86 / 131
第86話 魔物大量発生?
しおりを挟む
ヒューゴは討伐依頼を受けた魔物の生息地らしきところから、少し離れた場所でじっと待機していた。
魔猪なら、今まで何頭も討伐したことはあるが。氷雪の大災害になってから、そいつらが出現したという情報はなかった。逆に、冬眠から無理やりに目覚めさせられたとかいう、魔熊の進化系らしき目撃情報があったのだ。
討伐にはヒューゴ以外にも何名か、腕前を買われた冒険者がそれぞれ引き受けたらしい。情報を集めてきたレンジャーの奴が言うには、飢えを露わに木の皮なんてすべて食べ尽くしたと言わんばかりの暴れっぷりらしい。
(雑食だが、臭いさえ気にしなきゃ……俺らとか食い扶持にもなる)
クルスやリーナたちの炊き出しの方が格別なのはわかっているが、数に限りがある以外に『量』が少ない。もともと体力自慢の冒険者には少なすぎるのだ。今回の討伐での取り分は、ギルマスのルドガーらとも話し合っているので、多少多く狩っても問題ない。
というか、駆逐する勢いで討伐しないと、繁殖率が増えるスタンピードになっているかもしれないとの情報も加味されていた。であれば、のんびり野営している場合ではないのが残念だ。
「っと。……いたな?」
少しずつ移動をしていた向こう側に、魔熊の姿があった。雪に溶けこみそうな白い体毛に魔の象徴でもある鋭い角がいくつか。雑食だが共食いは滅多にしない。しかし、ほかの魔物を喰らうことはあるのだという大喰らいだ。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……子どももいるから、もっと居そうだ」
大抵は春の雪解けの時期まで、山奥で冬眠しているはず。しかし、国の崩落はその山奥にも影響があったのか……活発的に動き、腹ごしらえに木の皮を食いつきしても足らないと人里近くまで降りてきたとみた。
だが、食われるために行動を起こしたわけでもない。こちらとて、お前たちを狩るために来たのは同じだ。
(……なかなかの巨体だが、俺くらいなら)
直接討ちに行くのではなく、遠距離からまず様子見を始める。背負っていた弓で矢を構えて打つ。当てるのは角周辺なので、毛皮とかではない。その弾き具合と、敵が周辺にいるぞという
威嚇程度のつもりだ。
魔熊自体は急変した状況についていけないのか、吠えたあとに周りを警戒し出したのか動かなくなる個体以外は細い木を殴り倒すなど様々。統率が取れていない様子から見ると、寄せ集めの群衆のようだ。
「いっちょ、狩りますか!!」
矢をいくつか放ち、間に投擲用の短い槍も同じようにして放つ。火の矢を放つなどご法度。発火源になり得る木が多い茂っている中で、山火事をしたら元も子もない。
ぐしゃ、べしゃと嫌な音が聞こえるが、魔熊らを駆逐出来ている証拠なのでどんどん矢を放っていけば……あらかた、吠えが聞こえなくなると雪の上に黒い血とともに熊らが倒れている光景に変わった。
「……ほかも、動いているな」
魔法を使う者もいれば、ヒューゴのように武器で嬲り倒す連中も動きを見せていた。強い音程度しかこちらには届かないが、まあまあ似た感じだろう。解体をさっさとしないと、持ち帰るまでに時間がかかってしまうので背負っていた荷物を一旦下ろす。
道具入れのバッグにはこれでもかと解体の相棒たちが揃っている。久しぶりに腕を振るうので、慎重にいかねばならない。おまけに、極寒での解体なんて相当前にしたっきりだ。肉を腐らせない意味ではいいのだが、手元が狂う可能性はある。生活用の魔法で手を軽く温めてから、まずは大ぶりのナイフを手に取るのだった。
魔猪なら、今まで何頭も討伐したことはあるが。氷雪の大災害になってから、そいつらが出現したという情報はなかった。逆に、冬眠から無理やりに目覚めさせられたとかいう、魔熊の進化系らしき目撃情報があったのだ。
討伐にはヒューゴ以外にも何名か、腕前を買われた冒険者がそれぞれ引き受けたらしい。情報を集めてきたレンジャーの奴が言うには、飢えを露わに木の皮なんてすべて食べ尽くしたと言わんばかりの暴れっぷりらしい。
(雑食だが、臭いさえ気にしなきゃ……俺らとか食い扶持にもなる)
クルスやリーナたちの炊き出しの方が格別なのはわかっているが、数に限りがある以外に『量』が少ない。もともと体力自慢の冒険者には少なすぎるのだ。今回の討伐での取り分は、ギルマスのルドガーらとも話し合っているので、多少多く狩っても問題ない。
というか、駆逐する勢いで討伐しないと、繁殖率が増えるスタンピードになっているかもしれないとの情報も加味されていた。であれば、のんびり野営している場合ではないのが残念だ。
