焼スープというトマトをたっぷり加えた野菜ゴロゴロのスープを!
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