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第3話 本能は抗えない
しおりを挟む「ぶもぉおおおおお!!」
「うひゃぁあああああ!?」
思わず、逃げてしまった!
野生動物の前に、背を向けたら最後だと色々言われていたのに!?
しかし……いざ、目の前にすると逃走本能と言うものが働いてしまい。思わず、逃げ出してしまった。
だって、せっかく神様に治してもらった腕をこれ以上ダメにしたくないもん!
二度と無理だと思ってた料理人への道が再スタート出来そうなんだから!!
とは言え、いきなり猪もどきとご対面の上にこんな状況になってしまっているが。
(ど、どうしようどうしよう!?)
なんの装備もなく、あんなでっかい猪もどきに立ち向かえない。
私はそもそも料理人を目指していた途中なので、狩猟経験も何にもないが……この状況を何とかしないと。
腕以前に、今度こそ死んでしまうかもしれない!?
けど、治った腕も使って何とか走ることしか出来ないよ!!?
それにしても、思ったより猪みたいなのは足遅いな!?
木登りも危険って、仕入れ先の手伝いしてた時店長と一緒に猟師さんから話は聞いていたから出来ない!!
なんでも、突進で相手を落とす行動をするとか。
それなら全速力で逃げるに限る!!
「……なーんや、うるさいわぁ?」
頭の中で声が聞こえてきた。
あの美女神様ではない。
もっと気だるい感じ……あと少し関西弁ぽい?
横を見たりする余裕もなく走っていると、頭に何かが乗ってきた!
「な、なに!?」
「なんや、六角ボアに追いかけられとんの? 運ないなあ、嬢ちゃん」
「じょ!? え、なに!?」
「ふーん。逃げ足は天下一品やけど……普通の人間ともちゃうなあ? あちきがちぃっと手ェ貸しましょか」
そんな言葉を言ってくれた途端、頭が軽くなり……後ろからは、『ぶもぉ!?』って叫び声と何かが倒れる音が聞こえてきた!
「……え?」
思わず、足を止めて振り返ってみれば……。
猫。
猪もどき。
猫の方は尻尾が二又だけど、倒れている猪もどきの前で……のんきにあくびをしていた。
「なーんや、骨のない。これやったら、嬢ちゃんでも倒せたんとちゃう?」
言葉を話す、猫の声はさっき会話していた相手と同じ声。
なにがなんだか、情報がいっきに入り込んできて……頭が痛くなりそうだったが。ここはしなくちゃいけないことがあった。
「……た、すけて……くれて、ありがとう」
「大したことしとらんで?」
美女神様とは違うけど、猫……多分、猫又……ちゃんは、もう一度あくびをしてから尻尾を揺らした。
その子が猪もどきから離れても、やつはぴくりとも動かなかった。
「……倒したの?」
「せやな。肉がちょうど欲しかったのもあるし……あちきには好都合やったけど、嬢ちゃんは違うやろ?」
「……思いっきり、逃げちゃった」
「戦う道具とか持ってないしなあ? あんさん、普段何しとる子なん?」
「……………………料理人」
威張って言えることではないけど。
あの美女神様には認めてもらえたんだ。
だから、猫又ちゃんに一言告げて……私は倒された猪もどきのところに近づいていった。
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