「っと。……いたな?」
少しずつ移動をしていた向こう側に、魔熊の姿があった。雪に溶けこみそうな白い体毛に魔の象徴でもある鋭い角がいくつか。雑食だが共食いは滅多にしない。しかし、ほかの魔物を喰らうことはあるのだという大喰らいだ。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……子どももいるから、もっと居そうだ」
大抵は春の雪解けの時期まで、山奥で冬眠しているはず。しかし、国の崩落はその山奥にも影響があったのか……活発的に動き、腹ごしらえに木の皮を食いつきしても足らないと人里近くまで降りてきたとみた。
だが、食われるために行動を起こしたわけでもない。こちらとて、お前たちを狩るために来たのは同じだ。
(……なかなかの巨体だが、俺くらいなら)
直接討ちに行くのではなく、遠距離からまず様子見を始める。背負っていた弓で矢を構えて打つ。当てるのは角周辺なので、毛皮とかではない。その弾き具合と、敵が周辺にいるぞという
威嚇程度のつもりだ。
魔熊自体は急変した状況についていけないのか、吠えたあとに周りを警戒し出したのか動かなくなる個体以外は細い木を殴り倒すなど様々。統率が取れていない様子から見ると、寄せ集めの群衆のようだ。
「いっちょ、狩りますか!!」
矢をいくつか放ち、間に投擲用の短い槍も同じようにして放つ。火の矢を放つなどご法度。発火源になり得る木が多い茂っている中で、山火事をしたら元も子もない。
ぐしゃ、べしゃと嫌な音が聞こえるが、魔熊らを駆逐出来ている証拠なのでどんどん矢を放っていけば……あらかた、吠えが聞こえなくなると雪の上に黒い血とともに熊らが倒れている光景に変わった。
「……ほかも、動いているな」
魔法を使う者もいれば、ヒューゴのように武器で嬲り倒す連中も動きを見せていた。強い音程度しかこちらには届かないが、まあまあ似た感じだろう。解体をさっさとしないと、持ち帰るまでに時間がかかってしまうので背負っていた荷物を一旦下ろす。
道具入れのバッグにはこれでもかと解体の相棒たちが揃っている。久しぶりに腕を振るうので、慎重にいかねばならない。おまけに、極寒での解体なんて相当前にしたっきりだ。肉を腐らせない意味ではいいのだが、手元が狂う可能性はある。生活用の魔法で手を軽く温めてから、まずは大ぶりのナイフを手に取るのだった。
11
あなたにおすすめの小説
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので
eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」
勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。
しかし、勇者たちは気づいていなかった。
彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。
アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。
一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。
そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……?
一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。
「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」
これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
追放された地味探索者、実は隠された伝説級スキルの持ち主でした~気付いたら無自覚に最強ハーレムを築いていた件~
fuwamofu
ファンタジー
地味で目立たない探索者アレンは、仲間に「足手まとい」と罵られパーティを追放された。だが実は彼のスキル【探索眼】は、古代英雄の力を見抜く唯一の能力だった!
鉱山の奥で偶然出会った少女を救ったことから、運命が動き出す。
魔王軍、古代遺跡、神々の争い——すべての鍵を握るのは「ただの探索者」だった男。彼は気付かぬうちに、世界を救い、そして多くの少女たちの心をつかんでいく。
地味だけど最強、無自覚だけどモテまくり。これは世界を変えた謙虚な英雄の物語である。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる