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23-2.歓喜と決意(セリカ視点)
しおりを挟む★・☆・★(セリカ視点)
あのガイウス王子、様が来て色々陰謀についてわかったことは増えたのだけれど。
破天荒な性格のせいか、随分と大胆な発言をする人だなと印象を受けたのだった。
(わ、わわわ、私とマスターが、こここ、婚約!?)
まだ想いを通わせたばかりなのに、もうそんな約束をもししたとしたら。私は……私は幸せで死んでしまいそうだった!
今も、一緒に洗濯物を畳んでるクロームからは、焦りや歓喜の感情などは滲み出てもいない。
だが、何かを深く考えているようだった。
「……クローム」
「ん?」
「ずっと考えているようだけど。聞いて大丈夫?」
「……ああ。そうだな、お前にも聞いてほしい」
なので、畳む作業をてきぱきと終わらせてから、リビングに行ってまだ残ってたクッキーとお茶で、簡易的なお茶会をすることにした。
「……あの王子様、クロームを悩ませることばかり言ってたけど」
「ああいう奴だ。深く心配する必要はない。ただ……」
「ただ……?」
「洗脳されているギルド職員の中でも、何故ビーツだけ俺様が……とな」
「……ビーツさんって、どんな人?」
「そうだな。仕事は出来るが、自信なさげ……と言った感じだ」
「……クロームとは違うね?」
「以前の俺様だったらな?」
「今は……違うの?」
「ああ。お前を造って、お前に恋をしてから……はな?」
「く、クローム!」
そんな素直な感情を受けると、心が焦げてしまいそうだった。
だが、嬉しいことに変わりはないので、うんと頷いて心を見せた。
「……だが。まあ、あれは男にしては自信がなさ過ぎだったが、悪い奴じゃない。俺様の作る錬金術の産物を、いつも快く買い取ってくれていた」
「けど。ディスケットって、悪い人に洗脳されて……心の隙間に悪を植え付けられた?」
「ああ。ディスケットは放っておけば、なんてことのない小物に過ぎなかったが。もうここまで俺様の邪魔だけでなく、周りの迷惑を省みないのであれば」
「容赦はしない?」
「だが、俺様が手をかけるわけにはいかない。ルーイス王子も関わっているのであれば、これは国家の危機でもある」
「んー、そこは仕様がないの?」
「お前は奇跡的にあのエーテル培養液で生まれたとは言え、処分には絶対させない。俺様の妻となるのだろう?」
「く、クローム!?」
「ガイウスに言い聞かされるまでもない。俺にはお前だけだ」
「……ひっく、クロームぅ!」
嬉しくて嬉しくて、向かいの席にいるクロームの元に飛びつく。
いきなりの行動に、クロームを驚きを隠せないでいたが、きちんと受け止めてくれて。
泣いてしまった私の髪を優しく撫でてくれた。
「だが、そうと決まれば……」
「クローム?」
何か決意したかのように、クロームは喉の奥で笑い出した。
「腑抜けた体にしてくれた、悪意だけは払拭せねばならん! セリカ、明日からのトレーニングメニューは俺様が追いつける範囲で強化してくれ!」
「え、なんで?」
「お前好みの、さらに美しくなった俺様を見たくないか?」
「…………!?」
細胞に組み込まれた、以前の美しいクローム。
今もだいぶ元に戻っているとは言え、粗はある。
それをさらに美しく、かつ私好みにしてもいいと許可が出た。
それはつまり!
「もっと引き締めて、かつ腕っ節も強いクロームにしてもいいの!?」
「ああ。出来る限り好みに合わせよう。おそらく、生産ギルドでディスケットの息のかかった職員らが襲いかかって来ないとも限らん。今までの俺様だと、非戦闘向きだからな?」
「うんうん! わかった、頑張る!」
たしかに、刺客を送って殺させるのは簡単だが、ルーイス王子はそうしなかった。昼間、兄のガイウス王子が言うには、錬金術師として無様な死を与えたかったらしい。
だが、私には異世界レシピが錬成の際に組み込まれている。
その中には、料理や減量生活だけでなく。
何故か、戦闘訓練まで組み込まれていた。はじめは不要だと思っていたが、今なら役に立つだろう。
死以上の絶望を、ガイウス王子が弟に与えたいのであれば。
私も愛する人を死なせようとした相手には容赦しない!
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