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28-4.決意は固い(ミリアム視点)
しおりを挟む★・☆・★(ミリアム視点)
何故……ですの?
何故ですの!?
何故、チェスト様の御心を射止めることが出来ませんの!?
わたくしの美貌があってしてでも!
(でも、そこもまた素敵ですわ~~……!)
あの垂れ目がキリッとする様とか特に!
わたくしのためを思いまして、進言なさる表情が凛々しいですわ!
けれど、正装したわたくしの装いを見ても、まるで見向きもなさらない辺り……。わたくしの目に狂いはありませんでしたわ!
社交界で群がってくる紳士達よりも、断然素晴らしいですわ!
ですが、お話が終わった今では、ガイウスお兄様のお部屋でしょんぼりとするしか出来ませんでしたわ。
「無茶振りし過ぎだよ、ミア?」
「……ですが」
ルーイスお兄様の噂を上塗りすべく、わざと城内の噂をわたくしがチェスト様を想っていることで上書きさせたのですが。
実際、こんなにもうまくいかないと思いませんでしたわ!
「王家だからって、なんでも思い通りにいくわけがない。今回のことで、それはよくわかったでしょう?」
「ですが……ですが、お兄様! わたくしは庶民に降る覚悟は出来ていますわ!」
「こことはだいぶ違うと理解出来ても。国民に成り下がる王女だなんて、ほぼ前例がないんだよ? 逆はまあまああるけど。話し合いでも言ったでしょ?」
「そ、そう……ですが」
ですが、一時の気の迷いではありませんわ!
わたくしはあの時、誠にチェスト様に心を奪われてしまいましたわ!
ですから、あの御方以外に降嫁する気はございません!
そうきっちり言いますと、お兄様は大袈裟なくらいため息を吐きましたわ。
「決意は固い……と言うことか」
「当たり前ですわ!」
「けどさあ? チェストは迎え入れるのも、仮に貴族になるのも断ったじゃないか? どうやって、彼を納得させられるの?」
「う……!」
たしかに。
わたくしもですが、チェスト様の御心も固かったですわ。わたくしの心を疑うわけではないけれど、王女が庶民に降嫁するのは、わたくしを傷つける結果になってしまう。よく考えて欲しいとおっしゃいましたもの。
ですが、チェスト様の御本心はいかがなのでしょうか。
わたくしのことを、なんとも思っていらっしゃらないのでしょうか?
(……チェスト様ぁ……!)
王家の魅力を見向きもしない鋼の御心。
やはり……やはり、諦めきれませんわ!
わたくしの心はチェスト様のものです!
「……ミア。再戦させる気じゃないだろうね?」
「あら、お兄様。お分かりに?」
「仮にも君の兄だから、わかるよ……」
そうと決まれば! と意気込みましたら、ノックの音が聞こえてきましたのでお兄様が対応されましたわ。
「は? アークさん?」
どうやら、陛下……お父様と古いご友人でいらっしゃる生産ギルドのマスターからの電報らしいですわ。
まさか、わたくしのことを……? と思いかけていましたら、内容を読まれたお兄様がわたくしにそれを差し出された。
「……読みなさい」
「は、はい」
受け取ったその瞬間。
わたくしの勝利への一歩が見えた気がしましたわ!
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