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第79話 はじめての受診
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「……これは、痛い?」
「違和感があるくらいです」
「次は……こっちにひねるね」
「あ、いたっ」
「……ここの筋には影響ありそうね」
今日は執刀医らしい医師との初めての診察だった。入院するかはともかくとして、人工骨をまずどのタイプで『作る』かを決めるところから始めなくてはいけなかったからだ。
ここ最近では3Dプリンターでのそれもあるらしいが、まだまだ金属製のそれも需要が大きい。また、藍葉のはじめての手術にはどちらが適するかも慎重にしなくてはいけないのだ。
どちらにしても人工的に作るので『消耗品』に近い。数年単位で入れ替える機会がある可能性もあるからと……今日は美晴が付き添いで診察しに来たのだった。
(リハビリセンター以来だな。こんな丁寧に診察受けるの)
もちろん、最近でもちょくちょく出向くようにはしているが、杖の使わない歩行訓練は数ヶ月程度じゃ簡単にはモノにできない。
医師の白戸はいくつか足の方向を確かめてみたが、藍葉が痛くないように気をつけてから先に撮影しておいたレントゲンの結果を見せてくれた。
「こことここ。小鳥遊さんの筋に微妙に被さるように関節がズレているようね。形はたしかに歪んでいるから、そこは人工骨に差し替えた方が得策か……それはこれから順序立てて決めていきましょうか?」
「……骨が使えるんですか?」
「可能であれば、ね? 一度開いてみなきゃわからないけど……小鳥遊さんへの負担も大きくなるから、出来るだけやりたくないわね」
「先生、それだと妹の入院予定は?」
「年内に考えていたけど、年末年始はご家族と過ごす方がいいでしょう? 緊急性がない感じなら、慌てずにゆっくり向き合うことも大事。ただし、頻繁に診察には来て欲しいけど」
「……分かりました」
不謹慎だが、クリスマスには成樹と過ごせるかもしれないと喜びがあふれ出てしまいそうだ。出来るだけ表面に出さないよう注意しつつ、その後も続いた触診にはきちんと答えていく。
筋と関節のズレが先天性で生じたというよりは、母親の胎内の中で柔らかく歪んだ可能性が高い診断が出た。
「次の受診でまたレントゲンは撮らせて? もう少し色んな角度で骨の形を見ていこうか。一生付いていける足にしたいなら、リハビリだけじゃ難しいもの」
「お願いします」
たしかに、今までのかかりつけ医とは別格だ。成樹だけでなく、美晴も数年単位をかけて探し出してくれた逸材。女性なのはともかく、医師としての慎重さと提案には素人の藍葉では敵うはずもない。
成樹の横で、杖無しで腕を組んで歩きことが出来るのならば……これまでのコンプレックスを取り除くことも可能となるなら、喜んで頷く。
診察はそんなところで終わり、会計を美晴に任せている間……藍葉はせっかくなら、と、提案したいことを思い浮かべていた。
「なんやご機嫌さんやな?」
「うん。……今年さ? 難しくなきゃ、昔みたいに皆でクリスマスパーティーしない? お母さんとまた料理したいんだー」
「パートも仕事次第やろうけど。ええん? 成樹と二人だと初めてやのに」
「いいの。シゲくんとはこれから何年先も予約済みだし」
「言うようになったなあ?」
「お兄ちゃんもがんばれ」
「……おん」
寂しさでほとんど引きこもりがちだったこの何年かを思えば。
最初くらいは、楽しくスタートするくらい成樹もいいと言ってくれるはずだと信じてる。実際、服薬はしっかりしているかの心配以外には問題ないと頷いてくれたので……メッセで久しぶりに母へ連絡することにした。
「違和感があるくらいです」
「次は……こっちにひねるね」
「あ、いたっ」
「……ここの筋には影響ありそうね」
今日は執刀医らしい医師との初めての診察だった。入院するかはともかくとして、人工骨をまずどのタイプで『作る』かを決めるところから始めなくてはいけなかったからだ。
ここ最近では3Dプリンターでのそれもあるらしいが、まだまだ金属製のそれも需要が大きい。また、藍葉のはじめての手術にはどちらが適するかも慎重にしなくてはいけないのだ。
どちらにしても人工的に作るので『消耗品』に近い。数年単位で入れ替える機会がある可能性もあるからと……今日は美晴が付き添いで診察しに来たのだった。
(リハビリセンター以来だな。こんな丁寧に診察受けるの)
もちろん、最近でもちょくちょく出向くようにはしているが、杖の使わない歩行訓練は数ヶ月程度じゃ簡単にはモノにできない。
医師の白戸はいくつか足の方向を確かめてみたが、藍葉が痛くないように気をつけてから先に撮影しておいたレントゲンの結果を見せてくれた。
「こことここ。小鳥遊さんの筋に微妙に被さるように関節がズレているようね。形はたしかに歪んでいるから、そこは人工骨に差し替えた方が得策か……それはこれから順序立てて決めていきましょうか?」
「……骨が使えるんですか?」
「可能であれば、ね? 一度開いてみなきゃわからないけど……小鳥遊さんへの負担も大きくなるから、出来るだけやりたくないわね」
「先生、それだと妹の入院予定は?」
「年内に考えていたけど、年末年始はご家族と過ごす方がいいでしょう? 緊急性がない感じなら、慌てずにゆっくり向き合うことも大事。ただし、頻繁に診察には来て欲しいけど」
「……分かりました」
不謹慎だが、クリスマスには成樹と過ごせるかもしれないと喜びがあふれ出てしまいそうだ。出来るだけ表面に出さないよう注意しつつ、その後も続いた触診にはきちんと答えていく。
筋と関節のズレが先天性で生じたというよりは、母親の胎内の中で柔らかく歪んだ可能性が高い診断が出た。
「次の受診でまたレントゲンは撮らせて? もう少し色んな角度で骨の形を見ていこうか。一生付いていける足にしたいなら、リハビリだけじゃ難しいもの」
「お願いします」
たしかに、今までのかかりつけ医とは別格だ。成樹だけでなく、美晴も数年単位をかけて探し出してくれた逸材。女性なのはともかく、医師としての慎重さと提案には素人の藍葉では敵うはずもない。
成樹の横で、杖無しで腕を組んで歩きことが出来るのならば……これまでのコンプレックスを取り除くことも可能となるなら、喜んで頷く。
診察はそんなところで終わり、会計を美晴に任せている間……藍葉はせっかくなら、と、提案したいことを思い浮かべていた。
「なんやご機嫌さんやな?」
「うん。……今年さ? 難しくなきゃ、昔みたいに皆でクリスマスパーティーしない? お母さんとまた料理したいんだー」
「パートも仕事次第やろうけど。ええん? 成樹と二人だと初めてやのに」
「いいの。シゲくんとはこれから何年先も予約済みだし」
「言うようになったなあ?」
「お兄ちゃんもがんばれ」
「……おん」
寂しさでほとんど引きこもりがちだったこの何年かを思えば。
最初くらいは、楽しくスタートするくらい成樹もいいと言ってくれるはずだと信じてる。実際、服薬はしっかりしているかの心配以外には問題ないと頷いてくれたので……メッセで久しぶりに母へ連絡することにした。
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