満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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22-3.王太子、計画する(ガイウス視点)

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 ★・☆・★(ガイウス視点)







 あーあ、おっかしい! 

 おかしいけど、すこーしだけ嬉しい。

 この世界に来て、今の父親を入れてごく数人だけしか教えていない、僕ことガイウスの正体を知っただけで。

 チェスト君とやらと、ホムンクルスのセリカちゃんが超絶おっかしいってくらいに口をあんぐりしてるんだもん!

 思わずお腹抱えて笑っちゃうって!


「笑い過ぎだ、ガイウス」

「あっはははははは!! けど、反応わかっててもおかしくなるって!」


 けど、ひとしきり笑わせてくれたまへ、我が朋友ともよ。

 お茶の間のコメディでもそうそう見られない光景を見て、笑いを堪えられないってこれは!

 転生前にもよく見てた、テレビのお笑い劇に匹敵するよ二人の反応は。

 特に、ホムンクルスのセリカちゃんの綺麗な顔があっけらかんになるのがおかしいって!


「で、殿下が転生者……??」

「ふふ。そうだとも、チェスト」


 もう一人驚きまくっていた、クロームの幼馴染みも随分と面白い顔をしていた。

 この前がある意味初対面だったけど、僕と彼の本当の初対面は幼少期の頃だ。まだかえる取りのクエスト前後だったかな?

 せっせとかえる取りをしていたクロームに、お忍びで出かけてた僕は興味本位で声をかけて。

 で、年相応どころか、普通の子供よりも何倍も頭がきれているのに驚きを隠せず。

 何回か会ってから、僕の正体を告げても顔色一つ変えずに接してくれたから、嬉しくて嬉しくて。

 その途中に、幼馴染みの男の子って簡単に紹介を受けたけど、さすがに王子だってクローム以外には言えなかったから。簡単に挨拶を済ませた時に顔を覚えた程度だ。

 それがまさか、素の僕とそう変わりない性格をしているとは思わなかったけど。


「て、転生者……でも、殿下は殿下ですよね? 社交界の華とまで言われていた」

「うーん、まあ。特定の婚約者はまだつけていないけど、社交界は嫌いじゃないよ? 僕ダンス好きだから」

「は、はあ?」

「話を逸らすな、ガイウス」

「はいはいはい」


 んもぉ、身の上の話を少しくらいさせてもいいじゃないか~?

 ほんと、まだ性格矯正はされても粗は残ってる感じだけどね~? それでも随分付き合いやすくはなっているけど。


「僕の異世界での知識と経験。あと、保有技能スキルに鑑定があったから、クロームの持ってる異世界召喚が出来るってわかったんだよ?」

「……あなたが、クロームの技能スキルを見出したんですか?」

「そうだよ、セリカちゃん」


 でなければ、クロームの召喚した中にある異世界レシピを組み込んで、君を錬成出来なかったからね?

 エルフを参考にはしているけど、本当に可愛く綺麗に錬成出来たんだね? 感心感心!

 とは言え。


「……ありがとうございます。あなたがいらっしゃらなければ、私は生まれるどころかクロームと出会うことすら出来ませんでした」


 うんうん。聞いていたより、素直な性格だね?

 と言うか、ギルマスのアークさんから聞いてた辺り、ツンデレだったらしいけど。クロームと付き合うことになって、普通に可愛い女の子になっちゃってるよ。

 けど、僕がクロームを鑑定した技能スキルで得たレシピをベースに組み込んだとは言え、まさか200キロまで太ってたクロームを痩せさせるとは。


「僕はたいしたことしてないよー? それにしても、デブデブだったクロームをここまで痩せさせたのは、君の功績だよ。何したか、また今度教えて?」

「あ、はい」


 今は、ガイウスの弟であるルーイスを完膚なきまで絶望に堕として、幽閉させることへの打ち合わせをしなくっちゃ。

 いくら肉親であっても、不正のエーテル生成液を造ったことは、責任者の立場でも死罪にあたる重罪だ。王太子として、兄として、そこは弟に情けをかけるつもりはない。

 たとえ、僕自身が弟に、ダイエット生活を強制させて、一緒に頑張った立場だとしても。


「さて、エーテル生成液はもうすぐ出来るはずだけど。多分、僕の予測でも半月はかかる。そこでクローム」

「ああ」

「君とセリカちゃんには、アークさんとこの生産ギルドに。いつもチェストとかに頼んでるポーションを、直接納品に来てもらいたい」

「は?」

「ふふ。君も自負してるその美貌と、セリカちゃんを連れて行けば。噂はすぐに広まる。んでもって、エーテル生成液を取りに来たとか言えば、操られている受付嬢や職員も騒ぐだろうし?」

「つまり、先に僕が手塩にかけて育てた職員達の洗脳を解くのに、炙り出してもらおうかと」

「……あ、ああ」


 あーあ、あーあ。

 ルーイスったら、ほんと馬鹿だなあ?

 父上のお友達、であるアークさんをこんな怒らせちゃうんだから。多分見たことないセリカちゃんまで、クロームにすがり付きながらぷるぷるしてるし。


「うん。あと、クロームにはちょっと驚くプレゼントがあるから。ビーツの洗脳解くのは任せた!」

「! 何故、ビーツを?」

「洗脳解いたらわかるから~」

「……どうやって」

「例えば~、急過ぎだけど。セリカちゃんと婚約したとか大っぴらに言うとか~?」

「「!!?」」

「え、殿下。なんでそこまで」


 あっはっは!

 この様子だと、まだクロームはビーツの秘密を知らないんだろうね?

 それもサプライズで、クロームにはバラしたいから今は我慢しよう。

 とりあえず、転生後から久しぶりに食べるアイスボックスクッキーを堪能してから、僕らはクロームの魔導具である【恵の豊穣フィーク・シャイン】を見させてもらうことになった。

 例のエーテル生成液も見ておきたかったからだが。


「へー? 見た目は普通のエーテル培養液となんら変わりないね~?」

「顕微鏡で調べたら、中身はスカスカだったぞ」

「なーるほ?……これ一部持って帰ってもいーい?」

「ああ」


 僕自身錬金術師ではないけど、信頼出来る宮廷錬金術師を一人知っている。

 彼に頼めば、不正のエーテル生成液を造り出したのが一度や二度でないことを証明出来るだろう。

 それと、ルーイスもだけど。

 僕の友達を殺そうとしたんだから、十分過ぎる程のお仕置きをしなくちゃね?

 たとえ、私怨のためであっても。
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