満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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9-1.幼馴染みの変貌(チェスト視点)

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 ★・☆・★(チェスト視点)







 さーて、我が幼馴染みで俺様錬金術師であるクロことクローム=アルケイディスだけども~。

 ここ数ヶ月……いや、約半年で、見るたびに見違えていくのだった。

 約一年前に、誰?君誰?ってくらいに、見るも無様な巨漢に変貌してしまっていたけども。

 あの、ハイエルフ型のホムンクルス……セリカちゃんを生み出し、彼女に口出しされたお陰で。

 まだまだ元の綺麗な男前には程遠いが、確実に痩せてきている。

 今日も納品分のポーションを取りにきたけど、部屋で今は仮眠を取っているってセリカちゃんに聞いたからこっそり部屋に行ったら。


「うっわ、本当に痩せてきてる~!」


 なんかここ半月で異常に痩せるように頑張ってるとだけは、マールに聞いてはいたけども。

 あんの、ぶよんぶよんだっただらけた肉とかがごっそりとなくなってきているし。

 まだまだ、元通りとまでは行かないけども、これは凄い。どうして、いきなりこんなにも痩せるように頑張っているんだろ~?

 原因があるとしたら、一度見たきりのあの【恵の豊穣フィーク・シャイン】だと思う。

 だてに、この男の幼馴染みとして二十二年間生きてきたわけじゃない。

 女のマールとは違って、結構いろんな場面でつるんではきたし。

 なんだったら、だらけた女事情についてもよーく知っていた。

 けど、この屋敷を買う資金を得て、街には降りて来なくなったこの一年は、ある意味正解だ。

 だいぶ痩せてはきても、この巨漢になってしまった男が、自称(ある意味正解)天才錬金術師とは誰も思わないからね?

 マールと僕だけしか、変貌し切った幼馴染みを知る人間はいなかったけど。

 気まぐれで生成したホムンクルスのセリカちゃんのお陰で、この男は少し変わった。

 元々プライドの高い男ではあるけど、どう刺激したらこんなにも変貌するのだろうか?


「う~ん。あの魔導具の不具合を知って、それを確認しようにもこの姿だと街に行けないから~?」

「正解だ」

「あれ、起きてた?」

「お前の声がうるさいからだ」


 起き上がった、幼馴染みのクロはよっこいしょって感じにベッドから起き上がった。

 まだ身体が重いだろうから~、ついついおじいちゃんのような感じになっちゃうんだね~? 言ったら殴られるだろうから言わないでおくけども~。


「けど、だいぶ痩せたね~?」

「セリカの指導と、ついこの前召喚した魔導具のお陰だ」

「なに、また異世界から召喚したの~?」

「見るか? と言っても、この間見せたものだが」

「見たい見たい~」


 クロをここまで痩せさせるのに加担? した魔導具がどんなものなのか知りたい!

 召喚室に案内されて僕の目に飛び込んできたのは。

 相変わらず、異世界のモノだからよくわからない黒くて太いベルトのようなものが台座みたいな中央に設置されてる代物だった。


「結局なにこれ~?」

「セリカ曰く、ランニングマシーンと言うものだ」


 実際に動かしてくれるってことで、上部にある台座のようなもので操作してくれて。

 すると、クロが乗ったままの黒くて太いベルトがいきなりひとりでに動き出した!


「動いた!」

「この上を走ることも出来るが、俺様の身体では無理だから一定の時間歩くんだ」


 たしかに、クロが普通に歩いていたら落とされることもない。

 これが、クロを痩せさせる結果になったんだ?

 けど、クロが言うにはそれだけじゃないらしい。


「これだけじゃないの?」

「適度な運動もだが、日光浴とパンなどを抑えた食事……。すべて、セリカに組み込んだ異世界召喚で得たレシピ集の情報だが。彼女のおかげで、この半月で十歳の子供くらい減らした」

「え、身体大丈夫?」

「食事にも慣れてきたし、今日は外で走ってもきたからな。さっきは褒美として甘さを抑えたパフェをくれたのだ!」

「へー。興味あるー」

「また今度にしろ。とりあえず、ポーションだったな?」

「うん。あ、そうそう。多分セリカちゃんが作った方だけど~」

「なんだ?」

「効き目がいいのか、そっちが好評なんだよね~?」

「なん、だと?」


 いや、それは事実。

 たしかに、クロが元々作るポーションは効き目がよくて好評ではあったんだけど。

 このひと月ほどで、セリカちゃんもポーション作りに加わっているせいか。彼女が作ったのを購入した冒険者の一部から、口コミで凄く効くとか騒がれているのだ。

 けど、ホムンクルスが作ったものと言うわけにも行かないので、そのままクロの作ったものだと言うことにしてるが。


「家事もピカイチ、ポーション作りも群を抜く勢いだと~。天才錬金術師の面目丸潰れだよ~ん?」

「く。しかし、それだけ素晴らしいホムンクルスを造ったのは俺様だ!」

「けど、あの美味しくない料理を作ったシャインって魔導具のお陰でしょう~? てか、クロ。あの魔導具の改良しないの~?」

「……お前だけには言うが」

「うん?」

「あれのエーテル培養液が、不完全どころか欠陥品だったのだ」

「うん~?」


 あれだけ澄んだエーテル培養液が不完全だから?

 そんな欠陥品を売ると、法律で死罪に近いくらいに罰せられるのに、なんでまた誰がそんなことを?

 クロを……妬んでいる輩かもしれないね~?


「とりあえず、食材を生成するなどは問題ないが。食事だけはお前やセリカが食べたように不完全なのだ。だから、俺様が直々に街に出向いてもこの身体では俺様ではないと思われるので」

「元に戻るために、やっぱり動き出したってわけか?」

「ああ。マールには言うなよ?」

「いいよ~」


 けど、あの幼馴染みもいずれ気づいちゃうとは思うんだけどね~?

 でも、こっちの幼馴染みの願いを無碍にするわけにもいかないので了承してから納品分のポーションを受け取り。

 前回の売り上げの半分を、クロに渡してから屋敷を後にした。
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