80 / 85
第80話 果樹園の品種改良
しおりを挟む
連絡版については、敷地が合併してもそれぞれの管理者に指示が出されるのは相変わらず同じのままだったが。
リーナが言うには、『メモ書き』というのをすればこちらから質問もできるそうだ。今更ながらのスキルかなにかのそれに、クルスは『嘘やろ……』とつぶやくしか出来ない。
「なんも、言われんかったで?」
「うーん。まあ、あたしも落書き程度に書いたら返事できただけだもん」
「ほんなら、なんて?」
「えーっと、『了解』とか『変更しとく』とかかな?」
「……せやったら」
ゴーレムのサナも入れて、三人で分担しなくてはいけなくなった今後のことを考えてみると。
炊き出し用の分担はそれぞれあるとして、『畑』『果樹園』『ゴミ』の方については特に決めていない。気が付いたら、というやり方だと連携が取れていないので、効率が悪いのだ。であれば、クルスの『連絡版』で、ペンを使ってカリカリと書いてみると……。
【Exactly.了解。国民たちへの新たな任務は追って記す。
クルス…畑管理
リーナ…炊き出し以外のまかない担当
サナ…果樹園管理
以上でいいのなら
YES or NO ?
】
「「「……」」」
管理者が少しユニークな回答をしてきたのには、三人とも黙ってしまうのも仕方がないというべきか。もしくは、クルス担当の『女性管理者』だからこその返答の仕方なのか。
今は三人とも共通の敷地にしていても、家が別々だからもともとの担当のままなのかもしれない。とにかく、質問をすれば応えてくれることはわかったので話し合いを始めることにした。
「俺は大丈夫やけど。リーナたちは?」
「あたしもいいよ~」
『問題ナシです。収穫の方はいつでも対応シマス』
「せやったら……」
返事を『YES』と書いておくと連絡版全体が光り、文字があとかたもなく消えてしまった。承認されたということなのだろうか。
「向こうもなにか考えているかもだし? あたしたちも動く?」
「……そんなもんなんか」
「神様だとしても考えない? 一応」
「……神、さまか」
王様よりも上というユニークさが面白くもあるが、たしかに管理者たちも考える時間が欲しいのかもしれない。なら、と、三人はそれぞれ分担された仕事をこなすことにした。炊き出しについては全員なので、つくりたい弁当のメニューを決めてから仕事に取り掛かる。
ちなみに、まかないとやらについてはリーナが炊き出しでも変わりばんこに出したいメニューから適宜選んでくれるようなので、それはとてもありがたかった。今回は『ワフーハンバーグ』というモノらしい。
『ショーユの種。たくさん必要デスか?』
「お願い、さっちゃん」
『リョーカイ』
種族が違えど、女同士という感じから二人は気兼ねない付き合いをしているようだ。クルスの方が少しばかり先なのに、虚しいような寂しい気持ちになるのは『返事』をしていないのに、勝手に思うなと自己嫌悪に陥ってしまう。
しかし、告げようにもサナがなかなかリーナとふたりきりにしてもらえなかったこともあったが。ちょうど今、先に彼女が玄関から出て行ったので、思い切って『あのな!!』とリーナを呼び止めてしまう。
びっくりして振り返ってくれたリーナには、笑顔よりも『怖い』という表情が出ていて……それを安心させてやりたくなり、逃げようと動く前に手を掴んで懐に引き寄せた。数日でも、あの中途半端な時間のやり直しをすべく、きちんと言葉にもしたいが。
受け止めたい気持ちが逸り、思わず抱きしめてしまった。
リーナが言うには、『メモ書き』というのをすればこちらから質問もできるそうだ。今更ながらのスキルかなにかのそれに、クルスは『嘘やろ……』とつぶやくしか出来ない。
「なんも、言われんかったで?」
「うーん。まあ、あたしも落書き程度に書いたら返事できただけだもん」
「ほんなら、なんて?」
「えーっと、『了解』とか『変更しとく』とかかな?」
「……せやったら」
ゴーレムのサナも入れて、三人で分担しなくてはいけなくなった今後のことを考えてみると。
炊き出し用の分担はそれぞれあるとして、『畑』『果樹園』『ゴミ』の方については特に決めていない。気が付いたら、というやり方だと連携が取れていないので、効率が悪いのだ。であれば、クルスの『連絡版』で、ペンを使ってカリカリと書いてみると……。
【Exactly.了解。国民たちへの新たな任務は追って記す。
クルス…畑管理
リーナ…炊き出し以外のまかない担当
サナ…果樹園管理
以上でいいのなら
YES or NO ?
】
「「「……」」」
管理者が少しユニークな回答をしてきたのには、三人とも黙ってしまうのも仕方がないというべきか。もしくは、クルス担当の『女性管理者』だからこその返答の仕方なのか。
今は三人とも共通の敷地にしていても、家が別々だからもともとの担当のままなのかもしれない。とにかく、質問をすれば応えてくれることはわかったので話し合いを始めることにした。
「俺は大丈夫やけど。リーナたちは?」
「あたしもいいよ~」
『問題ナシです。収穫の方はいつでも対応シマス』
「せやったら……」
返事を『YES』と書いておくと連絡版全体が光り、文字があとかたもなく消えてしまった。承認されたということなのだろうか。
「向こうもなにか考えているかもだし? あたしたちも動く?」
「……そんなもんなんか」
「神様だとしても考えない? 一応」
「……神、さまか」
王様よりも上というユニークさが面白くもあるが、たしかに管理者たちも考える時間が欲しいのかもしれない。なら、と、三人はそれぞれ分担された仕事をこなすことにした。炊き出しについては全員なので、つくりたい弁当のメニューを決めてから仕事に取り掛かる。
ちなみに、まかないとやらについてはリーナが炊き出しでも変わりばんこに出したいメニューから適宜選んでくれるようなので、それはとてもありがたかった。今回は『ワフーハンバーグ』というモノらしい。
『ショーユの種。たくさん必要デスか?』
「お願い、さっちゃん」
『リョーカイ』
種族が違えど、女同士という感じから二人は気兼ねない付き合いをしているようだ。クルスの方が少しばかり先なのに、虚しいような寂しい気持ちになるのは『返事』をしていないのに、勝手に思うなと自己嫌悪に陥ってしまう。
しかし、告げようにもサナがなかなかリーナとふたりきりにしてもらえなかったこともあったが。ちょうど今、先に彼女が玄関から出て行ったので、思い切って『あのな!!』とリーナを呼び止めてしまう。
びっくりして振り返ってくれたリーナには、笑顔よりも『怖い』という表情が出ていて……それを安心させてやりたくなり、逃げようと動く前に手を掴んで懐に引き寄せた。数日でも、あの中途半端な時間のやり直しをすべく、きちんと言葉にもしたいが。
受け止めたい気持ちが逸り、思わず抱きしめてしまった。
1
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います
あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。
化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。
所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。
親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。
そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。
実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。
おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。
そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる