ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第60話 少し療養生活をするのに

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 大学の単位はそこまで心配することもなかったので、少し出欠に問題が出ると連絡しても『お大事に』と職員には言われたのでほっと出来た。

 もともと障がい枠ではあったものの、単位については健常者の学生と大きく差があるとかそういうものでない。しかし、中退する気はまったくないので事前に申告出来ることはしておく。成樹にも似たことを言われたので、実行したまでだ。

 そう、その成樹と藍葉だが。

 藍葉が退院してからも、きちんと『告白』をされて交際をスタートしたのだ。具体的には、退院のときの送迎で、成樹からぺろっとした感じに告白されたのだが。


「からかったつもりはないき」
「へ?」


 きちんと検査を受け、退院日が決まれば迎えに来たのは美晴ではなく成樹だった。それぞれに連絡をしたのだが、どうしても、と希望を出した成樹が車を飛ばしてきた。

 服装はラフだが、出社してきた帰りなのかシャツとズボンはスーツのそれだった。

 それはいいとして、何をからかったつもりがすぐわからなかったが。すぐに、介抱や『恋人ごっこ』とかのことについてと合点がいった。


(……ほんとに、彼女……でいいのかな?)


 不自由が色々ある体なのに、それでも構わないと言ったのは成樹だ。今、それに近い言葉で返してくれたのだから、間違ってはいないと思う。

 運転している顔を見れば、グラサンの下にある瞳はひどく優しい眼差しを向けてくれていた。


「歳の差とか、トラウマ植え付けたとかあったけど。……俺の基本は、お前さんしかないよ」
「……嘘ぉ」
「嘘なんてついてどーする? 好きな女の気を引きたかっただけの、気弱な男じゃ」
「……そー、デスか?」
「そーなんです」


 空気が甘くなるというのは、こういう雰囲気のことをいうのか。

 言葉選びが難しく、ひどく甘いと体がしびれていくようだ。いやではないが、今まで本気になった相手が成樹だけだった分……恋人になった今が信じられないのもあった。彼氏もだが、まともな恋愛をするのがなにもかも初めてなのもあるせい。


「えっ……と。よろしくお願いします?」
「疑問形なんて可愛いな? ええよ。存分に甘やかしたる」
「……じゃあ、モニターに選んだのって。こうなるため?」
「それは、ほかにも理由ある。けんど、説明はもうちょい時間かかるんじゃ。待っとってくれるか?」
「……うん」


 会社の守秘義務くらいはなんとなくわかるので、インターンの下っ端が聞いてもよくないことくらい理解している。とはいえ、全部を秘密にするわけではないようなので、そこは大人しく待つことにした。


「とりあえず、退院祝いになにか食いたいもんあるか?」
「……シゲくん。料理って、出来る?」
「うん? まあ、カレーかハヤシくらいじゃけど」
「それ食べたい」
「……今から?」
「ハヤシなら玉ねぎ刻む以外炒めて煮るだけだし。あ、卵は温泉卵でもいいな~」
「待て。それなら、ピザ用チーズでとろけたもんもええじゃろ」
「わかってる! それ食べたい!!」
「よっしゃ。藍葉に見てもらいながらなら……まあ、マシなもん作れそうな気する」
「それと、ポイ活も再開させたいな~」
「……仕事熱心なことで」
「大学に復学するまでだよ」


 暇な時間を、将来の就職先へ使ってもいいのなら本望。とりあえず、スーパーへふたりで買い出しに出るときには……成樹がカートを持って、藍葉は先導するようにゆっくり杖をついて食材を選ぶことにした。

 何でもない有意義な時間がこれから出来ると思うと、藍葉は退院し立てなのについはしゃぎそうになったが……あの、夢かどうかの異世界ファームのことはまだ成樹には話せていなっかった。成樹もだが、美晴にも加わってきちんと話したいと思ったからだ。それは、もう少し時間をかけた方がいいだろうと、今は黙っておくことにした。
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