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26-1.とんでもない人に惚れられた
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いきなりやってきたマールは、顔だけではなく、首までも真っ赤になって俺様に突進してきた。
「もうもうもう! どーすればいいのよぉおおおお!!」
「お、落ち着けマール!? まずは用件を話……いや、俺様から離れろ!?」
「……あ。ごめん、セリカちゃんに嫉妬されるだけですまないもんね?」
マールも、もう俺様とセリカが付き合っているのをギルマスやチェストから聞いているので知っている。
と言うか、前回の来訪でセリカに祝いのハグとやらで盛大に抱きついていたしな?
「とりあえず、中に入れ。話は聞く……が、その手紙」
質感からして、王族とかが扱う上質な便箋。
俺様が見慣れている理由は、ガイウスのせいだ。あれが、俺様に会えない時だけぽんぽんとその貴重な紙を使って手紙を寄越すのだ。
今は王太子ゆえに、だいぶ数は減ったが、まさかなとは思わずにはいられない。
「う、うん。王太子殿下からのお手紙……」
「……ガイウスから?」
「うん。って、ほんとに殿下と仲良いんだね?」
「あれから口止めするように言われてたがな?」
「ちょっと、その殿下からとんでもない手紙が届いたんだけどぉおおおお!?」
「わかったから! とりあえず中に入れ!?」
騒いでいても意味がないので、とにかく屋敷の中に入れてからその手紙を見せてもらったのだが。
「……へ?」
「マールを、婚約者候補にしたい……だと!?」
貴族でもない、平民を妃にした前例はなくもないが。
ある意味結婚適齢期を逃したマールなのに、ガイウスの字で正式に婚約者候補にしたいと丁寧に書いてあった。
ルーイス王子を捕縛するこの時期になんでまた……いや、だからか?
けど、何故マールなんだ?
「う、うん。今朝うちに王太子殿下からの使者様がいらして……これを渡されたの」
「……いいことなんじゃ?」
「前例がないわけでもないけど。平民が婚約者候補になれだなんて、身分差も甚だしいんだよセリカちゃん! たしかに綺麗であたしの好みではあるよ? あるけど……やっぱ無理ぃいいいい!!」
と言うことは、身分差が解消出来れば問題はないと言うことか?
いや、美しいものや愛らしいものに目がないマールと、実は転生者であり自由奔放なガイウスとの組み合わせ。
俺様は、アリだとは思った。
別に昔、こいつの告白を断ったへの謝罪などではない。
「……あいつの本性を知れば、お前とは意気投合すると思うが?」
「……そう?」
「セリカも見たよな?」
「うん。……ちょっとチェストさんに似てはいたけど」
「え。華の王太子殿下って呼ばれている方が?」
「その異名を覆すくらい、自由奔放な奴だ」
「……想像出来ない」
たしかに、仮面を被ったガイウスは女から見れば高嶺の花扱いされる存在ではあるが。仮面を剥がせば、ただの人間と差異ない。
父君であられる陛下も、王の仮面を剥がせば普通の人間となんら変わりないとも言っていたし……と言うことは、陛下にも許可を得たのか?
将来の王妃として、マールを迎え入れると?
たしかに、見目は悪くないし仕事も出来るが。王妃……と言う枷をつけてしまうと……どうなってしまうだろうか。
あれのことだから、マールを好いていない以外に、利点があるとは思えないが。
「それか、素のままのあいつに会ってからでも遅くないと思うが?」
「どうやって!?」
「こうやって?」
「「え!?」」
特になにも連絡していないのに、当然とばかりにこの間のように登場したのはガイウスだった。
この程度では、特に驚きはしないので横に立った奴に軽く指で小突いた。
「なーにすんのさ?」
「悪趣味め。どうせ、使者にもなりすましてから透明化の魔法でついて来たのだろう?」
「さっすが、クロームぅ。お見通しだねぇ?」
「で……殿下?」
驚いているセリカとマールに、ガイウスは髪を軽く梳いてからマールの方に歩いて、なんのためらいもなく膝をついた。
「マールドゥ=エファンド。あなたに将来の王妃になっていただきたい」
「は……はひ!?」
「無理強いはしない……と言いたいところだが、僕はせっかちでね? 一刻も早く君を父上に紹介したいんだ」
「え、え!?」
どこに惚れる要素があったのやら。
まあ、その前にマールが使い物にならないくらい、顔どころか体中真っ赤になって倒れてしまい。
仕方なく、客室のベッドまでなんとガイウスが運んで行き。
俺様とセリカもついて行って、ガイウスがマールに惚れた理由などを聞くことになったのだった。
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