36 / 131
第36話 ファーム内での激変(①と②があります)
しおりを挟む
①
クルスは、新たな任務が連絡版に刻まれていたのはいつも通りだったものの。
「移動するだけ?? 歩いて鍛えろってことなん??」
敷地内を適度に巡回し、修理必要な箇所の連絡メモと収穫が必要な作物を倉庫へと。内容だけをみれば、することが多いが『移動』がメインなことには変わりなかった。
宝物を植え込み、住居として住まわせてもらっているクルスとしてはそれは従う任務なので当然のことでも。何故か、今までよりも簡略化し過ぎてピンと来ない気がした。
毎日のように炊き出しをする必要はあるだろうが、自分やこの前会ったリーナは『管理者』から監視されている身なのだ。自発的に動いていい範囲は限られているし、完全に悪人でないのはわかっているからとりあえず従おう。
と思って、順序立てて任務に挑んだのだが。
「は? 金?? いや、幻影……がザクザクしてて吸い込まれた??」
クルスが収穫途中の移動の中で、光る箇所をなんとなしに抜いて見ればじゅわっと金貨があふれ出してきたのだ。しかも、一箇所じゃなく、数ヶ所同時と言うくらいに。それが素手で触れずに、家の方に飛んでいくのを見ていると……幻影は家を包み込んで、少し家自体が膨らんだように見えた気がした。
「……えぇえ?」
急いで家に行ってみれば、少し埃っぽかった板が整えられた木材と同等に。
中を開ければ、暖炉が奥の方に設置されているのかさらに温かい空気が流れてきて心地よい。このままベッドに入れば……と思ったが、家でこれならと外の風呂場へ行けば設備が少し整えられていたのだった。
「……少しでこれって。塀の外もあの光で変わっているんなら」
リーナの所有地がそこまで離れていないなら、自ずと近くなってしまうのでは? まだ一度しか会って話してもいないのに……あの快活な笑みを思い出すと頬が緩む気がする。
連絡をしたいが、管理者の都合もあるので勝手に門から出れるかわからない。ひとまず、まだ光っている箇所を探ってこの環境をよくしようと決めた。
②
魔法の種に近い宝物を埋めたから、『成長』はさらにするだろうとリーナも管理者の指示通り動いてみたのだが。
「やー……これ、貴族さんの別荘くらい整いそうじゃない??」
巫女姫だった頃、たまにだが貴族の茶会に誘われることもあったので、そのような場所に赴くことはあった。だがまさか、自分自身がそのような場所へ住むとは予想外過ぎる。
クルスのところはおそらく、マスターの『藍葉』の指示もあってこの程度の激変は普通に起きているだろう。クルス自身が順応しているか心配になったが、光が落ち着いて建物の安定もなければ、隣人の敷地であれ外へは出ていけない。
心配ではあるが、見守る存在が他にきちんといるから任せるしかないだろう。
ひとまずは、金ではない『ポイント』の噴射が落ち着くまで比較的安全なお風呂にでも入ってのんびり過ごそうと決めたのだった。
クルスは、新たな任務が連絡版に刻まれていたのはいつも通りだったものの。
「移動するだけ?? 歩いて鍛えろってことなん??」
敷地内を適度に巡回し、修理必要な箇所の連絡メモと収穫が必要な作物を倉庫へと。内容だけをみれば、することが多いが『移動』がメインなことには変わりなかった。
宝物を植え込み、住居として住まわせてもらっているクルスとしてはそれは従う任務なので当然のことでも。何故か、今までよりも簡略化し過ぎてピンと来ない気がした。
毎日のように炊き出しをする必要はあるだろうが、自分やこの前会ったリーナは『管理者』から監視されている身なのだ。自発的に動いていい範囲は限られているし、完全に悪人でないのはわかっているからとりあえず従おう。
と思って、順序立てて任務に挑んだのだが。
「は? 金?? いや、幻影……がザクザクしてて吸い込まれた??」
クルスが収穫途中の移動の中で、光る箇所をなんとなしに抜いて見ればじゅわっと金貨があふれ出してきたのだ。しかも、一箇所じゃなく、数ヶ所同時と言うくらいに。それが素手で触れずに、家の方に飛んでいくのを見ていると……幻影は家を包み込んで、少し家自体が膨らんだように見えた気がした。
「……えぇえ?」
急いで家に行ってみれば、少し埃っぽかった板が整えられた木材と同等に。
中を開ければ、暖炉が奥の方に設置されているのかさらに温かい空気が流れてきて心地よい。このままベッドに入れば……と思ったが、家でこれならと外の風呂場へ行けば設備が少し整えられていたのだった。
「……少しでこれって。塀の外もあの光で変わっているんなら」
リーナの所有地がそこまで離れていないなら、自ずと近くなってしまうのでは? まだ一度しか会って話してもいないのに……あの快活な笑みを思い出すと頬が緩む気がする。
連絡をしたいが、管理者の都合もあるので勝手に門から出れるかわからない。ひとまず、まだ光っている箇所を探ってこの環境をよくしようと決めた。
②
魔法の種に近い宝物を埋めたから、『成長』はさらにするだろうとリーナも管理者の指示通り動いてみたのだが。
「やー……これ、貴族さんの別荘くらい整いそうじゃない??」
巫女姫だった頃、たまにだが貴族の茶会に誘われることもあったので、そのような場所に赴くことはあった。だがまさか、自分自身がそのような場所へ住むとは予想外過ぎる。
クルスのところはおそらく、マスターの『藍葉』の指示もあってこの程度の激変は普通に起きているだろう。クルス自身が順応しているか心配になったが、光が落ち着いて建物の安定もなければ、隣人の敷地であれ外へは出ていけない。
心配ではあるが、見守る存在が他にきちんといるから任せるしかないだろう。
ひとまずは、金ではない『ポイント』の噴射が落ち着くまで比較的安全なお風呂にでも入ってのんびり過ごそうと決めたのだった。
21
あなたにおすすめの小説
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので
eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」
勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。
しかし、勇者たちは気づいていなかった。
彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。
アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。
一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。
そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……?
一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。
「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」
これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
追放された地味探索者、実は隠された伝説級スキルの持ち主でした~気付いたら無自覚に最強ハーレムを築いていた件~
fuwamofu
ファンタジー
地味で目立たない探索者アレンは、仲間に「足手まとい」と罵られパーティを追放された。だが実は彼のスキル【探索眼】は、古代英雄の力を見抜く唯一の能力だった!
鉱山の奥で偶然出会った少女を救ったことから、運命が動き出す。
魔王軍、古代遺跡、神々の争い——すべての鍵を握るのは「ただの探索者」だった男。彼は気付かぬうちに、世界を救い、そして多くの少女たちの心をつかんでいく。
地味だけど最強、無自覚だけどモテまくり。これは世界を変えた謙虚な英雄の物語である。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる