ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

文字の大きさ
101 / 131

第101話 VRMMO『スカベンジャー・ハント』へ

しおりを挟む
 クロードに手順を教わりながら、ノートパソコンのキーボードを叩く藍葉だったが。ただでさえ、エアコン全開にしても寒さにかじかんでうまくキーを叩くことが出来ない。パソコン教室で早さだけはマシにしたはずなのに、いざと言う時に役に立たないのが悔しい。

 それでも、成樹たちを『起こす』ためにも起きている藍葉たちがなんとかしなくてはいけなかった。


『次は―で、その次は』
「うん。わかった」


 クロードの方も寒さが増したのか、テレビ通話だというのに寝袋を着たまま指示を出していた。それくらいに、向こうも空調設備を無視すくらいの寒さなのは簡単に予想できた。とはいえ、まだそのわずかな室温維持のおかげで、互いにキーボードをたたくくらいの動作は出来るのだ。命をかけているのは同じ状況なので少しは我慢しなくては。


『パスコードは―—で』
「……入力して」


 端末のひとつにしてはチープな藍葉のノートパソコンのディスプレイに、3D加工したような模型が展開された。建物や地面に赤い点のようなものが動いているのが、ユーザーやNPCと呼ばれるものだろうか。クロードに聞けばそうだ、と答えてくれる。


『赤の周りにリングみたいな光があるやろ? それがNPCや。熊谷たちが担当しているんはそいつらのどこかや』
「担当はわからない?」
『正直言って、わからん。最近は別業務担当していたからそっちまで連携しとらんかってん』
「……この中に、シゲくんとお兄ちゃんが」
『俺も潜ったら『寝そう』やからせんけど。……こっちはこっちでちゃんと稼働しとんな。奈月が潜ったかもしれん』
「……その、奈月さんって。どのNPCを担当するかはわからないの?」
『『イバラキ』や』
「……主役のNPC? なんかおかしくない?」
『あいつのマブダチが、『遊べる』ように組み立てたのがきっかけでな? 俺らあと組はあくまで補佐やねん』
「遊ぶ?」
『命削ってまで、最後に自分らの『意識』が残せるように……簡単に言や、墓場や』
「……そんなこと、させたくないよ」
『せやけど。藍葉とかが起きててくれたから……そうはならんようにせなな』
「クーちゃんもね?」
『おん』


 このゲームはVRMMOももちろんだが、PCやスマホとも連携して遊べるようにした『ソーシャルゲーム』の一部にしようとしていたらしい。微々たる課金額をちりつも方式で搔き集め、『加東奈月』の生命維持だけでなく、地球全体の生命活動をゆるやかに『眠らせる』ためのシェルターだともクロードが教えてくれた。

 そこで、藍葉が思い出したのは『夢』だと思っていた疑似世界などでの活動だ。『ナツ神』との出会い、それまでのファームを運営する上での活動内容も含め……自分があと組だとしても、結構重要な位置にいたのではないか、と。


「クーちゃん。ポイ活ファームを依頼したのが、さっきのハル神だけど。あたしの方にも別の依頼者が来たの」
『……さっきなんかそんなこと言ってたな?』
「こっちじゃ、うちのお兄ちゃんの相手と同一らしいけど……ナツ神っていうの』
『奈月は男やし、あいつは相手いるしな? ……どこにおんねん、そいつ』
「わかないけど。多分、『寝て』いるとは思う。あたしが、精神疾患で寝かされていたように」
『は? そないに君重症なん?』
「ちょっとだけだよ。けど、このモニターの数……その人たちを入れてあげているのかな?」
『適当にNPC選んで動かしてみ? 多分、今の藍葉ならわかるわ』
「うん」


 キャラクター名が色々並んだり、スライドしたりして動いたりしていたが。藍葉は奈月と接触できる可能性を見て、まず『ドクター』にカーソルを当ててみた。

 瞬間、ふわっと、頭の中に『会話』のようなものが入り込んできた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので

eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」 勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。 しかし、勇者たちは気づいていなかった。 彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。 アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。 一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。 そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……? 一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。 「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」 これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

追放された地味探索者、実は隠された伝説級スキルの持ち主でした~気付いたら無自覚に最強ハーレムを築いていた件~

fuwamofu
ファンタジー
地味で目立たない探索者アレンは、仲間に「足手まとい」と罵られパーティを追放された。だが実は彼のスキル【探索眼】は、古代英雄の力を見抜く唯一の能力だった! 鉱山の奥で偶然出会った少女を救ったことから、運命が動き出す。 魔王軍、古代遺跡、神々の争い——すべての鍵を握るのは「ただの探索者」だった男。彼は気付かぬうちに、世界を救い、そして多くの少女たちの心をつかんでいく。 地味だけど最強、無自覚だけどモテまくり。これは世界を変えた謙虚な英雄の物語である。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...