【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

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第2話 治された腕

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「な、なに!?」


 慌ててギブスの腕を庇ったが、落ちていくのはすぐに終わりを迎え。

 気がついたら、ふわふわクッションのような……不思議な敷物の上に座り込んでいた。

 すっごく……人をダメにしそうな感触。

 許されるなら、いつまでも沈んでいたいくらいだ。


「……ふふ。今回は貴女ね?」


 声が聞こえた。

 あちこちをキョロキョロしてみると……すぐ右手側に、その人はいた。

 自分にはない、抜群のプロポーション持ちの美女。

 だいぶ昔の表現で言うなら、緑の黒髪と言う感じの綺麗なストレートロングヘアに……宝石のように輝く緑の瞳。

 微笑みだけで、たいていの男をイチコロ出来そうなくらい。

 同じ女の私ですら、思わず見惚れてしまうくらいだ。


「……あなたは?」

「私? 貴女のいたところで言うなら、『神』ね?」

「……神様?」


 それなら、神秘的過ぎる美女の説明にはなるが……優雅にテーブルでお茶を飲んでいる様子だけだと、その紹介に納得が出来ない。

 考えていると……彼女は私の気持ちを読んだのか、さらに可愛らしい声で笑い出した。


「無理もないわね? けど……これならどうかしら?」


 と言う言葉の後に……なにも感じないはずの利き腕が、少し熱く感じた!?

 びっくりして……ギブスを持ち上げようとしたら……その、動いたのだ。

 神経が死んだはずの、ギブスで固定しなくては動かない腕が!?

 少し動かしただけで……しっかりと、動作の感触があったんだ!!


「……な、にを?」

「治してあげただけ。不便でしょう?」

「な、治した!?」


 これはたしかに……神様としか言いようがない。

 本物だと……感動していると、神様である女性は私の前に来てくれた。

 プロポーションもだが、背も高い!

 チビではないが、そこそこ高いだけの私よりもずっと。

 神様は、私のギブスを触ると……手を当てて、消えさせた。腕は……傷もなくなっているまっさらな腕になっていた。


「ふふ。治した御礼……ちょっと聞いてくれるかしら?」

「なんでもします!」


 と、勢いで言ってしまったが……それくらい、この神様には感謝しても仕切れないのだ。だから、自分に出来ることをしてみたかった。

 私が頷けば、彼女はまた微笑んだ。


「……異世界に行って、貴女自身に料理屋さんをして欲しいのよ?」

「お、みせ?」

「単純で難しい。貴女のように、ニホンで恵まれた環境で料理をしていた人間なら、尚更ね? けど、貴女の得た調理法は……普通のものではない」

「……はい」

「ファンタジー要素満載だけど、貴女には『ジビエ料理』を広めて欲しいの」


 お願いね? と言われた直後。

 あのクッションとかの空間が消えて……今度は真っ暗な森に移動させられた!?

 ってことはだ!!


「い、異世界……に、転生? いや、体そのままだからトリップ?? 転移??」


 動く腕をもう一度確認した後に、情報を整理しようとしたら。

 次に起きたのは、顔に角がいくつもある猪との『ハロー?』と言ったご対面だった!?
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