満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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8-3.ご褒美パフェ

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 ★・☆・★







 今日は、死ぬかと思った……。

 セリカのサポートがあったとは言え、準備運動と走り込み。

 これだけなのに、回復魔法と体力回復ポーションが必要になるくらい身体が悲鳴を上げて、帰りもなんとか身体を引きずる態勢で帰ってはきたが。

 風呂に入って寝そうにはなったけれど、この後のお楽しみがあるので、寝てはいけない。

 何せ、『豪華パフェ』が待っているのだからな!


「パフェ~パフェ~!」


 なにを隠そう、この天才錬金術師クローム=アルケイディスは無類の甘味好き!

 特に、街にいた頃は、茶店に行くたびにパフェを頼んでいたしな!

 もちろん、当時はこのように醜い身体ではなかったが……。セリカ曰く、シャインで生成した錬成料理のせいかもしれないとは言っていたが。原因はまだよくわかってはいない。

 とりあえず、酷使した身体を労わるように、よくスポンジで洗って、髪も念入りに手入れしてから湯船に浸かった。

 最初の頃よりも、湯船の湯が溢れることはなくなったが、まだまだあふれてしまう。


「しかし、75キロもか……」


 セリが言うには、俺様よりガタイのいい男一人分減ったに等しいとのことだったが。

 あの醜過ぎた俺様から、そんなにも余分な脂肪や肉などが取り除かれたのかと思うと身震いしてしまう。

 自業自得とは言え、自分のそんなものがひっついていたかと思うと恐ろしくも感じるが。

 まだまだ俺様の身体は痩せなくてはいけない。

 まだ成人男子一人分くらいは絞らないと、死に至る病にかかるかもしれないと。

 一応緊急を脱してはいるが、まだまだ油断は禁物らしい。


「だが、今日も運動は頑張ったからな! その褒美にパフェ!」


 それでも、まだセリカ曰く、糖質を抑えたパフェだろうが、セリカの作るものはなんだって美味い!

 最初はセリカを失敗作かと思いかけたが、表情の起伏を除けば素晴らしい出来ではないだろうか?

 さすがは、俺様だ!

 ひとまず、よく湯船に浸かって、手足のマッサージをして筋肉をほぐしてから。

 あとは諸々省略。

 準備が出来たら、リビングに突撃!


「出来たか、セリカ!」

「ん。ちょうど出来た」

「おお!」


 テーブルで待っていると、セリカはトレーに乗せた少し小ぶりのグラスに盛り付けたパフェを手にして、俺様のところにやってきた!


「お待たせ」

「おお! 美しいな!」


 ピンク、白、茶色、赤、緑。

 街で食べたような、もっとカラフルな色合いではないが、バランスよく飾り付けられているので、それは美しかった。

 茶色……というより黒い部分は、まさかチョコレートか?

 アイスの部分にも砕いて入っているように見えるが。


「……溶けないうちに、召し上がれ」

「うむ、いただくぞ!」


 パフェ用の細長いスプーンを片手に、まずはクリームのところへ。

 口に入れるとほろ苦い、ビターなチョコレートソースの味とほんのり豆の風味のあるクリームが舌の上で溶けていく。

 やはり、このパフェも糖質とやらを抑えた逸品だったが。


「チョコを使っているではないか!」

「甘味をかなり抑えたビターチョコだから、少しなら大丈夫」

「うむ……うむ! このクリームや果物との相性もいい。それにこのアイスは……!」


 砕いたチョコを混ぜ込んであるせいか、噛むと少しコリコリした食感が楽しい!

 豆乳アイスとの相性も良いし、最近増えたラズベリーもいいが、たまにはこういうのもいいだろうと思うが。


「うむ、美味い!」

「お代わりは出来ないから、ゆっくり味わって」

「う、うむ」


 そして、セリカは自分の分も作っていたのか、同じ物を向かいの席で食べ始めた。


(……ううむ。やはり、美しいな?)


 パフェもだが、セリカが。

 ベースをいくらハイエルフにしたからとは言え、美し過ぎる。

 艶やかな少し緑を帯びた白髪。

 白磁のような、思わず触りたくなるような肌。

 大きな緑柱玉ベリルの輝く瞳。

 笑うとさらに美しいと思うのだが、俺様は告げた以降は、俺様の髪を撫でたりする程度のスキンシップのみだ。

 あの美しいものに目がない幼馴染みのマールドゥも、来るたびにスキンシップをしては連れて帰りたいと豪語するのだが。俺様の助手であり、減量生活ダイエットの指導者でもあるために連れて行くわけにもいかない。


「……? マスター、溶けてるよ?」

「お、おう!」


 いかんいかん。

 自分で生み出した存在に見惚れててどうする?

 いや、見惚れるくらいの良い出来だと再確認するのはいいのだが。

 思わず、ご褒美のパフェを食べる手を止めてしまうとは。

 いやはや、何というホムンクルスを作ってしまったのか。


「……うん。美味しい。100キロ切ったら、本当の生クリーム使ったのを作ってあげるから」

「なぬ?……いいのか?」

「目標があった方が、マスターも楽しみが増えるでしょう? この半月は少し痩せ過ぎだけど、次の節目にはちょうどいいんじゃないかなって」

「すぐにでも痩せてやる!」

「身体の負担が大きいから、また25キロはせめて半月後に」

「ううむ……」


 やはり、こいつの思考回路はよくわからない。

 辛辣な態度を取るかと思えば、時には俺様を甘やかす部分も出てきたりと。

 自分の命を繋ぎ止めるとは言え、順調に痩せてきた俺様を思うと、もう峠は越えているはずなのに。

 いったい、何をしたいのか。

 それはわからないが、ひとまずアイスが溶けかけているパフェをゆっくりと味わうことにした。
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